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25、青の巫子の目覚め
第269話 古(いにしえ)の火の巫子
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外は雨が止んで、空も次第に雲が明るくなって行く。
メイスのいる部屋は、領主の居住棟とは別の客間の棟だ。
以前のイネスが使っている上の階の部屋では無く、多少騒がしくても人の行き来のしやすい2階中央の部屋に変わった。
広めの部屋にあった応接家具はソファー1つだけを残して部屋から出し、カナンが使うテーブルに椅子、そして奥にベッドが有るだけの簡素なものだ。
中央の階段近くなので、何かあったらすぐに対応できるし、もしまた魔物が来ても違う場所へとすぐに移動も出来る。
イネスからは、くれぐれも保護を頼むと言われたガルシアが、ここへ移動させた。
「で?変化は?」
「今のところ変わりなく。」
部下を引き連れやってきたガルシアに、グロスが伝えて頭を下げる。
ガルシアは、渋い顔で妹姫を睨んだ。
「お前は何故ここへ頻繁に来るのだ。うっとうしい」
「まあ、ひどいわ兄様。ご覧になって、この小さな可愛い子供たちを。
ここはこの、姫の私が守ってあげなきゃ!って、思いますでしょう?」
手を合わせてクネクネする。
ドレスも着ない妹は、活動的すぎて貴族の子女をあてがっても誰もついて行けない。
城でも一番元気のいい女の召使いを監視に当てたが、今は家族の具合が悪く実家に帰って姫は実質放置状態だ。
身の回りの世話もかねるので男の側近を付ける訳にも行かず、猛獣を放し飼いにしているようなもので、毎日問題起こさぬようにと祈るしか無い。
「ねえお兄様、私ここの隣を自分の部屋にしようかと思いますの。
よろしいでしょう?」
「え?!!」
「ええ!!」
ガルシアと、カナンがビックリして顔を見合わせた。
カナンは両手を合わせ、ガルシアに願うようにまん丸の目をうるうるさせて、首をぶんぶん横に振る。
こんな姫に横に居座られるなんて、とてもじゃないがカナンにはすさまじいストレスだ。
ガルシアは、それに大丈夫だと手を上げ、げんなりして返した。
「ルシリアよ、お主に聞くがお前は猛鳥ギーグと可憐な小鳥を一緒のカゴで飼うか?」
「はあ?飼う訳ありませんわ、あっという間にエサではなくて?」
「よし、そう言う事だ。だから許可しない。お前は自分のカゴで寝ろ。」
えーと、ピンと来ない姫が唇に指を当てて考える。
そして、ようやく猛鳥が自分だと気がつき真っ赤になった。
「な、な、なんですってええ!!」
「カンが鈍いなー…っ!…ちょっと待て!あれは?」
何故かガルシアの視線はメイスを向いて、そして身を乗り出した。
「え?…あれ? 短剣はこのような色だったっけ?」
ガルシアが指さす先を、皆が見る。
短剣の火の色の輝きが、点滅して白く色を変えている。
「兄様!!色が変わってる!!」
その声に、外の兵たちも思わずドアを開けなだれ込む。
「剣の色が?色が変わってるだって?!」
「おい!起きるかもしれないらしいぞ!」
「本当か?!おーい!みんな!あの子が……」
廊下の外で、人を呼ぶ声までして、バタバタ人が駆けつけ部屋の中は人だかりが出来た。
「 兄様、ほら!凄い!凄いわ!何かが始まるのよ!ほら!! 」
身を乗り出す妹に、ガルシアが慌てて遮るように手を出した。
「ルシリア!お前は危険だ部屋を出ろ!」
「なんでそうなるのよ!兄様の方が!」
「ああ~、また御館様と姫様、始まったぜ……」
また仲が良すぎる兄妹喧嘩が始まり、外野が口々にぼやく。
剣の輝きが揺れて、チラチラとオレンジ色から白く変わる。
魔導師二人が、思わず緊張した。
「おお、これは!……お二人ともお静かに!」
グロスが一喝して、二人が黙った。
「巫子の誕生です。いや、これは再生になるか。なんという幸運!」
一同しんとして、息をのみ見つめる。
剣が次第に輝きを増して、光の中からポッと炎が沸き起こった。
ゆらゆら揺らめく火の中で、剣が輝き上からハラハラと崩れ落ちると、炎の小鳥になって羽ばたいて行く。
「 おお……… 」
皆が思わず感嘆の声を上げた。
小鳥は、メイスの傍らで一つになって燃え上がり、そして中に一人の白装束の少女を映し出す。
「 あ… あなた…様は?」
グロスが胸に手を当て、頭を下げて訪ねる。
少女は優しく微笑み、メイスの頭をそっと透けた手で撫でた。
『 これは、 じだいの あおの、 みこである まもりを たのむ 』
遠く、透き通った声が響き、その場にいた人たちの全身を、通り抜けていった。
「 お …… お …… 」
言葉にならない感動が湧き上がる。
その声は、一定の揺らぎを持って、全身から力が抜けるような安心感。
体中が、清涼感に包まれて森林浴をしたような清々しさ。
初めての感覚に、愕然となる。
これが、これが火の巫子なのか。
なんという、この、人の心さえ揺さぶる、その… 力。
呆然と見つめる中、姫が、ガクリと膝を折ってその場に座り込んだ。
ふと顔を見ると、とうとうと涙を流している。
両手を合わせ、胸において大きくうなずいた。
「お任せを、古の巫子様、 どうか、どうか、我らにお任せを。
このルシリア・レナ・レナント・アトラーナ、王家の端くれではありますが、この命かけて。
こちらの巫子様をお守り致します。」
その誓いに少女が微笑み、ルシリア姫に手を差し出す。
『 なんじに さちあれ ぬしに、 まかせよう
ひの、 しんでん さいこうまで たのむぞ 』
思わず、そこにいた全員が頭を下げた。
少女は安心したのか、愛おしむようにメイスの額にキスする。
その姿がゆっくりと薄くなり、燃えていた炎がどんどん小さくなって行く。
最後まであった炎が音を立ててポッと消えると、メイスの身体が身じろぎした。
メイスのいる部屋は、領主の居住棟とは別の客間の棟だ。
以前のイネスが使っている上の階の部屋では無く、多少騒がしくても人の行き来のしやすい2階中央の部屋に変わった。
広めの部屋にあった応接家具はソファー1つだけを残して部屋から出し、カナンが使うテーブルに椅子、そして奥にベッドが有るだけの簡素なものだ。
中央の階段近くなので、何かあったらすぐに対応できるし、もしまた魔物が来ても違う場所へとすぐに移動も出来る。
イネスからは、くれぐれも保護を頼むと言われたガルシアが、ここへ移動させた。
「で?変化は?」
「今のところ変わりなく。」
部下を引き連れやってきたガルシアに、グロスが伝えて頭を下げる。
ガルシアは、渋い顔で妹姫を睨んだ。
「お前は何故ここへ頻繁に来るのだ。うっとうしい」
「まあ、ひどいわ兄様。ご覧になって、この小さな可愛い子供たちを。
ここはこの、姫の私が守ってあげなきゃ!って、思いますでしょう?」
手を合わせてクネクネする。
ドレスも着ない妹は、活動的すぎて貴族の子女をあてがっても誰もついて行けない。
城でも一番元気のいい女の召使いを監視に当てたが、今は家族の具合が悪く実家に帰って姫は実質放置状態だ。
身の回りの世話もかねるので男の側近を付ける訳にも行かず、猛獣を放し飼いにしているようなもので、毎日問題起こさぬようにと祈るしか無い。
「ねえお兄様、私ここの隣を自分の部屋にしようかと思いますの。
よろしいでしょう?」
「え?!!」
「ええ!!」
ガルシアと、カナンがビックリして顔を見合わせた。
カナンは両手を合わせ、ガルシアに願うようにまん丸の目をうるうるさせて、首をぶんぶん横に振る。
こんな姫に横に居座られるなんて、とてもじゃないがカナンにはすさまじいストレスだ。
ガルシアは、それに大丈夫だと手を上げ、げんなりして返した。
「ルシリアよ、お主に聞くがお前は猛鳥ギーグと可憐な小鳥を一緒のカゴで飼うか?」
「はあ?飼う訳ありませんわ、あっという間にエサではなくて?」
「よし、そう言う事だ。だから許可しない。お前は自分のカゴで寝ろ。」
えーと、ピンと来ない姫が唇に指を当てて考える。
そして、ようやく猛鳥が自分だと気がつき真っ赤になった。
「な、な、なんですってええ!!」
「カンが鈍いなー…っ!…ちょっと待て!あれは?」
何故かガルシアの視線はメイスを向いて、そして身を乗り出した。
「え?…あれ? 短剣はこのような色だったっけ?」
ガルシアが指さす先を、皆が見る。
短剣の火の色の輝きが、点滅して白く色を変えている。
「兄様!!色が変わってる!!」
その声に、外の兵たちも思わずドアを開けなだれ込む。
「剣の色が?色が変わってるだって?!」
「おい!起きるかもしれないらしいぞ!」
「本当か?!おーい!みんな!あの子が……」
廊下の外で、人を呼ぶ声までして、バタバタ人が駆けつけ部屋の中は人だかりが出来た。
「 兄様、ほら!凄い!凄いわ!何かが始まるのよ!ほら!! 」
身を乗り出す妹に、ガルシアが慌てて遮るように手を出した。
「ルシリア!お前は危険だ部屋を出ろ!」
「なんでそうなるのよ!兄様の方が!」
「ああ~、また御館様と姫様、始まったぜ……」
また仲が良すぎる兄妹喧嘩が始まり、外野が口々にぼやく。
剣の輝きが揺れて、チラチラとオレンジ色から白く変わる。
魔導師二人が、思わず緊張した。
「おお、これは!……お二人ともお静かに!」
グロスが一喝して、二人が黙った。
「巫子の誕生です。いや、これは再生になるか。なんという幸運!」
一同しんとして、息をのみ見つめる。
剣が次第に輝きを増して、光の中からポッと炎が沸き起こった。
ゆらゆら揺らめく火の中で、剣が輝き上からハラハラと崩れ落ちると、炎の小鳥になって羽ばたいて行く。
「 おお……… 」
皆が思わず感嘆の声を上げた。
小鳥は、メイスの傍らで一つになって燃え上がり、そして中に一人の白装束の少女を映し出す。
「 あ… あなた…様は?」
グロスが胸に手を当て、頭を下げて訪ねる。
少女は優しく微笑み、メイスの頭をそっと透けた手で撫でた。
『 これは、 じだいの あおの、 みこである まもりを たのむ 』
遠く、透き通った声が響き、その場にいた人たちの全身を、通り抜けていった。
「 お …… お …… 」
言葉にならない感動が湧き上がる。
その声は、一定の揺らぎを持って、全身から力が抜けるような安心感。
体中が、清涼感に包まれて森林浴をしたような清々しさ。
初めての感覚に、愕然となる。
これが、これが火の巫子なのか。
なんという、この、人の心さえ揺さぶる、その… 力。
呆然と見つめる中、姫が、ガクリと膝を折ってその場に座り込んだ。
ふと顔を見ると、とうとうと涙を流している。
両手を合わせ、胸において大きくうなずいた。
「お任せを、古の巫子様、 どうか、どうか、我らにお任せを。
このルシリア・レナ・レナント・アトラーナ、王家の端くれではありますが、この命かけて。
こちらの巫子様をお守り致します。」
その誓いに少女が微笑み、ルシリア姫に手を差し出す。
『 なんじに さちあれ ぬしに、 まかせよう
ひの、 しんでん さいこうまで たのむぞ 』
思わず、そこにいた全員が頭を下げた。
少女は安心したのか、愛おしむようにメイスの額にキスする。
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