速達配達人 ポストアタッカー 新1 〜ポストアタッカー狩り〜

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第14話 抜いただけで圧倒する!

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「武器の消耗品あるなら申請して、うちは軍を通して買い付けるから、だいたいなんでも手に入るわ。
ただ、時間かかるからお早めに。どう?」

「俺はこのスローイングナイフかな。軍に居た時は100本単位で頼んでた。
そう言えば注文してそのままだったなあ……
あと、高純度の油があれば。機械油でもいいけど。刀のさび止めなんだ。」

「わかったわ、あとで話通しとく。
あ、こっちよ。」

廊下を進んで局内でも一番奥、物置きの隣にいかにもあとで増築された感じの部屋にたどり着く。

「ここが以前言ってたセキュリティ開発部。
開発専門、他の局にもこの人が作った物提供されてるわ。
局の副業みたいな物ね。製品化されて郵便局限定で使ってるのもあるの。」

「ああ、あの強盗のケツ固めた奴か。あれ拘束には便利そうだな。」

「でしょ?あれ、うちのエクスプレス限定で試作品使ってるの。
まあ、悪用されたらまずいから、今のところ量産の許可が出ないのよね。
彼、軍辞めた所で局長がスカウトして……まあ、みんな一目置いてるエジソンよ。
刀のこと話してるから、なんか考えてると思うわ。」

ココン、ココン、コンコンコン

「これが合図。この音以外じゃドア開けてくれないから。
パスで開くんだけど、勝手に開くとめっちゃ怒られるの。」

「ふうん……」

『だれー』ドアの横のスピーカーから声がした。

「キャミーよ~、あけていいー?!」

中から、小さくいいよーと聞こえる。
何だ、面倒くさい奴だな~

暗号キーでカギ開けて中に入ると、コーションロープが張ってある。
そこまでしか入れない、と言うことだろう。
部屋はどこかで見たような状況の、本や箱やワケのわからん実験道具が散乱している。
知ってるぞ、だが、さわっちゃいけない。
こう言う博士肌の奴らはどこに何があるとわかってるから始末が悪い。
右にあるの左にやっただけで大騒ぎになる。

「あっやっと来たね!」

立ち上がった白衣の青年が手を上げる。
金髪碧眼でこの辺では珍しい白人の、ボサボサの頭に眼鏡をかけたヒョロッとした奴だ。

「ふうん、君がカタナ使い?
調べたけど、各パーツが美術品になってるね。
スタンガン仕込もうと思うけどどう?
仕込む隙間がありそうに無いけど。
柄は外せる?そこに仕込んでも良さそう?
装飾はどんな感じ?重さが変わると使いにくい?どこにスイッチ仕込むか希望ある?
換えのカタナあるの?ないの?とりあえず構造知りたいから見せて。」

その白いボサボサ頭の青年が、自分の言いたいこと一気に喋ると握手より刀を出せとニッコリ手を出す。

こいつ、わかってねえなー、わかってねえよ、刀のこと。

ちょっと資料かじっただけで、わかってるつもりでいやがる。
生き生きした青い目がマッドだ。
俺はこの何考えてるかわかんねえ青い目が苦手だ。
お前、いきなり抜き身で振り回すだろ、冗談じゃねえ。

サトミが思わず目をそらし、キャミーを見る。
ため息ついて、ドアへ向かった。

「お話にならねえ。」

「ええええ、誰が?」

「この、機関銃みたいに喋る人。」

「なんで?!俺ずうううううっと待ってたのに!」

「俺の刀はおもちゃじゃねえし。」

「そっそんな!おもちゃなんてっ!おもちゃなんて思ってません。いてっ」

青年が、いろいろつまづきながらダアッと走ってきた。
サトミがチラリと見て、サッとドアの外に出る。

「ちょっと!待ってよ!気を悪くしたなら謝るから!謝らせるから!サトミくんってば!」

廊下の途中で足を止め、くるりと振り向く。
キャミーが驚いて飛び出し、追ってくる。
さっきの白人博士が彼女の後ろで心配そうに見ていた。

「そうだな、単刀直入に言うと、この刀はあんたらの考えが及ばない事してきたって話さ。」

「えっ、そ、そうよね。武器だものね。」

「いやいや、やっぱりわかってねえなあ。」

周囲に人がいない。
ニッと笑って、サトミがゆっくりと手を上げ、刀の柄を握った。

「なにするの?!」

キャミーが息を呑んで声を上げる。サトミは構わず、スラリと刀を抜いた。
廊下の窓から差す太陽光に、ギラギラと光を反射する刀身が、異様な雰囲気を醸している。
初めて見たその迫力に、思わずキャミーとエジソンが後ずさりした。

「どう?どこか切ってみるかい?キヒッ」

「や、やめてよ……」あんなもの、切られたらどうなるかなんて、容易に想像が付く。

「冗談だよ!」

いじめるのはこのくらいにして、刀を直す。
2人はヘナヘナと力が抜けて、ハアッと息を吐いた。

「わかるだろ?こいつは抜いただけで周りを圧倒する。
そう言う武器なのさ。」

日本刀の怖さは美しさと裏表だ。
目の前で刃を向けられただけで、これほどの緊張をもたらすのだ。

「あー、わかったわ、もう十分わかった。
でもね、もう2度と局内では抜かないで頂戴。今回のことは、胸にとどめておきます。
でも、次にやったら局長対応案件になるわ。」

「了解、俺も無用な抜刀はしないよ。
でも、そっちの人、あんたが抜かせたんだぜ?わかる?」

エジソンが、しょんぼりして頭を下げる。

「申し訳ない。
でも、その危うさの中の綺麗さを一目見たくて楽しみにしてたんだ。
ジャパニーズ文化が見られるなんて、この国では滅多に無いから。」

まあ、そうだろうなあ。俺も他では見た事ねえし。

「わかったわ、じゃあ、私もエジソンの事知って欲しいから、あらためて……
そうね、明日、君には見習いで隣町まで行って貰うから、それに同行でもいいんじゃない?」

「へえ、早速遠出かー、ふうん。いいよ、そっちの人さえ良ければさ~」

危険なのわかってて同行させるか~。この女、肝の据わった奴だな。

「まあ、現場見なきゃ何が必要かわかんないじゃない?
アタッカーって、腕でやってる奴ばっかだから、普段エジソンの発明品ってあまり必要とされないのよ。たまにはいいんじゃない?守ってやってよね。」

「ふうん……」

振り向くと、エジソンってあだ名の青年は、泣きそうな顔で笑ってぐっとグーをサトミに向けている。
が、その手がプルプル震えていた。
なんとも頼りないが、自分の落とし前を自分で付けるその気合いは認める。
手を上げて背中を向けると、裏返った大きな声が聞こえた。

「明日!よろしく!僕、死なないようにがんばります!」

なんか悲壮感漂うなー

とりあえず、後ろ向きで手を上げて返して置いた。
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