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冬の夜道
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アリスの今までの人生ときたら最悪最低をちょっとマシにした程度のものであった。物心ついた時には母親はいなかった。博打狂いの父親だけがいた汚い小屋。シーツは一度も洗濯されたことがないし、お皿は洗われることなく積み重なり、汚れはこべりつき、誰も使わないまま。床は足の踏み場もなかったし、よくぞ私は生きているもんだと子どもながらに思った。一部屋しかない小屋に父親はよく女を連れ込んだ。部屋の隅で耳を塞ぎ、目を閉じていても女の嬌声は記憶に残っている。最悪だ。この男が何故、子どもを育てようと思ったのか本気で謎だった。いっそ捨ててくれた方が孤児院で貧しいながらも平和な生活だったかもしれない。そう思っていた。実際、孤児院に逃げ込むために逃げようと思って実行したことがある。しかし、父親は翌日、町の孤児院へと迎えにやってきた。下卑た笑みを浮かべながら「親子喧嘩がこじれまして…」と。そして、博打狂いのくせに弱い父親がついに借金で詰んだ時、何故この男が私を育てていたかよく分かった。
借金の担保は、私だった。
ヘラヘラと笑いながら父親は、私を奴隷商の元へと差し出した。
「ね、形は悪くないでしょう?」
「まあ将来性はありますし、こちらの額でよろしいですかな?」
「もう一声!」
娘を売るのに、もう一声ってどういう価値観でこの男は生きているのか。6歳にして自分の人生を諦めるのか。いや、もっと前から諦念はそこにあった。今、振り返ってもそう思うのだ。
そして、奴隷商の元へとそのまま引き渡され、主人となる人が少しでもマシな人であることを本気で祈っていたその夜。アリスに幸運が訪れた。この国では、奴隷の売買は認可制だ。そして、アリスを買った奴隷商、なんと資格を有していなかった。眠れない夜を過ごしていたら武装した衛兵たちが雪崩込み、てんやわんやの大騒ぎ。騒ぎに乗じて逃げ出す奴隷たち。6歳のアリスは、逃げ出すことも出来ず、そのまま保護されて孤児院へと送られることになった。
そして、平和な孤児院生活を過ごして生計を立てられるようにして独立して、そんな人生ならよかったと思う。
借金の担保は、私だった。
ヘラヘラと笑いながら父親は、私を奴隷商の元へと差し出した。
「ね、形は悪くないでしょう?」
「まあ将来性はありますし、こちらの額でよろしいですかな?」
「もう一声!」
娘を売るのに、もう一声ってどういう価値観でこの男は生きているのか。6歳にして自分の人生を諦めるのか。いや、もっと前から諦念はそこにあった。今、振り返ってもそう思うのだ。
そして、奴隷商の元へとそのまま引き渡され、主人となる人が少しでもマシな人であることを本気で祈っていたその夜。アリスに幸運が訪れた。この国では、奴隷の売買は認可制だ。そして、アリスを買った奴隷商、なんと資格を有していなかった。眠れない夜を過ごしていたら武装した衛兵たちが雪崩込み、てんやわんやの大騒ぎ。騒ぎに乗じて逃げ出す奴隷たち。6歳のアリスは、逃げ出すことも出来ず、そのまま保護されて孤児院へと送られることになった。
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