冒険者ゴートの一生

ケバブ

文字の大きさ
26 / 60
二章

セカの街の下級冒険者9

しおりを挟む
雑貨屋労働者の扉を開ける。

「ランさん、おはようございます」

「お、ゴートおはよう。今日は買い物かい?」

ランさんが赤い髪をかきあげこちらを向く。今日も綺麗で少し緊張する。ロイさんも居るようだが集中して気がついていないようだ。

最初に訪れたときは緊張していて名前も聞いていなかったのだが、先日改めて名前を教えて貰った。因みにおじいさんはロイという名前らしい。

「作業用の手袋を買いに来たのと、武器について相談が有りまして。先日の依頼で確りとした武器の必要性を感じまして。鉈を作って貰った鍛冶屋を紹介して貰えないかなと」

「なるほどね。作業用手袋ならそこの棚に有るから見ると良い。鍛冶屋の事なら直ぐにでも紹介できるよ。実は近所なんだ。行きたいタイミングで声をかけてちょうだい」

鍛冶屋が近所だとは知らなかったな。作業用手袋の中から自分にあったサイズを選びお金を払う。

「ランさん、早速ですが案内して貰っても良いですか?」

「まかせて。おじいちゃん少し出るから。ゴート着いてきて」

ロイさんは一切反応してないが、ランさんはお構いなしに店を出る。

「鍛冶屋は昔馴染みの知り合いがやってて。お互い色々融通が効くの。勿論腕は確かだから安心して良いよ」

店を出て何件か隣、少し歩いた所にその鍛冶屋はあった。

「ここがゴートのナイフと鉈を用意して貰った店、鍛冶屋の『黒鉄』」

ランさんが躊躇い無しで扉を開き中に入っていくので慌てて付いていく。すると金髪に優しい顔立ちだが、身体を鍛えているのがわかる程度には体格の良い男性が店番をしていた。

「お疲れケニー。なんだなんだ随分と暇そうじゃない」

「ランこそお疲れ様。少し前まではお客さんもいたしタイミングだよ、タイミング」

昔馴染みと言うのは本当らしく、二人とも気心知れた仲なのが会話から伝わってくる。

「それなら良いんだけどさ。あんたはたまにしれっとサボるからね」

「流石にもうそんなことしてないよ。親父の後を継ぐのも遠くないんだしそれよりも後ろの方はどなた?」

「そうだそうだ、この子がこの前お願いした解体用ナイフと鉈を買った冒険者の…」

「ランさん自己紹介は自分で。ケニーさん初めまして九級冒険者のゴートといいます。解体用ナイフや鉈にはお世話になってます。よろしくお願いします」

「鍛冶屋黒鉄のケニーです。ゴート君だねどうぞよろしく。それにしてもラン、多少年下とはいえこの子は失礼なんじゃない?」

「ケニー、ゴートはこう見えてまだ十五歳だよ」

「そうなのか?体も大きいし、大人っぽいからてっきり少し下くらいだと思っていたが十歳以上年下とは。ゴート君誤解してごめんね」

「いえ、気にしてませんので」 

嘘だ。少し気にしてる。というのも最近判明したのだが俺、一部の知人から二十歳位だと思われていたらしく少し驚かれたのだ。ちょっと老け顔なのだろうか。

「まあ歳のことは置いといて、ゴートが武器を作りたいらしくてね。解体ナイフと鉈を使ってみて、ここに頼もうと思ったんだってさ。相談相手になってやりなよ」

「そこら辺の商品は俺が打ってるから嬉しいね。わかった俺で良ければ相談に乗ろう」

「んじゃ後は頼んだわよ」

そう言うとランさんは自分の店に戻るのだろう帰っていった。

「ゴート君、改めて宜しく。早速だけどどんな武器が欲しいんだい?」

「こちらこそよろしくお願いします。実は今自分で作った投げ槍で間に合わせてたんですけど、このサイズの槍って有りますかね」

「このサイズだと在庫には無いかな。でも新しく作るのは簡単だと思うよ。全体を金属にする、もしくは穂の部分だけとか色々有るけどね」

「因みに全体を金属にするとどのくらいかかりますかね?」

「割と安価な鉄でも十万エルからだね。槍は重さもあるし、下級の冒険者は穂だけの人も多いよ。それなら二万エルから出来るし。柄は木製だけど凄く丈夫だからそうそう折れないよ」

「それならもう少しお金を貯めれば大丈夫そうです!近いうちに買いに来ますので、ケニーさんその時はよろしくお願いします」

「こっちも商売だからお客さんなら大歓迎さ。ゴート君が来るのを楽しみにしてるよ」

槍を買うことを決意して黒鉄を後にする。
取り敢えず二万エルの投げ槍を買うためにお金を貯めないと。

冒険者という職業は本当にお金がかかるなと思いつつ午後から出来る依頼を探しに行くのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。  発端は彼女の父親が行方不明となり、叔父である父の弟が公爵邸に乗り込んで来たこと。  何故か叔父一家が公爵家の資産に手を付け散財するが、祖父に相談してもコロネに任せると言って、手を貸してくれないのだ。  そもそも父の行方不明の原因は、出奔中の母を探す為だった。その母には出奔の理由があって…………。  残された次期後継者のコロネは、借金返済の為に事業を始めるのだ。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

処理中です...