冒険者ゴートの一生

ケバブ

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三章

セカの街の冒険者達4

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「それじゃあヘイル君、よろしくね」

「ゴートさん、俺、頑張りますんでよろしくお願いします!あと教えるのに君づけや敬語はおかしいので呼び捨てでお願いします」

「わかった。改めてよろしく、ヘイル」

雨季には珍しい雨のない日、しかし陽は見えないような何とも言えない空のもとホナミ孤児院で俺とヘイルの訓練が始まった。

訓練の第一歩はこの指導の目的と教えることについての説明だ。
もし俺の指導方針がヘイルにとって納得のいくものじゃなかったなら多くを教えてもヘイルの為にならない。

孤児院の応接室でヘイルと向き合い話し始める。

「ヘイル、さっき挨拶したばかりでなんだけど、何点か話しておきたいことがある。場合によっては今後の訓練に関わるから」

俺の話にヘイルが一瞬強ばった。いきなり深刻な感じで話し始めたからだろう。こちらも緊張させるつもりは無かったのだが真面目な話だから仕方がない。

「まず大前提としてわかって欲しいことは、俺の指導で一流の冒険者になれる保証はほとんど無いってこと。恐らく一流の冒険者になることが出来る人っていうのは、大抵の場合才能のある人が良い指導者に恵まれることが必要だと思ってて、もしヘイルが一流の冒険者を目指したいなら少しでも上の階級の人に指導して貰った方が良いと思う。そこを納得した上で俺の指導で良いっていうなら全力でヘイルの力になるって約束する…。ヘイルはどうなりたいんだ?」

迷う素振りもなくヘイルは言う。

「問題ないよ。一流の冒険者になんてなれなくても良いし、何だったら下級止まりだっていい。俺は一刻も早く稼げるようになりたいだけなんだ。今はリーフ兄の農園のお陰で色々助かってるけど、いつまでも甘えてる訳にはいけないし。ただでさえリーフ兄は俺達のために無茶しがちなのに。これ以上頼ってばかりじゃいられないよ。」

「ヘイル…」

ヘイルはまだ十二歳。少しキツい言い方になったかも知れないがヘイルの将来のためにも正直に話した。答えを出すのに時間がかかるだろうとも思っていた。けれどヘイルの想いと覚悟は俺の想像以上だったようだ。

「わかった。一緒に頑張っていこう!」

「ゴートさんよろしくお願いします!」

ヘイルと握手をしてお互い決意を新たにする。

「それじゃあ早速やっていこうか。俺がヘイルに教えようと思ってるのは大きく三つ。一つ目は日常的にどんな鍛練するか。二つ目は主な薬草について。そして三つ目が冒険者としての細かい話だ。一日に全部話すことは難しいから今日は一つ目について教えようと思う」


それからお昼を挟んで15時頃まで普段どのような鍛練をすればいいかヘイルに教えていった。中身としては、朝と夜には軽い筋トレや体を柔らかくするために柔軟をする。常に小さめの石を携帯し、暇を見つけては目標を定めて投擲の練習をする。飛んだり跳ねたり全身を使って身体を思い通りに動かせるようにするなど一見遊んでるようにも見える鍛練内容だったがヘイルは真面目に聞いてくれた。

「取り敢えず初日はこんなところかな。あと毎日の農園での手伝いでも意識しながら身体を動かすと良い鍛練になるし。やっぱり冒険者にとって体力は物凄く重要だからね」

ヘイルが真剣な顔つきで頷く。

「頑張るのもいいけど無茶だけはしないように。まだまだ育ち盛りの身体なんだから。焦って怪我をする方が問題だ。地道にゆっくりと頑張ろう」

最後にヘイルが無茶な鍛練をしないようさらっと釘をさして今日の指導は終わった。他にも覚えるべきことは沢山有るけれど一度に教えても覚えきれるものでもない。それに今は雨季。外に出て勉強するにも向いていない。本格的な指導は雨季があけてからかな。


今後のヘイルの指導内容を考えながら孤児院を後にする。今日一日指導してて思ったけどヘイルは飲み込みが良いし真面目だ。この様子なら指導自体は特に問題ないから、教える俺が頑張らないと。といっても俺もヘイルもまだ十代。一歩ずつ確実に進めるよう努力していけば良いだろう。
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