冒険者ゴートの一生

ケバブ

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三章

セカの街の冒険者達9

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魔狼と対峙した日から二週間。俺は左腕の事も考えて比較的簡単な依頼をこなしていて、そのおかげか傷もすっかり良くなった。

また冒険者組合では五級冒険者のアークさんを中心に精鋭達で魔狼の調査が行われていた。

ガイさん曰く今回のような魔狼の複数発生はセカの街では先例が無く、この前の俺のような事にならないように、かなり慎重に再調査に取り組んだらしい。

五体の魔狼を倒すだけならここまで念入りに調査することは無いらしいが、魔狼が更に発生している可能性や、中途半端に魔狼を討伐して街の東側や西側に逃げられないようにするため念入りに準備しているようだ。


今日も依頼を確認するために冒険者組合へ向かう。

「ガイさん、おはようございます。魔狼の調査はどんな感じですか?」

扉を開けるとガイさんが居たので挨拶がてら魔狼について聞いてみる。

「お、ゴートか。魔狼の調査なら昨日一段落したところでな、ようやく明日は魔狼狩りだ」

「ついにですか…。俺は応援することしか出来ませんが、頑張って下さい」

「今回は七級以上のメンバーでの討伐だからな。ゴートは安心して任せておけ…いや、まてよ」

急にガイさんが考え事をし始めた。いったいどうしたのだろうか。

しばらくしてガイさんがこちらを見ながらゆっくりと話し始めた。

「…ゴート、魔狼狩りに参加する気はあるか?」

「え!?さっき七級以上って…」

「勿論実際に森に入る討伐隊は七級以上に限定しているんだが、他にも領兵からなる支援部隊があってな。討伐隊が森の東側と南側から進む関係で、森の北から西にかけて位置どって万が一魔狼が森から逃げ出したときに対応するために部隊を置くんだ」

想像以上の規模に初めは驚いたが、一般人や新人冒険者にとって魔狼は絶大なる脅威となるので当然なんだろう。

「しかしここ最近の国境の緊張の高まりのせいで兵士がそっちに行ってるみたいでな。冒険者組合との連絡係が足りないみたいで、誰かいないか探してたんだ。お前は足の早さなら下級冒険者の中でもトップクラスだしな。まあこの前の事もあるし無理にとは言わないが」

「俺なら大丈夫です。やらせてください」

確かにこの前魔狼に殺されかけて恐ろしいという気持ちもある。だけどそれ以上に悔しさがある。直接戦う事は無いかも知れないが少しでも力になれるなら参加したい。

「わかった。明日の朝八時に南門の前に集合だ。担当の兵士が居る筈だからそいつの指示に従ってくれ。あとは受付だが、これは普通の依頼と異なる特殊なケースだから俺が処理しておくから安心しろ。基本的には森の中でケリをつけるつもりだが何が起こるかわからねえ。用心しろよ」

「わかりました。絶対に油断しません」

「その様子なら大丈夫そうだな。んじゃお互い気張ろうぜ」

ギリギリまで打ち合わせをするのだろうか、何人かの冒険者と会議室に向かうガイさん。

俺も準備しないと。俺は急いで黒鉄に向かった。


「いらっしゃいませ。おや、ゴート君か。どうしたんだい?」

「こんにちは、ケニーさん。実は投げ槍が欲しくて。有りますかね?」

「投げ槍か…。この前作った槍ではなくってことかい?」

「そうですね。今回欲しいのは完全に投げる用の槍です」

「短めでも良いのなら在庫があったはずだ。少し待ってて」

ケニーさんが持ってきてくれた投げ槍は五十センチ程の比較的小さなものだった。

早速持ってみて重心を確かめる。これなら何回か投げれば大丈夫そうだ。

「これならいけそうです!いくらになりますかね?」

「今時投げ槍を使う人も少ないから売れ残ってたんだよね。だから一本三万エルで良いかなと思ってる。そういえば何本か在庫があったんだけど一本で良いのかい?」

「一本の予定だったんてすが、その値段なら二本買おうかと思います」

「なら二本で五万エルにまけとくよ。これからも売れるかわかんない商品だしね」

「ありがとうございます!これ代金です!」

ケニーさんにお代を支払い槍を貰う。これは嬉しい誤算だ。これで大分武器が充実してきた。

「ゴート君も明日の魔狼狩りに参加するのかい?」

ケニーさんが心配そうな表情で明日の討伐について聞いてきた。

「いえ、俺はあくまで支援部隊なので…」

「そうか、それなら取り敢えず安心かな。それでも充分気を付けるんだよ」

「心配どうもです」

この前からだけど人に心配されるのは凄くむず痒い。

「ケニーさんありがとうございました、それではまた」

羞恥心も手伝って足早に店を出る。
後は夕方まで新しい槍の練習をしよう。そして万全の態勢で明日に挑まねば。
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