38 / 60
三章
セカの街の冒険者達9
しおりを挟む
魔狼と対峙した日から二週間。俺は左腕の事も考えて比較的簡単な依頼をこなしていて、そのおかげか傷もすっかり良くなった。
また冒険者組合では五級冒険者のアークさんを中心に精鋭達で魔狼の調査が行われていた。
ガイさん曰く今回のような魔狼の複数発生はセカの街では先例が無く、この前の俺のような事にならないように、かなり慎重に再調査に取り組んだらしい。
五体の魔狼を倒すだけならここまで念入りに調査することは無いらしいが、魔狼が更に発生している可能性や、中途半端に魔狼を討伐して街の東側や西側に逃げられないようにするため念入りに準備しているようだ。
今日も依頼を確認するために冒険者組合へ向かう。
「ガイさん、おはようございます。魔狼の調査はどんな感じですか?」
扉を開けるとガイさんが居たので挨拶がてら魔狼について聞いてみる。
「お、ゴートか。魔狼の調査なら昨日一段落したところでな、ようやく明日は魔狼狩りだ」
「ついにですか…。俺は応援することしか出来ませんが、頑張って下さい」
「今回は七級以上のメンバーでの討伐だからな。ゴートは安心して任せておけ…いや、まてよ」
急にガイさんが考え事をし始めた。いったいどうしたのだろうか。
しばらくしてガイさんがこちらを見ながらゆっくりと話し始めた。
「…ゴート、魔狼狩りに参加する気はあるか?」
「え!?さっき七級以上って…」
「勿論実際に森に入る討伐隊は七級以上に限定しているんだが、他にも領兵からなる支援部隊があってな。討伐隊が森の東側と南側から進む関係で、森の北から西にかけて位置どって万が一魔狼が森から逃げ出したときに対応するために部隊を置くんだ」
想像以上の規模に初めは驚いたが、一般人や新人冒険者にとって魔狼は絶大なる脅威となるので当然なんだろう。
「しかしここ最近の国境の緊張の高まりのせいで兵士がそっちに行ってるみたいでな。冒険者組合との連絡係が足りないみたいで、誰かいないか探してたんだ。お前は足の早さなら下級冒険者の中でもトップクラスだしな。まあこの前の事もあるし無理にとは言わないが」
「俺なら大丈夫です。やらせてください」
確かにこの前魔狼に殺されかけて恐ろしいという気持ちもある。だけどそれ以上に悔しさがある。直接戦う事は無いかも知れないが少しでも力になれるなら参加したい。
「わかった。明日の朝八時に南門の前に集合だ。担当の兵士が居る筈だからそいつの指示に従ってくれ。あとは受付だが、これは普通の依頼と異なる特殊なケースだから俺が処理しておくから安心しろ。基本的には森の中でケリをつけるつもりだが何が起こるかわからねえ。用心しろよ」
「わかりました。絶対に油断しません」
「その様子なら大丈夫そうだな。んじゃお互い気張ろうぜ」
ギリギリまで打ち合わせをするのだろうか、何人かの冒険者と会議室に向かうガイさん。
俺も準備しないと。俺は急いで黒鉄に向かった。
「いらっしゃいませ。おや、ゴート君か。どうしたんだい?」
「こんにちは、ケニーさん。実は投げ槍が欲しくて。有りますかね?」
「投げ槍か…。この前作った槍ではなくってことかい?」
「そうですね。今回欲しいのは完全に投げる用の槍です」
「短めでも良いのなら在庫があったはずだ。少し待ってて」
ケニーさんが持ってきてくれた投げ槍は五十センチ程の比較的小さなものだった。
早速持ってみて重心を確かめる。これなら何回か投げれば大丈夫そうだ。
「これならいけそうです!いくらになりますかね?」
「今時投げ槍を使う人も少ないから売れ残ってたんだよね。だから一本三万エルで良いかなと思ってる。そういえば何本か在庫があったんだけど一本で良いのかい?」
「一本の予定だったんてすが、その値段なら二本買おうかと思います」
「なら二本で五万エルにまけとくよ。これからも売れるかわかんない商品だしね」
「ありがとうございます!これ代金です!」
ケニーさんにお代を支払い槍を貰う。これは嬉しい誤算だ。これで大分武器が充実してきた。
「ゴート君も明日の魔狼狩りに参加するのかい?」
ケニーさんが心配そうな表情で明日の討伐について聞いてきた。
「いえ、俺はあくまで支援部隊なので…」
「そうか、それなら取り敢えず安心かな。それでも充分気を付けるんだよ」
「心配どうもです」
この前からだけど人に心配されるのは凄くむず痒い。
「ケニーさんありがとうございました、それではまた」
羞恥心も手伝って足早に店を出る。
後は夕方まで新しい槍の練習をしよう。そして万全の態勢で明日に挑まねば。
また冒険者組合では五級冒険者のアークさんを中心に精鋭達で魔狼の調査が行われていた。
ガイさん曰く今回のような魔狼の複数発生はセカの街では先例が無く、この前の俺のような事にならないように、かなり慎重に再調査に取り組んだらしい。
五体の魔狼を倒すだけならここまで念入りに調査することは無いらしいが、魔狼が更に発生している可能性や、中途半端に魔狼を討伐して街の東側や西側に逃げられないようにするため念入りに準備しているようだ。
今日も依頼を確認するために冒険者組合へ向かう。
「ガイさん、おはようございます。魔狼の調査はどんな感じですか?」
扉を開けるとガイさんが居たので挨拶がてら魔狼について聞いてみる。
「お、ゴートか。魔狼の調査なら昨日一段落したところでな、ようやく明日は魔狼狩りだ」
「ついにですか…。俺は応援することしか出来ませんが、頑張って下さい」
「今回は七級以上のメンバーでの討伐だからな。ゴートは安心して任せておけ…いや、まてよ」
急にガイさんが考え事をし始めた。いったいどうしたのだろうか。
しばらくしてガイさんがこちらを見ながらゆっくりと話し始めた。
「…ゴート、魔狼狩りに参加する気はあるか?」
「え!?さっき七級以上って…」
「勿論実際に森に入る討伐隊は七級以上に限定しているんだが、他にも領兵からなる支援部隊があってな。討伐隊が森の東側と南側から進む関係で、森の北から西にかけて位置どって万が一魔狼が森から逃げ出したときに対応するために部隊を置くんだ」
想像以上の規模に初めは驚いたが、一般人や新人冒険者にとって魔狼は絶大なる脅威となるので当然なんだろう。
「しかしここ最近の国境の緊張の高まりのせいで兵士がそっちに行ってるみたいでな。冒険者組合との連絡係が足りないみたいで、誰かいないか探してたんだ。お前は足の早さなら下級冒険者の中でもトップクラスだしな。まあこの前の事もあるし無理にとは言わないが」
「俺なら大丈夫です。やらせてください」
確かにこの前魔狼に殺されかけて恐ろしいという気持ちもある。だけどそれ以上に悔しさがある。直接戦う事は無いかも知れないが少しでも力になれるなら参加したい。
「わかった。明日の朝八時に南門の前に集合だ。担当の兵士が居る筈だからそいつの指示に従ってくれ。あとは受付だが、これは普通の依頼と異なる特殊なケースだから俺が処理しておくから安心しろ。基本的には森の中でケリをつけるつもりだが何が起こるかわからねえ。用心しろよ」
「わかりました。絶対に油断しません」
「その様子なら大丈夫そうだな。んじゃお互い気張ろうぜ」
ギリギリまで打ち合わせをするのだろうか、何人かの冒険者と会議室に向かうガイさん。
俺も準備しないと。俺は急いで黒鉄に向かった。
「いらっしゃいませ。おや、ゴート君か。どうしたんだい?」
「こんにちは、ケニーさん。実は投げ槍が欲しくて。有りますかね?」
「投げ槍か…。この前作った槍ではなくってことかい?」
「そうですね。今回欲しいのは完全に投げる用の槍です」
「短めでも良いのなら在庫があったはずだ。少し待ってて」
ケニーさんが持ってきてくれた投げ槍は五十センチ程の比較的小さなものだった。
早速持ってみて重心を確かめる。これなら何回か投げれば大丈夫そうだ。
「これならいけそうです!いくらになりますかね?」
「今時投げ槍を使う人も少ないから売れ残ってたんだよね。だから一本三万エルで良いかなと思ってる。そういえば何本か在庫があったんだけど一本で良いのかい?」
「一本の予定だったんてすが、その値段なら二本買おうかと思います」
「なら二本で五万エルにまけとくよ。これからも売れるかわかんない商品だしね」
「ありがとうございます!これ代金です!」
ケニーさんにお代を支払い槍を貰う。これは嬉しい誤算だ。これで大分武器が充実してきた。
「ゴート君も明日の魔狼狩りに参加するのかい?」
ケニーさんが心配そうな表情で明日の討伐について聞いてきた。
「いえ、俺はあくまで支援部隊なので…」
「そうか、それなら取り敢えず安心かな。それでも充分気を付けるんだよ」
「心配どうもです」
この前からだけど人に心配されるのは凄くむず痒い。
「ケニーさんありがとうございました、それではまた」
羞恥心も手伝って足早に店を出る。
後は夕方まで新しい槍の練習をしよう。そして万全の態勢で明日に挑まねば。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
弁えすぎた令嬢
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。
発端は彼女の父親が行方不明となり、叔父である父の弟が公爵邸に乗り込んで来たこと。
何故か叔父一家が公爵家の資産に手を付け散財するが、祖父に相談してもコロネに任せると言って、手を貸してくれないのだ。
そもそも父の行方不明の原因は、出奔中の母を探す為だった。その母には出奔の理由があって…………。
残された次期後継者のコロネは、借金返済の為に事業を始めるのだ。
小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる