冒険者ゴートの一生

ケバブ

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三章

外伝 戦士達の宴

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「魔狼討伐完了に…乾杯っ!」

「「乾杯!」」

全員を代表してガイが音頭をとり乾杯の声と共にジョッキをぶつける音が響き渡る。

ここは冒険者組合近くの割と大きめの居酒屋で
作戦に参加した冒険者と翌日勤務がない一部の領兵の二十人程が今日の作戦を労おうと集まっていた。

勿論ゴートも参加しており、同じ九班の隊長達と同じテーブルについていた。

乾杯の合図で先ず一口。

「ぷはっ!やっぱり仕事終わりのビールは良いものだ」

「俺はこのために生きてますからね!」

「隊長も副隊長も凄く美味しそうに飲みますね。俺もビールは嫌いじゃないけど果実酒の方が好きです」

「ゴートはまだまだ子供だなあ。って隊長、副隊長呼びはもうやめようぜ。ゴートは兵士でもないんだからさ。俺のことはコールって呼んでくれ!」

「それなら私もランドで良い。せっかくのこういう場だからな」

「わかりました。ランドさん、コールさん」

再び小さく乾杯する三人。

「しっかしゴートには驚きましたね」

「ああ。冒険者組合からは、まだ若いが足が早く活きのいい奴だと聞いていたが、ここまでとはな」

「村での魔狼狩りの経験があって良かったです」

「村で魔狼狩り?そういえばゴートは何処出身なんだ?」

「デミ村ってとこです」

「あのデミ村出身か!道理で」

「聞いたことがないな…隊長、俺にも教えて下さいよ」

「聞いたことがないのも無理はない。デミの村は比較的国境の近くにある村で、森のなかにある珍しい村なんだ」

「森の中って野生動物や魔獣が出るんじゃ?」

「それらを狩猟して生活していると聞いたが…。ゴート、実際どうなんだ?」

「大体合ってますよ。森のなかで畑や狩猟、採集なんかして生活してます。でも魔獣は魔狼がたまに出る程度でそこまで危険でも無かったですよ。大抵は罠で動きを止めて皆で一気にやりますし」

「はぁー。だから年齢の割には肝が据わってんのかね」

「狩猟文化ならではの強みだな。どうだゴート、俺の部隊に来ないか?今からしっかり鍛えれば相当良い斥候になると思うんだが」

「む、無理ですよ!俺集団行動とか苦手ですし…あとまだまだ冒険者として色んな所を回ってみたいんで!」

突然のスカウトに慌てながらもゴートが答える。

「あらら、残念でしたね隊長」

「そうか、気が変わったら何時でも私を訪ねてくれ」

ゴートが断る事が何となくわかっていたのかおどけた口調で反応するコールと本気で残念がっているランド。よっぽど自分の部隊に入れたかったようだ。

その後も各々が使う武器の話や鍛練方法について話し一通り盛り上がった。話が進めば酒も進む。皆のジョッキが空になった所でランド達が他の兵士のところに挨拶をしてくると席を離れた。



ゴートもガイかアークの所に挨拶をしに行こうと辺りを見回していると突然の大きな声と足音が近付いて来てゴートの肩を叩き始めた。

「いたいた、見つけた!」

「でかした、流石はウッズ!」

「任せとけってんだサッズ。おーい、こっちだイング!」

「わかったわかった。今行くから席に座っとけ」

「「あいよ!」」

サッズ、ウッズと呼びあっていた男達は呆気にとられているゴートをあれよあれよというまに席に座らせる。

「さて、取り敢えず乾杯でも…って少年!ジョ、ジョッキが空じゃねえか!?」

「なにぃ!?ウッズそれは大問題だぞ!」

「だよなサッズ!少年何が飲みたい!」

「あ、え、果実酒で」

二人の勢いに飲まれっぱなしのゴートだが、とにかく質問には反応しなければと混乱しながらも答える。

「果実酒だな!よし、お兄さんに任せろ!」

「ウッズ、抜かるなよ!」

「おうよ!」

三人が喜劇の様なやり取りをしている所へ、先程イングと呼ばれていた男がやって来た。

「お前らはもう少し落ち着けねえのか…」

あっという間に果実酒を注いできて、ゴートにジョッキを渡しながらウッズが笑う

「アッハッハッハ!イング冗談キツいぜ、なあサッズ!」

「おうともよ!俺達が大人しくしてるときは酒が無くなった時だけよ」

「はぁ…。まあいい。ゴート君だったか、改めて自己紹介をさせてくれ。俺の名前はイング。七級冒険者で樵の仕事もしている。そしてこの煩い双子がウッズとサッズ。一応七級冒険者で樵仕事の時は俺の部下でもある」

「「よろしく!」」

「えっと、九級冒険者のゴートです。ん…?あっ昼間の!」

冷静なイングが登場してくれたおかげか落ち着いてきたゴートは、この三人が昼間魔狼討伐の際に森から飛び出してきた冒険者だと今になって気がついた。

「その通り。昼間は手間をかけた。言い訳になるが魔狼があそこまで逃げていくのは想定外だった。普段なら死ぬまで向かって来るんだがな」

「いえ、俺もあんなに逃げる魔狼初めてでしたし。俺の方こそ皆さんが追い詰めてくれたおかげで怪我無く魔狼をやれましたから」

「恩に着る。しかし九級とは思えない戦い方だったな。あれは独学で?」

「村で教えてもらった物にアレンジを加えたものです。狩猟が必須の村で育ったもので」

「成る程。それなら納得だ。因みに万全の魔狼を単独で狩ることが出来れば、戦闘面だけで言えば確実に六級以上となるから覚えておくと良い」

「凄く参考になります。ありがとうございます、イングさん」

途中までは初対面ということ、また未だに慣れない誉め言葉に照れながら話を聞いていたゴートだったが途中から神妙な顔つきになる。

魔狼との一件を通して以前より明確に強さというものを意識し始めたからだろう。

二人に真剣な雰囲気が漂い始めたとき、突然香ばしい匂いが流れてくる。

「ほれ!焼き鳥だ!焼きたてを皆の分確保してきたぜ!」

「流石はウッズだ!ほらほら二人とも冷めないうちに食べようぜ」

「それもそうだな。ゴート君同じ街の冒険者としてこれから宜しく」

「こちらこそよろしくお願いします!」

「よっしゃ!んじゃもう一度乾杯といこうぜサッズ!」

「任せろウッズ!それじゃあ新しい出会いにー」


「「乾杯っ!」」
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