冒険者ゴートの一生

ケバブ

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四章

旅立ちの下級冒険者3

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ケニーさんとランさんの事は後で考えるとして、今は準備を続けないといけない。

もう少しで昼になる時間だし、何か差し入れを持っておやっさんの所に行こうかな。

近くの店で大人数で摘まめるような焼き菓子を購入し農園へ向かう。今からゆっくり行けば昼休憩している頃だろうし邪魔にならないだろう。


農園に着くと予想通り昼休憩の時間だった。のんびりご飯を食べてる人も居れば、早々に食べ終わったのだろう、敷物の上で昼寝している人も居るようだ。

知り合いに軽く挨拶をしながらおやっさんを探していると、畑の前でご飯を食べながらホッブさんと何か話している姿を見つけた。

「おやっさん、ホッブさん、お疲れ様です」

「よおゴート!春ぶりか?」
「またでっかくなってるような気がする…沢山食ってる証拠だな!」

おやっさんはともかくホッブさんは会うたびこんな感じ。

「たしか春カブの収穫を手伝った時以来なのでその位ですねおやっさん。相変わらずですねホッブさんは…まあ確かに沢山食べてますけど」

「今日はどうした?」

「実は少しの間街を離れて色んな所を回ろうかと思ってまして、一応報告に。あ、これ差し入れです」

「お、すまねえな。ホッブ、皆に配ってきて貰えるか?」

「あいよっ。ゴート、体には気を付けるだぞ。命あっての物種だからな」

焼き菓子を持って皆の所へ向かうホッブさん。俺の事を心配してくれているんだろうな。

「そうか…ゴートもそんな時期か」

「そんな時期?」

「ああ、俺も冒険者だったからわかるんだ。自分の力を試したい、色んな所に行ってみたい。理由は色々あるが大きくない街の冒険者だったら皆そんな風に思う時が来る…」

昔を懐かしむ様な、どことなく悲しげな表情から、真剣な、緊張感漂う表情へと変わる。

「ゴート、絶対に後悔だけはするなよ。そして命の賭け所を見誤るな」

「…はい」

初めて見るおやっさんの表情に気圧されるものの、腹に力を込めてゆっくりと返事をする。

「俺からはそれだけだ。戻ったらまた焼き肉でもしようぜ!」

何時ものように豪快な笑顔。

「はい!ありがとうございます!」

ホッブさんやモリーさんに挨拶をして農園を後にする。

何も聞きはしないがおやっさんは、昔冒険者時代に何かあったのかもしれないな。

冒険者には辛いことや、厳しいこと、何より危険が沢山ある。おやっさんのお陰でその事を改めて実感したな。



街に戻り適当に昼食を済ましてから、旅に必要なものはないか店を回りながら歩いているとリーフさんとヒナさんを見つけた。

二人も気がついたようで仲良さげにこっちに歩いてくる。
二年前ヒナさんが孤児院から自立する年になったのをきっかけに婚約したらしい。

「こんにちはゴート君、今日は依頼は休みですか?」

気さくに話しかけてくれるリーフさん。ヒナさんは軽く会釈をした後はリーフさんの横で朗らかな顔を浮かべている。何とも幸せそうだ。

余り二人の邪魔をしてもいけないので、簡単に旅立つことを説明する。

「そうか…寂しくなるね」

「旅と言っても一年か二年で戻る予定ですけどね」

「いや、旅は何が起こるかわからないものさ。もしかしたら旅先の何処かに住み続ける事になるかもしれないしね」

確かに可能性としてゼロではないのか。
そう考えるとリーフさんのリアクションも頷ける。

「所でこの事はヘイルには伝えたのかい?」

「明日か明後日には孤児院を訪ねようかと思ってました」

「たしか明後日なら孤児院に居るはずですよ」

「それじゃ明後日お邪魔しようかな」

「是非。ヘイルも喜ぶと思いますので」


二人と別れて再び街をぶらつく。

「ヘイルと会うのも久しぶりだな…」

ヘイルとは三年前の依頼を切っ掛けに良く訓練をつけていた。とはいっても教えたことは基本的な鍛練方法や森の歩き方、薬草の見つけ方といった程度だけど。大体一年間位教えていたかな。

年齢の関係で見習い冒険者のヘイルだが、来年十五歳になればすぐに九級冒険者になれるだろう。

「ヘイルにも何か贈りたいな…」

ヘイルは初めて色々教えた後輩冒険者だ。良い機会だし何か贈り物をしたい。出来ることなら冒険者として役に立つ物が良いな。

「取り敢えず色々見てみるか!」

旅に必要な道具とヘイルへの贈り物を探すため、俺は再び散策を始めるのであった。
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