人外美丈夫がこんなにもド攻めだなんて聞いてない!~花売りの受けが人外攻めに手を貸したら大変な事件に巻き込まれました~

真田火澄

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第四話 ☆

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 *****

「んんっ、んぅ……っ」

 何度も深いキスをされる。
 その間に、ハオランの手がそっとルォシーの腰を撫でていた。
 背筋がぞわぞわする。でも、嫌ではなかった。

 服の裾から入り込んだハオランの手が、さりさりと肌を撫でる音がかすかに聞こえる。大きな手のひらは温かく、こちらを気遣いながら触れてくれている。
 それがよく分かったので、ルォシーは頑張って身体の緊張を解こうとした。ハオランの唇が離れたタイミングで、大きく深呼吸を繰り返す。
 今からこんな調子で、大丈夫なのだろうか。

「ルォシー、大丈夫か?」

「だいじょうぶ……」

「そうか。続けても?」

 無言で頷くほか無い。

 ルォシーの許可を得ると、ハオランは本格的にルォシーを脱がしにかかった。
 優しく帯を取られ、ハオランの目の前に晒される。

「は、恥ずかしい……」

「綺麗だ、ルォシー」

「絶対嘘だ……」

「嘘ではない。本当に、綺麗だ」

 絶対嘘だ。
 こんなに貧相で、肌もツヤがないこんな身体。
 それに、女性のように柔らかな胸があるわけでもなく。
 それだというのに、ハオランは妙に嬉しそうに微笑んで、胸周りをゆっくりと撫でていた。

「っ、」

「感じるか?」

「わかんない……でも、変な感じ」

「そうか」

 ちゅ、と首元に吸い付かれて、そのまま彼の頭が下に下りていく。
 乳首にすらキスをされたものの、違和感はあるが特にそれ以外感じない。

 キョトンとハオランを見つめてしまったが、ハオランは気にせずもっと下まで下がっていった。

 ズボンと下着も取り去られ、生まれたままの姿にされる。
 ふる、と揺れた己の肉棒に視線が注がれ、ルォシーは堪らず手で隠した。

「み、見るなよ!」

「手をどけてくれ、ルォシー」

「恥ずかしい……」

「大丈夫だ」

 何が大丈夫なのかさっぱりだ。
 それだというのに、ハオランにそう言われてしまうと手を頑なにどかさないのも申し訳なく感じてしまって、ルォシーはおそるおそる手を離した。
 代わりにハオランの大きな手がルォシーの肉棒を包み込み、ゆっくりと上下に擦られる。

「あっ、んぁあ……!」

「気持ちいいか? ルォシー」

「ん、ん……気持ちいい……ぁふ、あぁあっ」

 肉棒を擦る合間にも、ハオランはルォシーの胸元にキスを忘れない。時折乳首を掠めていくが、はっきりとは触れられなかった。空いた手で腰や腕、手をくまなく撫でられる。何をそんなに優しくしてくれるのか、まったく分からなかった。

「ハ、ハオラン」

「ん? どうした?」

「もっと、酷くてもいいよ?」

 正直、ルォシーに対してこんなことをしてくる連中はこんな優しくなかった。皆ルォシーを物のように扱ってきた。痛い思いしかしてこなかった。
 さすがに身体の中に入ろうとはしてこなかったものの、それでもこんなに優しく優しく扱われることなんてなかった。

「おれ、こんなに優しくされたことないし……」

 そう告げた途端、ハオランの手がビタリと止まった。
 何か怒らせるようなことをしただろうか、と焦りが出て、これまでされてきたことを思わず正直に口にしてしまう。

「みんな、おれのことなんて物だと思ってるから、こんなにいっぱいキスなんてされたことないし、優しく触られるなんて初めてで……だから、別に、酷くしてもいいよ?」

「……」

 ルォシーが口を開けば開くほど、ハオランの顔が険しくなっていく。そんなに変なことを言っているだろうか。分からない。
 だから、これがハオランの地雷だったなんて、分からなかったのだ。

「こんなにおれのこと触ってくれなくていいよ。おれ、口開けてるからさ。だから、おれの口使ってめちゃくちゃにちんこ突っ込んでいいよ?」

 プツン、と糸が切れるような音が聞こえた気がする。

「……ルォシー」

「……はい」

 ハオランの迫力ある声に、思わず小声になる。
 なにを怒っているのだろうか。
 分からない。

 身体が固まってしまう。

 黙ってしまったルォシーを見て、ハオランはふぅと一息吐いたあと、肉棒に絡んでいた手を離してギュウとルォシーを抱き締めてきた。

 そのままゆっくりと起き上がられ、ハオランの膝の上に乗せられる。

 彼の温かな体温が、ルォシーの固まった身体が心ごと解れていくのが分かった。
 不思議な人だ。本当に。いや、人ではないのだけれど。

「私は、お前に酷いことをしたいとも、手篭めにしたいとも思っていない」

「え? そう、なのか?」

「あぁ。ただ、お前と心を分かち合い、互いに魔力を補い合おうとしただけだ」

 そう告げられても、心はともかく魔力についてはピンとこない。彼の腕に縋りつきながら、気のない返事をしてしまうと、ハオランはルォシーに服を軽く着せ直してから説明してくれた。

「日々生活をしていると少しずつ魔力が減ってしまうのは知っているな?」

「うん」

「それらの微々たる魔力は、身体を休めることで補充することができる。そこまではわかるな?」

「うん」

 こんな魔力回復のできない場所でルォシーが生きていけているのも、これのおかげだ。寝れば治る。風邪よりも簡単なことである。

 だが、ハオランの場合、魔力を大量に使ってしまったので、それを回復するためには別の方法で補う必要があると言う。

「魔力回復で手っ取り早いのは、自分だけの源泉に行くことだが……今はそこに行く暇はない。ならば、次の手立てを考えた」

「……それが、この行為なの?」

「そうだ。……本当は、もう少し時間をかけて進めたかったが……お前の心を無視するのは、私の倫理に反する」

 心については、ハオラン相手であればこの行為をしてもいいと思っている。それはルォシーにとっては最大限心を曝け出していると言っても過言ではなく、ルォシーは必死にそれを伝えようとハオランに抱き付く力を強めた。

「おれは、こういうことをハオランとするのは、全然嫌じゃないよ。他の奴らみたいに怖くない。嫌な感じもしない。これでハオランが元気になれるなら、いいよ」

「うん……ありがとう。この行為の意味には続きがある」

「続き?」

 そういえば、次の手立てと言っていた。
 大人しくハオランの言葉を待った。

「魔力は、体内に宿る。それを分け与えてもらうには、陰と陽の……この話は長くなるから後だ。つまり、心と身体を重ね合わせることで、互いの魔力を補い合うことができるんだ」

 なるほど、と納得したものの、まだよく分からない。
「ともかく」とハオランが続けた。

「この行為において、ルォシーに手酷いことをする意味はない。お前にも気持ちよくなって欲しい。痛みを感じず、傷も負わず、ただただ私と共に溶け合って欲しい。わかったか?」

「うん。わかった」

 抱きついていた腕を緩めてハオランを見上げると、どちらからともなく唇を合わせた。先ほどよりもゆっくりと唇を食まれて、本当に溶けていきそうだ。

「続きをしてもいいか? ルォシー」

「うん。いいよ」

 ハオラン相手なら、怖くない。
 これだけ短期間で心を開いてしまった自分にも驚きだが、実際まったく怖くなかった。
 舌を吸われることも、肉棒に触れられることも、いつもなら身体が竦み上がってしまうというのに。
 鼻から抜けていく声が自分から出ているとは思えないほど甘い。

「ん、んぅ……ぁ、っ、ん」

 キスをしている合間に水音が響く。
 気付けばハオランの手がまたルォシーの肉棒に絡んでいて、背筋に甘い電流が走った。

「ん、んっ、待って、ハオラン、出ちゃう……っ!」

「出していい、ルォシー」

「あっ、あ、やば、出る、出ちゃ、アァッ! あっ、んんっ……!!」

 ビュル、とハオランの手の中で白濁が弾けた。
 カクカク揺れる腰を止めることができない。

「かわいいな、ルォシー」

「ん……んん……」

 ようやく息と白濁の勢いが落ち着いた頃に、ルォシーの白濁に塗れたハオランの手がルォシーの尻に触れる。

 あぁ、男同士だとそこを使うのか、とぼんやりした頭で気づいた。

 ハオランの指が後孔に触れる。
 それだというのに、やっぱり恐怖心はなかった。

 ******

「あっ、あ、あぁあっ!」

 ハオランの膝上から、ベッドの上に四つ這いにさせられてからどのぐらい時間が経っただろう。
 痛くしたくない、という彼の意向通り、今は丁寧に丁寧に後孔を解されている。いつどこで入ったのか分からないが、ハオラン曰く、今は三本の指が後孔に入っているらしい。

 彼の意外と太く武骨な指が中を縦横無尽に動き回ることへの違和感は、とうに消えた。
 最初は異物感へ気持ち悪さを覚えたものの、とある一点をハオランの指が掠めた途端気持ちよさが押し寄せてきた。

 ルォシーの反応にハオランは気を良くしたのか、何度もその一点を撫でてくる。
 頭の中にチカチカと星が舞い、喉からはハオランの指の動きに合わせて甘い声が出続けた。

「や、やぁあっ、アッ、ハオラン、ハオラ……っ、ぁっ!」

「どうした、ルォシー」

「そこ、そこぉ……っなんか、変……!」

「変……たとえば、どういう風に?」

 頭がいいはずなのに、ルォシーよりはよっぽど経験が豊富そうなのに、ハオランは淡々とそんな風に聞いてきた。
 その声に反応して、今日何度目か分からないが、また果ててしまった。びちゃりと嫌な音を立てて、もう透明に近い白濁が肉棒から放たれる。そんなルォシーに、ハオランは後ろから覆いかぶさってきて耳元で「可愛いな」と笑った。

「あたまが、ふわふわしてっ……! なんか、こわい……!」

「大丈夫だ、ルォシー。身を委ねてくれ」

「は、あ、あっ、ああっ!」

 くりくりと気持ちいい一点をいじられて、背がしなった。
 同時に、残りの二本の指で入り口をグイっと広げられていく。じっとそこをハオランが見つめているのを肌で感じるものの、止めるすべをルォシーは持っていなかった。

 ぐいぐい広げられた後穴を見て、ハオランはなにがしかを良しとしたようで、ずるりと指が抜けていく。それにすら背筋が震えてしまって、自分の身体が自分でないような感覚にルォシーは目を白黒させた。

「ルォシー」

「は、あ、なに?」

「こちらを向いてくれ。お前の顔を見てしたい」

 それなら、と身体ごと仰向けになる。
 が、そこでルォシーは固まってしまった。

「なに、それ……」

「え? なに、とは?」

 ハオランがズボンを脱いだ、途端。
 ぼろんと取り出したそれ。

「え、え……?」

「何をそんなに驚いている?」

「いや、あの、なにそれ」

「何とは……マラ、だが?」

 自分のものとは比べ物にならないほど、長く肉太で、黒く、血管の浮き出た、それ。
 思わず、口を押えながら自分の物と見比べてしまった。

「そ、そんなの、入らない……」

「大丈夫だ、ルォシー。怖がらなくていい」

 なにが大丈夫なのかさっぱりだ。

 閉じてしまったルォシーの膝を割ったハオランに、「いやだ」と言ってみたものの、止まってくれない。

「力を抜いてくれ」

「うぅ……」

 優しく太ももと尻をゆるりと撫でられて、ルォシーはようやく腹をくくった。
 脚の力を抜き、ふぅと深呼吸。

 それに合わせて、ハオランのその凶暴な肉棒が後孔に触れた。

 ずち、と水音を鳴らしながら、ゆっくりゆっくり入ってくる。

「は、ぁっ、あ……っ、あぁん……ッ」

 甘えた声なのか、ただ圧迫されて押し出された声なのか、分からない。
 ねじ込まれた長大な肉棒は、ルォシーが快感を得た一点を押しつぶしながら、トンと奥まで到達した。

「ひ、ぃ、ああっ!」

「ルォシー」

「なんか、おく、なに……?」

「大丈夫だ、ルォシー。大丈夫」

 奥に到達したあと、ルォシーの呼吸が整うまでハオランはぎゅうと抱き締めてくれる。
 抱き締め返した背中は大きく、ルォシーを簡単に隠してしまう。
 広げたままの股関節が痛い。
 上にのしかかるハオランが重い。

 だが、胸に沸いたのは多幸感だった。

 は、は、と荒い呼吸を繰り返しつつも、ルォシーはハオランの胸に顔を埋めながら笑った。

「ハオラン」

「なんだ、ルォシー。痛むか?」

「ううん、大丈夫。ハオランがいるから」

 この幸福感はいったいなんだろう。
 分からない。
 分からない、が、ハオランからもたらされるのだから、きっと悪いものではないはずだった。

「動いて、いいよ、ハオラン」

 じっと、ルォシーの様子を見ながら耐えていたハオランに、ルォシーはどうにか告げた。確かに苦しいが、この行為がこれだけで終わるはずがないことくらい分かっていた。
 痛む股関節をどうにか動かして、ハオランの腰にルォシーは脚を絡めた。

「ハオラン、お願い」

「……分かった」

 ハオランが体勢を変えると、中に埋まった肉棒がずるりと動く。それに身体は従順に反応し、ハオランがくすりと笑った。

「では、動くぞ」

「うん。……ぁあっ、あ……っ」

 宣言はしたものの、ハオランは非常にゆっくりと動き出した。
 肉棒が出ていく感覚、ぎゅぎゅうに締め付ける後孔の中を押し入る感覚。そのすべてが初めてで、そして快感を得てしまっている。

 いったい自分はどんな顔をしているのだろう。
 わからない。
 よだれは垂れているし、視界がぼやけているからきっと涙も流しているだろう。そんなぐちゃぐちゃな顔面なのに、ハオランは嬉しそうに微笑みながら、徐々に抽出のスピードを速めていった。

「ッ、ふ、ぅ、あっ、あ……ッ! あぁあっ!」

「ルォシー、気持ちいいか?」

 気持ちいいかどうか、分からない。
 よく、分からない。
 ゴリゴリと凶悪な肉棒はルォシーの中をどんどん犯していく。

「はぁ、あ、ルォシー……熱いな」

「やぁ……っ、ひぃ、ああっ! やめ、そこ触っちゃ……あぁああっ」

 優しく揺さぶられる最中、所在なさげに揺れているルォシーの肉棒にハオランの指が絡む。きっと、達していないことへの配慮だと思うのだが、そんなもの今触られたら堪ったものではなかった。

「やめ、やっ、出ちゃ、出ちゃう……うぅ、あっ、ぅあァああっ!」

 ぴしゃ、と軽い音を立てて、ルォシーはまた果てた。
 それだというのに、ハオランの動きは止まらない。

 ルォシーの腰を掴んで、一心不乱に腰を振っている。
 時折漏れる声は色気たっぷりで、その声が耳に届くだけでまた果ててしまいそうだ。

「やぇ、やめてぇ……っ! こわい、ハオラン、もうむりぃ……っあ、あぁっ、あぁ!」

 ぐちゅぐちゅと淫靡な音が部屋中に響く。
 肌同士のぶつかる音、お互いの荒い呼吸音。
 絶頂が近いのか、ハオランの動きはまた加速した。

 下から突き上げるようにしてくるものだから、ルォシーの身体は半分以上浮いてしまっていて、ベッドについているのは後頭部と肩くらいなものだった。
 そんな体勢で、ルォシーの気持ちいい一点を擦り上げてくるものだから、もう怖くて仕方が無かった。

「ハオラン、ハオラ、そこ、やら、やっ、ああああっ!」

「く、ぅっ、ルォシー、出すぞ」

「あ、ああっ、だめ、そこ、も、あぁああっ! ~~~~っ!」

 どくっ、と、中の肉棒が脈打ち、肉壁に精を叩きつけられる。
 あぁ、ハオランも気持ちよかったのだ、とそこで気づき、また胸は恐怖よりも多幸感を得ていた。

 不思議だ。

 さっきまで、強い快楽を得ることに恐怖を覚えていたというのに。

 向こうが果てて、こちらを愛しそうに見つめてくるこの瞬間に、身体の中心を巡り巡って幸せを感じていた。

 こうして、身体を重ねただけで幸せを感じられるなんて。
 陰だとか陽だとか、源泉だとか、そういうのは分からないが、この行為を通じてハオランが元気になってくれるなら、なんでもいいと思っていたけれど。

「ハオ、ラン……」

「なんだ? 痛むところがあるか?」

「おれ、ハオランと、こういうことするの、好き」

 そう告げたところで、頭がぼんやりしてきて、勝手に瞼が落ちていく。
 ハオランが何かを言っていたような気もしたが、ルォシーはその言葉を聞く間もなく意識を手放した。

 *****

 はっと気づくと、既に外では昼に近い位置に太陽が昇っていた。
 ハオランは、と慌てて身体を起こそうとするも、腰が異常なほど痛みを発し、ルォシーはベッドに逆戻りだ。

 服はきちんと着せられていて、自分の知らない分厚い掛布が掛けられていた。温かい。

 なんだか身体がかぴかぴに乾いているようにも感じる。
 いつも体内から湧き出ていた魔力が、今は半分程度になっていることに気づいた。
 と、いうことは、ハオランにはこの抜け出た半分が渡ったのだろう。元気になっていてくれたら嬉しいのだが。

「ルォシー、起きたか」

「……ハオラン」

 ちょうどその時、ハオランが外から戻ってきた。
 手には瑞々しい果物が詰まった籠があり、どこからか調達してきたらしい。

 家に戻ってきたハオランは、いつものハオランだった。
 肌もぷりっと張りがある。

 あぁ、よかった。
 元気になってくれたのだ。

「起きられるか?」

「無理……」

 腰以外にも、後孔がひりひりと痛む。
 あんな化け物みたいなものを突っ込まれたのだから、仕方がないのだろうが。

 ルォシーの言葉に、ハオランはしゅんと身体を小さくさせた。

「私が無理をさせてしまった。すまない」

「そんなこと言わないで」

 ハオランを助けたいと思っての行動だった。
 それに後悔はない。

 あの行為が、怖いものではないと知れた。二人で溶け合うことができるのだと知った。
 今目の前で、怒られた大型犬よろしく身体を小さくしている男が、あの行為の主導権を握っていたとは少し思えないが。

「ハオラン」

「なんだ?」

「おれ、ハオランとだったら、またしてもいいよ」

 これは本心だ。
 あれでハオランが元気になれるなら。
 それに、とても気持ちが良かった。

 ルォシーの言葉に、ハオランは少し難しい顔をしたものの、「よかった」と呟いた。

「あまりお前に無理はさせたくない」

「無理なんてないよ」

「……あの行為は、お前の身体への負担はもちろん、魔力も持っていってしまう。これ以上続けたら、最悪お前が死んでしまうかもしれない」

 突然何を怖いことを言うのだろう。
 驚いてハオランを見上げると、ハオランの大きな手がルォシーの頭を撫でてきた。

「だが、昨日は本当にありがとう。助かった」

「う、ううん。ハオランには元気になってほしかったし」

 こうして、人間の姿で出歩けるようになったのは、本当に嬉しい。
 頭に乗るハオランの手を取って、スリと頬を寄せると、ハオランは少し驚いたあと嬉しそうに微笑んだ。

「ルォシー」

「ん?」

「先ほど、角のおばあさんから果物をもらった。あとで食べよう」

「うん」

 ハオランと、一緒にいられる。
 ハオランと、一緒にまた食事ができる。

 なんて幸せなのだろう。
 ついこの間までの自分の生活が、まったく想像つかなくなっていた。

 この幸せな空間が、いつまでも続けばいいのに。
 そう願ってやまない。
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