追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

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第一話 クズ勇者、改心する

その六

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『勇者パーティ』を解散したオレは王宮へと向かった。
 マルタも一緒に行くと言うので、それじゃ――ということになる。

 王宮に到着し、事情を説明すると待合室で一時間ほど待機する。
 すると女騎士団長、エオリアが現れた。オレの二歳年上だが、世間からは『鉄仮面』と比喩されるほど、不愛想な女性である。そしてなにより、オレに対して態度が冷たい――

「おい、陛下がお会いになるそうだ。ついて来い」

「ありがとう」とオレが言うと、「フン!」といつにも増して機嫌が悪そうだ。

 なんだろう、オレ、この人に何かしたのかなあ……そんなことを考えているうちに、オレたちは謁見の間へ入った。
 数分後、国王陛下が現れる。そして、フィリシアも――オレとマルタはひざまずき、陛下が座るのを待った。

「グエル、オモテを上げ。話は聞いた。それはまことなのか?」

 さすがの陛下も思ってもいなかった報告に慌てているようだ。

「はい、陛下。間違いありません。勝手ながら承った勇者の称号をお返しさせていただきます」
 淡々と言葉を伝える。陛下は「うむう……」とうなっていた。

「しかし、運び屋職をクビにしなかったから、冒険者ギルドを除名するなど――そもそも、運び屋職が冒険者に不要だなんて――余がマコーミックへ考えを改めるように言ってやってもイイのだぞ」
「お心遣い、感謝いたします。ですが、それではギルドマスターとしての沽券こけんにキズが付いてしまいます。そもそも、冒険者ギルドは国とは独立した組織。どうかお口出しはしないように、失礼ならが上申いたします」

 実のところ、陛下の口添えで冒険者ギルドに戻ったとしても、居心地が悪いに決まっているしなあ……
 『勇者』でなくなったからって、別にスキルを奪われたわけではない。全てのスキルを奪われて、奴隷に堕ちた前の人生とは雲泥の差だ。

「しかし――」

 陛下は何か言いたそうだったが、オレは先に発言する。

「それと、『勇者』ではなくなりますので、フィリシア殿下との婚約も解消させていただきたいと思います」

 そう。それもハッキリしておきたかった。
 実のところ、前の人生では『勇者』であると同時に、『殿下の婚約者』というおごりが、身の破滅を呼んだと思っているからだ。ここは潔く、すべての肩書きを取り払いたい。

「だが、それはフィリシアの気持ちも確認したうえで――」
 陛下はそう言うのだが――

「いえ、これは勇者の資格をはく奪されたから――だけではないのです。そもそも、私は殿下の相手として相応しくなかったのです」

 これもしっかりケジメを付ける必要がある。

「――それは、どういうことじゃ?」

 意味がわからない――という表情の陛下だったが、オレは正直に白状する。

「オレは――私は殿下の婚約者であるにも関わらず、他の女性と関係を持っていました」

 もちろん、ニグレアのことだ。
 あの頃、フィリシアはオレのことを心底慕っている――そう思い込んでいた。だから、ちょっとくらい他のオンナと遊んでも大丈夫――そんなふうに考えていた。
 今から思えば、なんて身勝手な思考だったと、自分自身がハラ立たしくなる。破滅して当然だ。

「陛下に伝えなければならないことは以上です。それでは失礼いたします」
 一礼すると、オレは出口へと向かった。

「グエル様!」そういう声が聞こえる。フィリシアだとすぐにわかった。

 だが、オレは振り向かない。振り向くのが怖かったんだ。前の人生で、フィリシアがオレに向けた、汚物を見るような視線――アレをもう一度見る勇気はない。

「殿下の幸せを心から願っております」
 無礼を承知で、背を向けたままそう伝えた。

「グエル――」

 隣にいたマルタがオレとフィリシアを交互に見ながら、狼狽えた表情を見せている。オレは笑ってみせた。
「さあ行こう、マルタ」

 こうして、王宮から出てくる。
 晴れて、何の肩書もない『無職の男』とオレはなったのだ。
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