追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

文字の大きさ
8 / 84
第一話 クズ勇者、改心する

その五

しおりを挟む
 それから、いつもの酒場に集まった勇者パーティのメンバー――いや、もう勇者ではないのか――

「――と、いうことだ。オレはマルタをクビにするつもりはない。だから、残る選択は二つだ。ニグレア、クローゼ、ロゼル、それぞれが判断してほしい。パーティに残るか、抜けて冒険者ギルドへ戻るか」
 オレは三人にそう伝えた。

「バッカじゃないの!」
 そう大声を出したのはニグレアだった。

「残るか、抜けるかだって? 抜けるに決まっているでしょ! グエル! アンタ、頭がおかしくなっちゃったんじゃないの!? ああ、もうイイわ。じゃあね」

 さっさと席を立ち、店を出ていく。
 次にクローゼが立ち上がった。

「オマエもパーティを抜けるのか?」
 オレの質問にクローゼは――

「オレは騎士団から『勇者』を支援するように言われている。だから、『勇者パーティ』でないココに残る理由はない」
 めずらしく、クローゼの長いセリフを聞いたと思ったら、そのまま彼も店を出ていった。

 残るは――

「いやあ、ふたりとも薄情ですよね」と、笑みを浮かべるロゼル。

「ボクは残りますよ――と言いたいところなのですが、ボクも教会から勇者を支援するように言われてきているので――」
 そう言って、彼も席を立つ。

「どうか、恨まないでくださいね」
「あ――ああ、ロゼルも今までありがとう」
 一応、カッコよく言ってみせる。

 しかし、心の中ではかなり焦っていた。
 あれぇ? 三人とも薄情だろ?
 ていうか、オレの人望、なさすぎじゃねえ?

 ハ、ハ、ハ……と、顔が引きつりながら笑った。ロゼルを見送ると、店にはオレとマルタが残る。

「グエル……どうして、ボクのために……」

 マルタは涙を流しながら、「ごめんなさい」と謝ってきた。

「バ、バカだなぁ。謝るなよ。オレとオマエの仲だろ? また、昔に戻っただけじゃないか」

 そうだった。故郷からこの王都へ出てきた時、オレの仲間はマルタひとりだった。『二人でいつかパーティを組むんだ!』、そう肩を抱き合いながら――そこに戻っただけだ――と、自分にも言い聞かせる。
 それでも泣き止まないマルタ。
 コイツはそういう男だ。気弱で優しくて、そもそも戦いなんて性に合っていない。だから、コイツが『運び屋』の神託を受けたとき、オレはなんとなくホッとしたんだ。
 それなのに、パーティを追い出すなんて――あの頃のオレはどうかしていたんだな。まあ、それはそうと――

「それじゃ、王宮に行ってくるわ」と、席を立つ。
「王宮?」
「ああ、勇者でなくなったからな。その挨拶に行くのさ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

処理中です...