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第一話 クズ勇者、改心する
その五
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それから、いつもの酒場に集まった勇者パーティのメンバー――いや、もう勇者ではないのか――
「――と、いうことだ。オレはマルタをクビにするつもりはない。だから、残る選択は二つだ。ニグレア、クローゼ、ロゼル、それぞれが判断してほしい。パーティに残るか、抜けて冒険者ギルドへ戻るか」
オレは三人にそう伝えた。
「バッカじゃないの!」
そう大声を出したのはニグレアだった。
「残るか、抜けるかだって? 抜けるに決まっているでしょ! グエル! アンタ、頭がおかしくなっちゃったんじゃないの!? ああ、もうイイわ。じゃあね」
さっさと席を立ち、店を出ていく。
次にクローゼが立ち上がった。
「オマエもパーティを抜けるのか?」
オレの質問にクローゼは――
「オレは騎士団から『勇者』を支援するように言われている。だから、『勇者パーティ』でないココに残る理由はない」
めずらしく、クローゼの長いセリフを聞いたと思ったら、そのまま彼も店を出ていった。
残るは――
「いやあ、ふたりとも薄情ですよね」と、笑みを浮かべるロゼル。
「ボクは残りますよ――と言いたいところなのですが、ボクも教会から勇者を支援するように言われてきているので――」
そう言って、彼も席を立つ。
「どうか、恨まないでくださいね」
「あ――ああ、ロゼルも今までありがとう」
一応、カッコよく言ってみせる。
しかし、心の中ではかなり焦っていた。
あれぇ? 三人とも薄情だろ?
ていうか、オレの人望、なさすぎじゃねえ?
ハ、ハ、ハ……と、顔が引きつりながら笑った。ロゼルを見送ると、店にはオレとマルタが残る。
「グエル……どうして、ボクのために……」
マルタは涙を流しながら、「ごめんなさい」と謝ってきた。
「バ、バカだなぁ。謝るなよ。オレとオマエの仲だろ? また、昔に戻っただけじゃないか」
そうだった。故郷からこの王都へ出てきた時、オレの仲間はマルタひとりだった。『二人でいつかパーティを組むんだ!』、そう肩を抱き合いながら――そこに戻っただけだ――と、自分にも言い聞かせる。
それでも泣き止まないマルタ。
コイツはそういう男だ。気弱で優しくて、そもそも戦いなんて性に合っていない。だから、コイツが『運び屋』の神託を受けたとき、オレはなんとなくホッとしたんだ。
それなのに、パーティを追い出すなんて――あの頃のオレはどうかしていたんだな。まあ、それはそうと――
「それじゃ、王宮に行ってくるわ」と、席を立つ。
「王宮?」
「ああ、勇者でなくなったからな。その挨拶に行くのさ」
「――と、いうことだ。オレはマルタをクビにするつもりはない。だから、残る選択は二つだ。ニグレア、クローゼ、ロゼル、それぞれが判断してほしい。パーティに残るか、抜けて冒険者ギルドへ戻るか」
オレは三人にそう伝えた。
「バッカじゃないの!」
そう大声を出したのはニグレアだった。
「残るか、抜けるかだって? 抜けるに決まっているでしょ! グエル! アンタ、頭がおかしくなっちゃったんじゃないの!? ああ、もうイイわ。じゃあね」
さっさと席を立ち、店を出ていく。
次にクローゼが立ち上がった。
「オマエもパーティを抜けるのか?」
オレの質問にクローゼは――
「オレは騎士団から『勇者』を支援するように言われている。だから、『勇者パーティ』でないココに残る理由はない」
めずらしく、クローゼの長いセリフを聞いたと思ったら、そのまま彼も店を出ていった。
残るは――
「いやあ、ふたりとも薄情ですよね」と、笑みを浮かべるロゼル。
「ボクは残りますよ――と言いたいところなのですが、ボクも教会から勇者を支援するように言われてきているので――」
そう言って、彼も席を立つ。
「どうか、恨まないでくださいね」
「あ――ああ、ロゼルも今までありがとう」
一応、カッコよく言ってみせる。
しかし、心の中ではかなり焦っていた。
あれぇ? 三人とも薄情だろ?
ていうか、オレの人望、なさすぎじゃねえ?
ハ、ハ、ハ……と、顔が引きつりながら笑った。ロゼルを見送ると、店にはオレとマルタが残る。
「グエル……どうして、ボクのために……」
マルタは涙を流しながら、「ごめんなさい」と謝ってきた。
「バ、バカだなぁ。謝るなよ。オレとオマエの仲だろ? また、昔に戻っただけじゃないか」
そうだった。故郷からこの王都へ出てきた時、オレの仲間はマルタひとりだった。『二人でいつかパーティを組むんだ!』、そう肩を抱き合いながら――そこに戻っただけだ――と、自分にも言い聞かせる。
それでも泣き止まないマルタ。
コイツはそういう男だ。気弱で優しくて、そもそも戦いなんて性に合っていない。だから、コイツが『運び屋』の神託を受けたとき、オレはなんとなくホッとしたんだ。
それなのに、パーティを追い出すなんて――あの頃のオレはどうかしていたんだな。まあ、それはそうと――
「それじゃ、王宮に行ってくるわ」と、席を立つ。
「王宮?」
「ああ、勇者でなくなったからな。その挨拶に行くのさ」
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