追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

文字の大きさ
11 / 84
第一話 クズ勇者、改心する

その八

しおりを挟む
 それから、オレたちは酒場に戻り、昼食をとることにする。

「オヤジ! いつものランチをくれ。それと酒――いや、酒はいらない」
 いつものクセで酒という言葉が出てきてしまった。

「イイよ。お酒くらいおごるから」
 マルタがそう言うのだが、オレはあらためて「いらない」と応える。

「オレはもう、酒を飲まないと決めたんだ」

 前の人生、オレは酒で破滅した。もちろん、酒が悪いわけではない。酒に逃げた自分が悪いのだが、そのいましめのため、二度と酒を飲まないと誓う。

「ところで、持っている剣を見せてくれないか?」

 すると、マルタは背負っていたリュックを手にする。コイツのリュックは特別製で無限収納というヤツだ。運び屋だけがこれを扱える。運び屋のスキルがない人間が扱うと、モノが取り出せないのだ。

「そうだね、いくつかあるよ」

 マルタは何本かテーブルの上に乗せた。
 片手剣二本に、短剣が三本。片手剣は、刃がミスリル製と超鋼製。短剣はめずらしい黒曜石製の両刃と超合金オリハルコン製の両刃と片刃である。どれもレア度は中クラスで、売れば金貨数枚にはなる。

「なんだ、けっこうイイ品を持っているじゃないか?」
「S級ダンジョンだったからね。とにかく、たくさんドロップしたから、グエルが『どれもいらないから、好きなヤツ持っていけ』とボクに言ったんだよ」

 そんなこと言ったっけか? まあ、あの頃は気前が良かったし、超レアでなければ気にもしていなかったからなあ――しかし――

「なあ、両手剣はないのか?」

 オレのスタイルは両手剣の超攻撃型である。なので、できれば両手剣がイイ。

「両手剣はイイモノがないんだよなぁ」

 そう言って、マルタはリュックを探ると、一本の長剣を取り出した。たしかに新人冒険者でも扱えそうな、安物の両手剣だ。
 マルタが恐る恐るそれを差し出すと、オレはそれを手に取った。一回振ってみる。

「――うん。これでイイ」
「えっ? ほんとうにイイの? そんな安モノで?」

 マルタは驚く。まあ、あの頃のオレだったら、『こんなモノをよこすな! ボケ!』と怒鳴っていただろうな?
 ただ、今のオレは勇者じゃない。上級モンスター相手だとすぐに刃こぼれしそうだが、ダンジョン上層で小銭稼ぎするくらいならこの剣で充分だ。
 オレは両手剣を背負った。

「さあて、どこで狩るか? まずは手っ取り早く稼げるところがイイな」
「それじゃ、ロームの洞窟はどう? ゴブリンがたくさん湧くから、すぐにクエストをクリアできるよ」
 そうマルタが言うので、オレは「いや、ゴブリンはダメだ」と応える。

「オレたちはもう冒険者じゃないから、素材の売れない魔物じゃカネにならないんだ」

 ゴブリンは素材としての価値はない。冒険者ギルドでクエストを受けて、何体駆除したかで報酬をもらうのだが、冒険者の資格をはく奪されたオレたちでは報酬をもらえないのだ。

「そうか――」とマルタは悲しそうな顔をする。きっと、まだ自分のせいだと思っているのだろう――

「なあに、素材が売れる魔物だったら、ギルドを通さないでもカネが入る。そうだな、常に需要のある肉がイイな。ワイルドボーやホーンラビットが狩れる場所はないか?」

 すると、マルタは「それなら、ジュラの森がイイよ」と少し元気を取り戻す。

「ジュラの森かぁ。なつかしいなあ――」冒険者になりたてのころは、よく行ったモノだ。
「うん! あそこなら、薬草も採れるから、ボクも手伝える」

 ああ、そうだった。たしか、最初は二人で薬草集めをしていたっけ――あのころを思い出し、なんかワクワクしてくる。
 あのころはなにをやっても楽しかった。なのに、レベルが上がって、もっと粗利の良いクエストが回ってくるようになると、そういう安価な依頼には目も向けなくなる。
 それどころか、そんな仕事を受けている冒険者をバカにするようになっていた。

 しかし、今は違う。
 前の世界で、魔力とスキルをマルタに奪われ、奴隷になってからは本当に惨めだった。ホーンラビットにさえ負けてしまうほどの能力になり下がっていたのだから。

 死に戻りによって、勇者だった頃の魔力とスキルがまた使える。また狩りができるのだ! 気分が高揚してしまうのは仕方ないことである。

「ジュラの森の情報なら、あの頃にメモしたノートがまだあるはず」
 マルタは再びリュックをまさぐり始めた。

「これじゃないな――」そうつぶやくと、一冊のノートをテーブルの上に置いた。
「ん? これは?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

処理中です...