追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

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第二話 クズ勇者、旅に出る

その二十

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「いたーい!」
 いきなり司教杖で叩かれたフィル。頭を押さえている。
「だから、『おばさん』と言うな! オマエとは四歳しか違わないのだぞ! ナタリア『お姉さま』と呼べ!」
 大司教は謝るどころか、そんなふうに怒り始めるではないか!

 いったい、何の話だ? いや、そんなのはどうでもイイ。この際、フィルのことはあきらめよう。オレはマルタを連れてその場を離れようとした。他人の振りをして――

「おい、そこのふたり。フィリシアのツレだろ? 黙って行くのは失礼だぞ」

 マ、マズい――どうしてバレた? いや、ココは気づかなかったフリをして、逃げ切るんだ。

「紹介します、ナタリアおば……お姉さま。グエルさ……んとマルタさんです」

 終わった。もはや、万策尽きた――オレは観念して、振り向く。

「お初にお目にかかります。私はグエルと申します」

 仕方ない。ここは作戦変更。当たり障りのない返答をして、さっさと逃げよう。マルタが挨拶したあと、「お会いしたばかりで申し訳ありませんが、このあと用事があるので、失礼させていただきます」と、深々と頭を下げた。

「あれ? グエルさん? パーティは陽が沈むまで始まらないのでは? まだ、時間がありますよ」とフィル。

 こ、こらぁ! 余計なことを言うな!
 ああ! オレの破滅が近づいてくる~

「そうらしいぞ? なるほど、オマエが『勇者をクビ』にされた、グエルとかいうやつか? なるほど。想像どおりマヌケな面をしている。クビにされてもしかたないな」

 オレの右頬がピクピクと痙攣した。だが、グッとこらえる。
 短気は破滅への第一歩――前の人生でオレはイヤというほど学んだのだ。

「そ、それはお耳が早いようで――」

 ここは落ち着いて応える。だからといって、このオンナはやっぱりキライだ。どうして、こうも人をバカにした言い方しかできないんだ?

「ところで、大司教とフィルはお知り合いで?」
 そう、話をそらす。

「はい。私の母と、おば……ナタリアお姉さまは、姉妹なのです」
「――えっ?」

 フィルの母親は聖教国、教皇の娘だったと聞いている。と、いうことは大司教も教皇の娘ということか――

「まあ、こんなところで立ち話もなんだ。さきほど、勇者パーティというくだらないヤツラを追い出して、せっかく用意したお茶がムダになってしまってな。ちょうどイイから、オマエたちが飲んでいけ」

 大司教、ナタリアがそう言うので、オレがカンベンしてくれ――と思う。これ以上、このオンナに関わりたくないんだけど――

「私がここまで勧めているのだ。まさか、断るつもりはないよな?」
 ナタリアがオレを睨んだ。

「喜んで、お招きにあずからせていただきます」
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