追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

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第三話 クズ勇者、ダンジョンへ行く

その四

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 教会でオレ、グエル・モリタとマルタ、そして、ウィルハース王国、王女、フィリシア――ここではフィルと偽名を使用しているが――は、テーブルに並べられた豪華な料理に舌鼓は打っていた。

 うーん……前の人生でもオレが短気を起こさなければ、こんな料理が食べられていたんだなあ――今さらながら、あの時のオレに文句を言いたい。

 それにしても、どうしてこんなに待遇がイイんだ?
 勇者でもないオレに恩を売っても、何にもならないはずなのだが――その時、「はっ!」と気づく。もしかしてこの料理に毒とか入っているとか?

 裏で冒険者ギルドと教会がつながっていて、ギルドから抜けたオレたちを抹殺しようとしている!?
 脳裏に冒険者ギルドマスター、マコーミックの顔が頭に浮かんだ。

『オマエたち、平穏な日々が送れるなんて思っていたのか? ギルドから抜け出した者には死があるのみだ。ハ、ハ、ハッ!』

 そ、そうだったのかぁ?

『ハ、ハ、ハッ! 今さら、気づいても遅いわ!』
 ナタリアとマコーミックの高笑いが響いた!

「んっ? どうした、顔色が悪いぞ?」
 ナタリアに声をかけられ、われに返る。

 ハ、ハ、ハ……そんなわけがないか?

「さて、グエル。もう気づいているようだが――」
「――えっ?」

 気づいている? ということは!?
「やはり、これには毒がぁ!?」

 ああぁぁぁぁっ! こんな、ワナにハマるとはぁぁぁぁっ!

「毒? キサマは何を言っている?」
「――へっ?」
「勇者パーティのことだ」

 勇者パーティ? それがどうした?

「勇者パーティはファーナンド遺跡の攻略に失敗する。オマエの代わりに勇者となった男が破滅するせいでだ」

 オレの代わりに勇者になった男? アレンのことか?

 オレの前の人生をヤツが引き継いでいるということであれば――まあ、そういうことなんだろうな。
 名門貴族の息子を鼻にかけ、いけ好かない男だが、剣の腕前は確かだった。破滅するとわかって、黙って見逃がすには忍びない。だから、アレンを助けてやれ――と言うのか?

「まあ、ヤツはどうでもイイのだが――」
 イイのかよ!
「このままでは、パーティのメンバーまで破滅に巻き込まれてしまう」

 つまり、ニグレア、クローゼ、そしてロゼルのことだ。

「――三人にもやはり『破滅』が見えていたのか?」
「いや、魔導士のオンナと騎士のオトコには何も見えなかった。どうやら、自力で破滅を回避するようだ。だが、ロゼルには死相が見えた」
「――えっ?」

 死相――と聞いて、フィルとマルタは顔を強張らせる。だが、オレは黙ったまだった。

 ロゼルは、前の人生で最強クラスのアンデット、リッチに殺された。それを知っているのは当然、オレだけだ。そうか、ナタリアにもいるのか――

「その反応――やはり、気づいていたんだな? ロゼルが死ぬことを――」
「えっ? ま、まさか。オレも驚いている」と、誤魔化す。

「――まあ、イイ。それで、改めてキサマに頼みたい。ロゼルを助けてほしい」

 魔王討伐のためと教会からの指示で、ロゼルは勇者パーティに参加している。まだ二十代だが、治癒魔法は現在、大陸最高クラスの腕前を持つ彼を教会が派遣した――それだけ魔王討伐に本気なのだとわかる。
 しかし――

「身内ばかりをヒイキするようで申し訳ない。だが、彼を失いたくないのだ」
「――それで、ロゼルを守れと?」

 正直、それは困る。
 オレは知っているんだ。ファーナンド遺跡で、ロゼルは最強クラスのアンデット、リッチに殺される。
 オレたちが加わったって、ロゼルを助けられる見込みはない。それどころか、オレたちも生きて帰れる保証はないんだ。

 ああ……なんで、さっきは「行く」なんて言っちゃったかなぁ……
 アレンたち、行くのをやめないなかなぁ……
 ――ん? なんだ、やめさせればイイんじゃないか!

「その前に、ロゼルに直接話してファーナンド遺跡攻略を中止させるべきだろ?『このまま、パーティに加わっているとオマエは死ぬ。行くのをやめろ』と――」

 それでロゼルは死ぬことはないし、オレたちも巻き込まれなくて済む。オレって頭イイ!

「言ったさ。しかし――」
「ボクが断ったのですよ。グエル」

 ――えっ? 部屋に、純白の祭服をきた男性が入ってくる。オレが勇者だったときに、仲間だった聖職者。つまり――

「ロゼル……どうしてここに?」
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