追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

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第三話 クズ勇者、ダンジョンへ行く

その二十五

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 リッチを生きていたいころの姿に戻す方法に『生成魔法』があると神書は教えてくれた。

 それをリッチに伝えたのだが、なんか納得していない様子……
 おい、大丈夫なのか? 神書さんよ……

 もし、その『生成魔法』というモノで、リッチのカラダを再生できなければ、オレは破滅なんだけど……

「なるほど、その手があったか!」とリッチが声をあげる――えっ?
「もしかして、生成魔法を知っているのか?」

 すると、リッチは「もちろん知っておる」と応える。

 おお! 助かった!

「そう、それだよ。それで元のカラダを作るんだ」
 そうリッチに伝える。

「わかったぞ。そういうことなら、キサマのカラダをもらうことにしよう」

 ――えっ? 今、なんて言った?

「妾の血肉を作るために、キサマのカラダを所望すると言ったのじゃ」
「え、ええぇぇぇぇっ!!」

 た、たしかに神書もそんなことを言っていた。いやいや、それじゃ、結局オレは死ぬだろ。断れば永遠の苦痛――どっちに転んでも破滅しかねえ!

 ちょっと待て、冷静になれ――なにも、オレのカラダじゃなくてもイイ。もちろん、仲間を差し出すわけにもいかないが――

「なあ、肉なら、なんでもイイのだろ?」
「ああ、もちろんだ」とリッチ。

 オレはホッとする。マルタに頼んで、生肉を出してもらうようにお願いした。

「ジャイアントボーの肉だけど、イイかな?」
「イイ! イイ! 出してくれ!」

 すると、リュックから巨大な生肉の塊が!
 いつか料理に使おうと売らずに持っていたらしい。

 マルタ、グッジョブだ!

「どうだ? これでイイんだろ?」
「――骨の素材が足りぬな」
「オマエの姿は何だ!」

 リッチは自分のカラダを見回し、「おおう! そうじゃった」と笑う。
 コ、コノヤロウ。

「ではさっそく――」とリッチは、長々と詠唱を続ける。

 すると、リッチのカラダとジャイアントボーの肉が輝いた!

「「「おおーっ!」」」

 全員から声が漏れる。それほど激しい輝きだ。さすがリッチ、かなりの魔力量なのだろう。
 徐々に光が小さくなると、そこに人の姿が――って、おい……

「おおぉぉぉぉっ! これぞ妾が求めていたカラダぞ」

 そう、喜んでいる人物がいるのだが――

「もしかして、リッチなのか?」思わず、たずねてしまう。

「いかにもじゃ。これが妾じゃ、どうじゃ? 美しかろ?」

 いや、美しい――って表現にいささか抵抗があるのだけど。
 なにせ――

「どう見ても、幼女なのだか?」

 そこにいたのは体長一メートルほどのカワイイ女の子である。上が白で下が緋色。かつて極東に存在していたという国の衣装に似ていた。たしか緋袴とかいう……鼻にかかった舌足らずのしゃべり方も幼女そのモノだ。

「そうじゃ、このころの妾が一番好きだったのじゃ。このような方法でこの姿に戻れるとは、妾はうれしいぞ!」

 ――まあ、よろこんでくれているのだから、それでイイか……

「それでは、約束どおり、妾はオマエの妻となろう」とリッチが言う。
「いや、オレは何もしていないぞ」

 結局、生成魔法もリッチ自信だし――

「なにを言う。手段を見いだしたのはオマエじゃ。やはり、オマエは妾の夫となるに相応しい男じゃ」

 そう言われても、その容姿じゃなあ――

「はて? 未熟な女子ほど欲情する殿方もいると聞いておったのだが?」

 人を偏愛主義者にしないでくれ!

「グエル様! 所望とあれば、どうか私のカラダも幼女へ変えてください!」

 フィルさん、ちょっと黙ってもらえるかな? 話がややこしくなるから――
 そんなことをやっているうちに、ロゼルの意識が戻るのだった。
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