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第三話 クズ勇者、ダンジョンへ行く
その二十六
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あれから、ダンジョンを出てファーナンドへ向かっていたオレ、マルタ、フィル、サリア、ミリア、そして、ロゼルの六人――それと、リッチだった幼女を加えた七人。途中で出くわしたアンデットはまったく戦意を示さなかった。これも王家の紋章の効果らしい。
「ロゼル、カラダはもう大丈夫か?」
「はい、ありがとうございます。もうすっかり元気になりました」
そう、ロゼルは言う。
着ていた聖職服はボロボロになってしまったため、マルタが持っていた服に着替えていた。
「ゴメンナサイ。聖職者の服は持ってなくて――」とマルタは謝るのだが、ロゼルは「いっこうに構いません」と応える。
「それに、もう私は聖職者ではありませんから――」
ロゼルは魔法毒でカラダを冒されていた。自分の魔力を毒に変え、最後には死に至らしめる恐ろしい魔法だ。それを回避するために、消魔薬で体内から魔力が発生しないようにしたのだが、それによって、もうロゼルは魔法が使えなくなっている。
「ロゼル、ゴメン――」
「そんな顔をしないでください。そのおかげで私は生き続けることができるのですから」と笑った。
「そうじゃ! 妾が与えたキズで生きながらえた者は、オマエが初めてじゃ。グエルに感謝するのじゃ」と元リッチの幼女がムネを張る。
なぜ、オマエがエラそうにする?
「リッチなあ――もともとはオマエが魔法毒なんかを使うからだろ?」
「魔法毒は常時発動のスキルなのじゃ。だから、妾にはどうすることもできない。それはともかく、妾のことをリッチと呼ぶのはやめるのじゃ」と悪びれていない。
「そもそも、名前はなんなんだよ?」
「知らん」
知らんって――
「もう忘れた。だから、キサマが名前を決めれば良い」
そう言われてもなあ――名前をつけるのは苦手なんだよ――ファーナンド遺跡にいたから、ファー? アンデットだからアン? うーん、しっくりこないなあ――
「ほら、早よせい」と幼女。
そう急かすな。なおさら決まらないだろ?
ん? こういうのも神書が考えてくれるのかな?
そう思い、たずねてみる。
『解――ハクヒはいかかでしょう? 白と緋色の服から連想しました』
なんだ、オレとたいして変わらないじゃないか――
『ほっといてください』
――えっ?
「いつまで待たせるのじゃ? 電撃を食らわせるぞ」
こら! ちょ、ちょっと待て!
「じゃあ、ハクヒ――でどうだ?」
「ハクヒ?」と幼女はオレをにらみつける。やっぱり、気に入らなかった?
「なかなか、良い名ではないか?」
あれ? 気に入った? まあ、それならイイ。
「なら、オレのこともグエルと呼べ」
「わかった。グエルよ、さっそくじゃが、お暇をいただく」
――へっ?
「妾を召喚した、あの魔族がゆるせないのじゃ。必ずとっつかまえて、こらしめてやるのじゃ」
勝手に呼び出して、威圧的な態度で命令してきたのが気に食わなかったようだ。
「まあ、そういうことなら、行ってこい」
クリネロとか言っていたか? アイツには恨みがある――前の人生で、だけど……ハクヒがこらしめてくれるというのなら、オレとしては願ったりだ。
「承諾してくれてうれしいぞ。それでは、またじゃ!」
そう言って、幼女は突然、姿を消した。
「ロゼル、カラダはもう大丈夫か?」
「はい、ありがとうございます。もうすっかり元気になりました」
そう、ロゼルは言う。
着ていた聖職服はボロボロになってしまったため、マルタが持っていた服に着替えていた。
「ゴメンナサイ。聖職者の服は持ってなくて――」とマルタは謝るのだが、ロゼルは「いっこうに構いません」と応える。
「それに、もう私は聖職者ではありませんから――」
ロゼルは魔法毒でカラダを冒されていた。自分の魔力を毒に変え、最後には死に至らしめる恐ろしい魔法だ。それを回避するために、消魔薬で体内から魔力が発生しないようにしたのだが、それによって、もうロゼルは魔法が使えなくなっている。
「ロゼル、ゴメン――」
「そんな顔をしないでください。そのおかげで私は生き続けることができるのですから」と笑った。
「そうじゃ! 妾が与えたキズで生きながらえた者は、オマエが初めてじゃ。グエルに感謝するのじゃ」と元リッチの幼女がムネを張る。
なぜ、オマエがエラそうにする?
「リッチなあ――もともとはオマエが魔法毒なんかを使うからだろ?」
「魔法毒は常時発動のスキルなのじゃ。だから、妾にはどうすることもできない。それはともかく、妾のことをリッチと呼ぶのはやめるのじゃ」と悪びれていない。
「そもそも、名前はなんなんだよ?」
「知らん」
知らんって――
「もう忘れた。だから、キサマが名前を決めれば良い」
そう言われてもなあ――名前をつけるのは苦手なんだよ――ファーナンド遺跡にいたから、ファー? アンデットだからアン? うーん、しっくりこないなあ――
「ほら、早よせい」と幼女。
そう急かすな。なおさら決まらないだろ?
ん? こういうのも神書が考えてくれるのかな?
そう思い、たずねてみる。
『解――ハクヒはいかかでしょう? 白と緋色の服から連想しました』
なんだ、オレとたいして変わらないじゃないか――
『ほっといてください』
――えっ?
「いつまで待たせるのじゃ? 電撃を食らわせるぞ」
こら! ちょ、ちょっと待て!
「じゃあ、ハクヒ――でどうだ?」
「ハクヒ?」と幼女はオレをにらみつける。やっぱり、気に入らなかった?
「なかなか、良い名ではないか?」
あれ? 気に入った? まあ、それならイイ。
「なら、オレのこともグエルと呼べ」
「わかった。グエルよ、さっそくじゃが、お暇をいただく」
――へっ?
「妾を召喚した、あの魔族がゆるせないのじゃ。必ずとっつかまえて、こらしめてやるのじゃ」
勝手に呼び出して、威圧的な態度で命令してきたのが気に食わなかったようだ。
「まあ、そういうことなら、行ってこい」
クリネロとか言っていたか? アイツには恨みがある――前の人生で、だけど……ハクヒがこらしめてくれるというのなら、オレとしては願ったりだ。
「承諾してくれてうれしいぞ。それでは、またじゃ!」
そう言って、幼女は突然、姿を消した。
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