あの星たちに願いを。

みう

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1章―出会い

出会い―2

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「まだドキドキしてる……」

ぼくは自分のベッドに寝転がり、まだ彼女の手の感触が残った手を見つめる。
思い出すと余計に手がジンジンして、顔が熱くなる。
ふかふかでお気に入りのカバーをした枕に顔をうずめて、目を閉じると彼女の顔が思い浮かぶ。
夕日に照らされて朱く光る波みたいで、柔らかそうな髪。ルビーみたいで、見つめられると大事にしたくなるような瞳。
いちごゼリーみたいな、ふっくらとした唇。
そして、彼女を包むキラキラとした存在が忘れられなかった。

「はぁ……またお話できるかなぁ……」



彼女に微笑まれて、恥ずかしくて照れ笑いをしていると、彼女と一緒にいた男の人がぼくに気付いた。彼女の手を引っ張り、少しこじんまりとしてるけど、綺麗に整えられたぼくの家の庭先まで来る。

「こんにちは、今日引っ越してきた季笠です。挨拶したいんだけど、お母さんかお父さん、お家にいるかい?」

そう言いながら男の人はサングラスを外す。サングラスをしていて分からなかったけど、男の人はまだ若く、聞く人を安心させるような、とても優しい声をしている。ふと視線を移すと、彼女と目が合う。

「は、はい!います!」

目が合ったことに緊張して大きな声を出してしまった。彼女は小動物のような大きな目を丸くしたあと、今度はおかしそうにくすくす笑う。

「入ってもいいかな?」


「隣に越してきました、季笠です。何か菓子折でも持ってこれれば良かったのですが、急な引越しだったもので手ぶらですみません」

「そんな大丈夫ですよ、ご丁寧にありがとうございます」

ぼくはママの後ろに隠れるようにして彼女をチラチラと見ていた。時々目が合うと、必ず彼女は目を細めニッコリと笑う。その度ぼくは恥ずかしくなり、目を逸らしてしまう。

「この子は娘の未乃です。ほら未乃、挨拶しなさい」

彼女は促されると上品にお辞儀をする。

「"ときかさみの"です。これからよろしくお願いします。あなたのお名前は?」

そう言って彼女はぼくに手を差し出してきた。

「…あまみ……ゆうとです……」

ぼくは恥ずかしくて彼女の顔を見れなくて、うつむきながら手を出した。この時ぼくはお猿さんみたいに、耳まで真っ赤になってたと思う。

彼女の手はとてもやわらかくて、夜眠る時にママに掛けてもらう、タオルのような優しい温かさがあった。

顔を上げて彼女と目が合うと、彼女はやっぱりおかしそうに笑っていた。

そうして彼女達が帰るのを見送った後、一呼吸すると――

「ユウくん。もしかして、ミノちゃんに恋したの?」

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