セフレでいいじゃん?

桜まい

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衝撃の告白

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コイツ絶対にヤバい!このままだと屋上から投げ落とされる!落ちたら…絶対痛いぞ。
「ひ、氷上君さ、とりあえず落ち着こっか?はい、深呼吸して?」
「すぅー…はぁー…」
あら、素直に深呼吸してくれてる?可愛いじゃん?
「はい、その調子。吸ってぇ…吐いてぇ…そのまま続けてね」
今のうちに全力で走ったらどうにか逃げきれるか?
「…って、おいっ!何やらしてんだよ!?」
「壮大な乗りツッコミしてくれた…」
氷上ってもしかしていいヤツ?だったりするかも?
「う、うるさい!クソビッチ!」
「はいはい。オレはクソビッチですよ。いろんな男のチ◯チ◯が大好きなクソビッチですよー。はい、じゃあね」
「……」
え?なんかよく分からんけど口開けて立ったまま気絶してる。やった!今だ!逃げろ!

硬直したままの大和を確認し、呼吸を整えた三輝がドアめがけて一直線に駆け出した。

バァァーンッ!!

三輝がドアノブに手をかけた瞬間、けたたましい轟音と共に扉が揺れ動いた。風圧でよろけた三輝の体が大きく傾く。自分の身に何が起こっているのか理解できないが、とてつもない殺気を帯びた大和の気配だけは感じる。
「キャー!きゃあー!いやぁー!」
恐怖に支配された三輝の悲鳴が止まらない。
「…うるせぇな」
ため息と共に呟いた大和が、バランスを崩し背中から倒れそうになった三輝を片手で抱き上げた。
「え?」
肩に担がれた三輝の全身が脱力し、固く閉じていた瞼を恐る恐る開くと。
「床?え?うわっ!」
視界がグラリと歪み今まで見えていた床から、見慣れた制服の紺のネクタイへと変化した。肩からゆっくりと下ろされた三輝の両足が無事、地面に着いたのだ。

オレの目線の高さがネクタイの結び目って…相当デカい…
「何で逃げんだよ?」
「うわっ!近っ!」
無駄に体デカくて声も重低音だから圧が凄いんだよ。
「さっきの返事…」
返事?なんだっけ?
「あっ!」
思い出した。コイツ何を血迷ったのかオレに告白してきたんだ!しかも完全に上から目線で「付き合え!」って言ったよな?普通はオレのが年上なんだから「付き合ってください」だろ?なのに…
「あ、やっぱ、すぐでなくていい。大切なことだからじっくり考えてくれ」
真面目か?めっちゃ真面目か?どうせセフレなんだからOKするつもりだったけど。セフレは何人いてもいいからな。多い方がいい。
「あ、うん」
「まぁ…さ、オレはゆくゆくは結婚を視野に入れて考えてるからよ。ちゃんと責任は取るから安心しろ」
「は?結婚?責任?え?」
重いよ!これさ、真面目ってレベルじゃないよ?激重だよ!氷上ってヤリチンで遊び人のあの氷上大和だよな?いや、違う。目の前の氷上は氷上の顔をした氷上じゃない別人の氷上だ。
「お前誰だよ?あの氷上じゃねーよな?」
「ん?どの氷上のことか分からねーけど…オレはあの氷上だぜ?」
ややこしいな…けどこの氷上は絶対にオレの知ってる氷上ではないぞ。
「なんか…急に時間取らせちまって悪いな。返事はいつでもかまわねーから。教室まで送るわ」
え?何?急にスパダリ彼氏キタ?あやうくキュンってなるとこだったわ。
「いや待て!オレも氷上も目を覚ませ!」
「オレはずっと起きてるけど?」
「そーじゃなくて!おかしいだろ?どう考えてもなんで学校No.1のヤリチンとクソビッチが付き合う展開になってんだよ?」
わぁ…動揺して自分のことクソビッチ言っちゃったよ…恥ずかしい。
「そもそもお前彼女いるだろ?」
「は?そんなもんいたらお前みたいなクソビッチに告白なんかしねーよ」
まぁ、確かに…そりゃそうか…って氷上君、お口が悪いぞ!
「それにオレ、今まで彼女いたことねーし」
「オレと同じタイプか。1人に絞れないからいろんな女抱くんだな、うん。分かるー」
「抱いたことねーんだよ。オレ童貞だから」
ん?…






…あれ?聞き間違いかな?
「はい?今、何とおっしゃいました?」

「オレ童貞だぜ」

聞き間違いじゃないみたい。なんか童貞であることに誇りを持ってて、世界一カッコつけて言ってるみたいだけどめちゃめちゃカッコ悪い…いや清々しくてカッコいいかも?
ってあやうく騙されるとこだった。この百戦錬磨のクソビッチ様が騙されるわけねーだろ!ナメんな!

「この大嘘つき!!氷上のバカ野郎!!」
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