ネイビーブルー・カタストロフィ――誰が○○○を×したか――

古間降丸

文字の大きさ
17 / 44

4 エロ魔王に訊いてみな(その6)

しおりを挟む
「で、次はどうする?」
 オペレーションルームのキャビネットから取り出したコーヒーを手に静刻が振り返る。
 その正面でギィアは持ち帰ったブルマの一枚に足を通しながら答える。
「その“いやらしい目線”を直接、捕獲キャプチュアするのです」
 上体を起こしスカートの下へもぞもぞとブルマをたくし上げる。
「どうやって?」
「それはあとのお楽しみなのです」
 スカートをすとんと落とし、改めて前傾姿勢になってブルマの裾を整える。
「ふぅん」
 未来からなにか送ってくるのだろう――そんなことを思い、コーヒーをすすりながらぼんやりとギィアを見る。
 不意にギィアが顔を上げて、目があった。
「あんまりじろじろ見ていいシーンではないのです」
 赤い頬で口をとがらせるギィアから静刻は慌てて目を逸らす。
「ごめん……。でも、じろじろは見てないぞ」
 聞こえてないのかギィアは背筋を伸ばし後ろ手におしりの裾をぐいと伸ばし、告げる。
「では行ってくるのです」
「その格好でか」
 言うまでもなく上はセーラー服、下はブルマである。
「視線を誘導するのです。ブルマを露出させるのは当然なのです」
「そうか、ならその格好が妥当か。いや、でも――」
 一旦は納得した静刻だがすぐに思い直す。
「――認識誘導膏はどうなってんだよ。あれがあったら無意味だろ。かといって剥がすわけにもいかないし」
 認識誘導膏の効果が確実ならばたとえブルマを露出していても周囲に違和感を抱かせることはない、静刻が私服であるにもかかわらず生徒のひとりとして認識されているように。
 逆に剥がしたら剥がしたでギィアが部外者であることが一目瞭然となる。
「その点はぬかりないのです。認識誘導膏の効果を微調整すればクラスメートがブルマを露出しているようにしか見えないのです」
「さすがだな」
「ふふん、なのです」
 “よし、行こう”とソファから立ち上がろうとする静刻だが、ギィアが慌てて制する。
「静刻は来なくていいのです」
「なんで?」
 思わぬ言葉に静刻は中腰で静止する。
「視線を集めるにはあたしひとりの方がいいのです」
「そうなのか?」
 静刻は釈然としない。
「そうなのです」
 そして、目を逸らし、紅潮した頬で続ける。
「校内では静刻は、あ、あたしのボーイフレンドと認識されてるようなのです」
 静刻は昨日の昼休みに廊下で向けられた生徒たちからの視線を思い出す。
「ああ、確かにな」
「だから、静刻が一緒だと男子があたしに向けるエロ目線を遠慮したり躊躇したりするのです。だからあたしひとりで行ってくるのです」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

処理中です...