俺に取り憑いた幽霊が同級生を求めて困る

ことりさん

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事故の後遺症?

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 暁生は、これまで風邪一つ引いたことがないくらいの健康優良児だった。それが、あの事故以来、原因不明の微熱が続いていたり保健室での一件みたく失神してしまうなんて――。

 それに、という人物――。
 自分以外の意識がを絶えず呼んでいるんだ。これは一体どういうことなんだろう。その鍵を握る人物が、他でもない弥彦昌己に関係しているような気がしてならない暁生は、ある決心をした。



 二組の教室には、弥彦を訪ねに来た暁生の姿があった。
 会ってどうするのか、話したこともない相手に、何と言うのか、そんなことは全然考えてもいなかった。
 

(さて、誰か~いないかな……二組って誰いたっけ? あ!)

 目に留った女子グルーブの中に元中の花田沙織がいることに気付いた。

「花田ーー」
「あれ~土岐君じゃない、久しぶり~。体もう大丈夫なの~?」
 花田沙織は、話をしていた女子たちにごめん、と声を掛けてからこちらに駆けてきた。
「うん、まあね」
「そっか、よかったよ~元中の子達と心配してたんだよ」
「オレ、無敵みたい」
「そのようだね~、今日は二組に用事? もしかして私?」

「いやいや、違うのだよ」
「なぁ~んだ、じゃあなあに?」
「あのさ、弥彦っていうやついる?」
「ああ、弥彦君、いるけど」
「どいつ」
「え~と……」

 振り返り弥彦を探す花田沙織を、さっきのグループの女子たちが何やら騒ぎ立てるので、暁生は気恥ずかしくなった。


「うーん、あれ~弥彦くん、いないなぁ」

 すると、沙織の陰から女の子Aが顔を出し、話しかけてきた。

「ねえねえ、キミって、黄色い自転車の人だよねえ」
「え、そうすけど」
「やっぱりー、あれ可愛いよね。乗ってる君も、可愛かったけど」
「はは、もう大破しちゃったんだ」


(……可愛い? 俺が? んなわけないだろ。女子って、可愛い以外のゴキャブラリーねえのかな……)


 視線で沙織に助けを求めたが、彼女は弥彦を探すのに専念していて気付かない。
「ねえねえサオリン、紹介してよー」
「ちょっとユッカ、待って待って、」
「ねえサオリンってば~~」

(ウゼェ子だな……)

「土岐君って大沢と同じ車の事故に遭ったんでしょ?」

(え? 大沢? 同じ車の事故って……)

「こら、ユッカ! 不謹慎だぞ、そんなテンションで話す内容じゃないでしょ、それより土岐君ってどこ行ったのかな?」

 沙織は咄嗟に、ユッカと呼ばれる女子Aを制止するように話を遮った。
 暁生は『同じ車の事故』という言葉が引っ掛かったが、聞くに聞けない雰囲気になってしまった。

「ごめんごめん、えっと土岐君は保健室だよねー」
「そっかありがと!」
 沙織はそう言うと、暁生の背中を押し付け廊下を出、女子Aを遠ざけた。

「ごめんね土岐君、事故からまだそんなに経っていないのに、気に触った?」
「いや全然……それよりさ、あの子が言ってた大沢って」
「土岐君、あの事故のこと、詳しく覚えてない? 警察の事情聴取とか受けて聞いてないの?」
「え……それはやったけど、同じく車の事故って意味がわかんなくて」
「……そっか、土岐君が入院している間に事は全て終わってしまったんだけど、うちのクラスにもあのときの事故に巻き込まれた被害者がいたの、でもその話は、今する話じゃないね」
「ああ、そうだな。弥彦の件、サンキュ」

 暁生は、沙織に言われて初めて自覚した。自分がトラックに跳ねられた瞬間、何が起こったのか分からなかった。思い出せることは、通学中に見た桜がキレイだったことと、車の音――。
 目覚めてから受けた警察の事情聴取で事故の概要は聞いていたはずだった。しかし、不思議なことに警察の説明の一部分が記憶からすっぽりと抜け落ちていて、何を聞いたか覚えていないのだ。単独事故だと思っていたのに、違ったのか……思い出そうとしても思い出せない。事故の後遺症だろうか。



「弥彦君ってね、頭も良いしスポーツも万能なんだけど、よく貧血になるみたいで、保健室にいること結構多いんだ」
「へえ……」
「何か、言伝ある?」
「いやあ……いいわ」

 伝言と言われても、これといってないのだ。だいたいにして、会って何をしたいのか。それは暁生自身にも分からない。それでも会えば何かが分かるような気がしてならない。
 暁生は昼休みの残り時間を確認してから、この足で保健室へ向かうことにした。

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