王様の苦難

佐々木猫八

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性格モブ陛下の苦難

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「ああ、美の神の如し麗しのウォルフリド陛下!私、騎士リストラの生命と剣は貴方様の為にございます!どうかこの度の報奨は、貴方様の御御足で私を、私をっ!ハァハァハァハァ___」

すべてを言い終わらない内に騎士リストラは挙動不審になったため、謁見の間にいた近衛騎士らに抱えられ強制排除された。

「・・・宰相よ、我が国にはまともな騎士はおらぬのか?」
「陛下、恐れながら我が国にはああいう輩が大半かと」
「なぜだ、解せぬ」

「どうか慈悲を!私を踏んでくださいーーーー陛下ぁああっ!!!」

叫びながら引きずって連れて行かれる騎士をぼんやり眺めながらため息をつく。
前王から引き継いだこのライフリーズ王国は元王ウォルフリドの戴冠式以降、かつて無いほど繁栄を見せていた。

「ふんっ!美の天使であらせられるウォルフリド陛下に踏まれようとは、身の程を弁えぬ愚か者がっ!陛下に踏みつけて頂けるのならばこのヘンリー・ドードマン、生命惜しくありません!!」
「自重しろ、変態騎士団長」

ウォルフリドはもう一度ため息を付いた。
前王が病に倒れ、自身が戴冠したのが18歳のとき、他の王子が居たにも関わらず軒並み王位を継がない、継げられない事態となってしまったのだ。
ウォルフリドは王になどなりたいと思ったこともなく、兄が留学先の王女と恋仲にならなければ、次兄が賢者の塔に引きこもらなければ、弟が私の美貌と勇姿を歌い広める旅に出ると言って冒険者にならなければ・・・王子が4人もいて、最後に王位を継げるのが自分だけになってしまわなければ、こんな変態が多い国の王になることもなかったのに、とウォルフリドは思った。

戴冠式で法皇より王冠を授かり王位に付いたあの日、バルコニーから見た国民の姿。
パレードで回った街での姿。

ウォルフリドは目を血走らせ手を降る国民たちに恐怖したのを戴冠式が終わってからも脳裏に焼き付いて忘れられなかった。
自分がお忍びで街に市街にいったときにはあんな目をした輩はいなかったはずだ。
肉串屋のおっちゃんも、お菓子屋の若旦那も、みんなおまけをしてくれたり、にこにこと対応してくれていた。
あんな目してなかった!!

戴冠式後、しばらくして始まった謁見を申し出る者は増える一方で、他国からの申し出も多い。
多忙になる日々に、ゆっくりとお茶を楽しむ余裕もないスケジュール。
正直宰相に物申したい。
休みが欲しい、切実に欲しい。
精神を落ち着かせる意味合いで一人になりたい。

お風呂だって一人で入りたい。
なんでメイドでもない宰相や騎士団長やらに洗われなければならないのだろうか?
一度聞いてみたけれど「尊い御身に触れられるのは我ら上位職の特権ですので」と意味のわからないことを言われはぐらかされた。

あっ!前は自分でやるからぁ!!

いつまで子供扱いされるのだろうか?
僕は国王陛下なんだぞっ!!
お前ら自重しろ!
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