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第25話「ジェフリー・バクストン」
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5月中旬。いつもの様に家の用事を済ませる。ここ数日は領主が不在の為、昼まで家でロランと過ごしていた。
「ロラン、せっかくだから今のうちに計画をたてよう」
「家族計画?」
「・・・ねえちゃんの誕生日だよ」
姉ちゃんは6月2日が誕生日。しかも学塾は6月が夏休みだ
「もうここにレミや同級生を呼ぶって決まってるよ?」
「ぼくのときみたいにサプライズを・・」
「エディは忘れてたからそうなったと思うけど?」
確かにそうだ。前世の誕生日と違ったからでもある
「それじゃあロレインでも呼ぶ?」
「えー」
(ロレインは何気に姉ちゃんに気がありそうだしな)
今回ロレイン達は参加しない。姉の同級生達も来るので、領主の関係者は来ない方が良いと自主的に辞退した。
「今から場所を変えてもお金がかかるだけだしね」
「うん」
自分では気付かなかったが、あの誕生パーティーは一般人だとひっくり返る程お金がかかるらしい。
ロランが事前に稼げたのと、領主の配慮があったので実現したそうだ。
「何かないかなあ」
窓の外を見ると太陽が照りつけている。今は真夏だ。この世界の夏は、4月から始まり5月~6月がピークだ。
元々湿気も少ないが、魔道具による冷風扇があるので家の中は快適である。
「エルの友達を泊める場所も無いから、夜までとか遠出するのは無理だしね」
「とおでかあ・・」
夏と言えば海水浴だ。だがこの国には海が無い。川はあるけど普段から子供達が泳いでるから意味も無さそう。
「あ!」
「うん?何かありそう?」
「・・むりかな」
人工プールを思い出した。遊園地なんかにある奴
「予算で何とかなれば頑張るよ?」
(ロランって結構健気だな)
「見たことないから、ないかも知れない・・」
「どんなの?」
ロランに説明をしたら興味を持った様だった
「じゃあ作っちゃう?」
(なんですと?)
「できるの?」
「出来そうな気がする?」
確かにロランの魔法は規格外である
「でも滑り台は難しいかなあ」
この世界にも遊具の滑り台はあるが、プール用は無い
「ぎょうしゃさんに手伝ってもらえないかな?」
「その前に場所よね?」
「うん・・」
「「・・・」」
プールは保留となった
ーーーーー
いつもの様にギルドに行く。そこで姉ちゃんが来るのを待つ
「きた」
「ただいま」
今日は姉ちゃんと同級生二人だった
「おかえり」
「エディ~~ただいまあ~~」
馴れ馴れしく抱きついてくるのは姉と同級生のカレン
「お、おかえり」
「ただいま」
すました顔だが律儀に挨拶する、うさ耳兎人族のリズ
「りずもおかえり。今日は三人なんだね」
「泳ぎに行くってすぐに帰った子もいるから」
「そうなんだ」
「ほんと何が楽しいのかしら?」
カレンがリズにつっこむ
「リズ泳げないもんね~~」
「お、およげるよ」
(目が泳いでるな)
「今日もご飯のあとお勉強?」
「そうだよ」
「エルも頑張るね。入学してからずっとでしょ?」
「だいぶ慣れたよ」
「もうすぐ冒険者だしね~~」
カレンが姉ちゃんを茶化す
「共用語を習うって銀板を目指すのも大変なのね」
「そ、そうだね」
近代魔法は内緒なのでそう言う事にしてある
「エルが冒険者になったら~~・・何かお仕事頼もう!」
「カレンだったら宿題とか?」
「ちが~~う」
「「あははは」」
この3人は本当に仲が良いな
一頻り雑談をした後、2人と別れる。いつもの公園で昼食を食べ図書館へ向かった。
いつもの3人に加え、領主と知らないおじさんが居た
「「こんにちは」」
「こんにちは。この子達が封印された書を開けるのですか?」
「え?」
領主を見る。内緒じゃなかったのか?
「開けるのはエディだよ。エディ、この人はジェフリー医師。癒しの魔法を初めて実現した人だよ」
(は?)
「「ええー!?」」
ーーーーー
経緯を聞く。最初は研究者としてジェフリー医師に打診したが、現場に拘る為にいい返事を貰えなかった。
そこでロバルデュー領2番目の街ヒューイットにある総合病院に席を用意し、現場と医療器具の開発をお願いした。
ヒューイットの総合病院は大繁盛である。
領境いにある街でロバルデュー領では最も王都寄りにあり、隣の領地や旅人の患者も多い。
だが色よい返事は貰えない。報酬を上げるのは簡単だが、それでもいい返事は貰えない可能性がある。
そう思った領主は、癒しの魔法の事を伝えた。
アオキ・セイジが残した詠唱がある。それを実現できるのはジェフリー医師だけかも知れない。
その言葉と、医師としては最高額の報酬を提示した。
ジェフリー医師は王都で最も成功した人の一人であり、他の地にあまり魅力を持てなかった。
だが引退が近い年齢であり、息子も大きな病院で医師としてやって行ける。
そこで降って湧いた様に、癒しの魔法の話が出てきた。噂にあった封印された技術書や指南書に載っている可能性がある魔法。
ジェフリー医師の探究心に再び火を付ける事になる。
報酬も十分な事から財産を親族に分け、妻と二人でロバルデュー行きを決めたのだ。
(なんか、すごい人がこの地に来たみたいだ)
ジェフリー医師はにっこにこである
「医療に限らず封印された書には心躍りますな。それにこんな若い子達が近代魔法を習っている。この地はまだまだ安泰ですな」
「ありがとうございます」
領主も嬉しそうに返事をする。そこでふと思った
「おうとでは近代まほう習えないの?」
「いいや。勉強しようと思えば出来ます。しかし近代魔法が無くてもお金は稼げますから、若者は目も向けないのですよ」
「むずかしいから?」
「それもありますが、現代魔法で十分ですからね」
確かにそうだ。姉ちゃんは魔力が足りず、魔法使いを目指すには近代魔法に頼るしか無かった。
「エディ君達の話を聞いたのですが、そこで翻訳の仕事ですが私も混ぜてもらえないでしょうか?」
「え?でもびょういんは?」
「シルヴェール街の方に移させてもらいました。私も先は長く無いですからね、この機会を逃したく無いのですよ」
(正直な人だ)
領主を見る。大丈夫だろうか?
「心配は要らん。俺の目で確認したからここに来てもらったんだ」
(何を確認したんだろう?)
「ロランどうおもう?」
「問題無いわ。ジェフリー医師は私の国にも名声が届いているぐらいだし」
「すごいね」
「御老体でも私よりずっと頭が良いと思うよ?」
(天才のロランがそこまで言うか?)
「はっは。伸びしろはロラン君の方がずっとありますよ」
「ロランでいいよ」
「それでは私もジェフリーと」
「さ、さすがにそれは・・」
ロランが焦っている。ドク爺と言い、どうやら老人に弱いみたいだ。そして普通にジェフリーさんと決まった。
「それでは学塾の休みの日に午前中。夏休みは毎日午前中ですな?」
「あー6月2日はないよ」
「ふむ。別の用事ですか?近代魔法に関わるならお手伝いしたい所ですが?」
「ねえちゃんの誕生日」
「なるほど」
姉ちゃんが話しに入る
「エディごめん!3日も休みたい」
「そうなの?」
「レミの誕生日」
「いちにち違いだ」
「はっは。そう言う事なら構いませんよ」
「すみません・・」
「いいえ。参加させて頂けるだけありがたい物です」
ーーーーー
そして話は纏まった。少し遅れて授業に入る。ジェフリーさんは見学していく様だ。
ロバートさんがいつになく緊張している。そして授業が終わる。
「大先輩に見られるのも久しぶりで緊張しますな」
「はっは。しがない老人ですよ」
「ジェフリー医師ほど言語に精通している方に見られると緊張もしますよ」
「じぇふりーさんってすごいの?」
「7ヶ国語は行けますよね?」
「7か8かそんなもんだなあ」
(やべーな)
「王都の総合病院には外国の患者も居られますからね。それ相応には勉強しますよ」
(なるほど)
そして近代魔法の勉強をする。ロランが珍しく緊張している。
ジェフリーさんからも質問が出たりするのだ。そして授業が終わる。
「つ、疲れた・・」
ロランが机に頭を乗せている
「ロランはすごいな。私が理解できなかった事も理解出来るように教えてくれる」
「エディのおかげだよー」
「確かに、エディ君の質問は良い所を突きますね。私もハッとさせられましたよ」
(まあ分かる様に狙ってるからね)
姉ちゃんだけでなく、ロレインとセレスもぐったりしている。ジェフリーさんはよほどの大物なのか、二人ともずっと緊張していた。
「はっは。こうして見るとエディ君が特別なのも分かりますな」
「そうなの?」
「君だけが平然としている。授業の内容も子供が習うレベルでは無い。ロバート君も緊張させてしまったが、君はいつも通りの様だ」
(そう言えばそうだけど、俺には緊張する理由が無いからな)
目的は姉ちゃんを勉強させる事だ。そして理解出来るようにサポートする事。
この場に誰が居てもやる事は変わらないのだ。
「とても楽しかったよ。今度はエディ君達にも私の現場に来てほしいものですな」
「え?びょういん?」
「ええ。癒しの魔法を研究している現場です」
姉ちゃんが食い付く
「それって、何でも治せるの?」
「何でもではありません。まだ数日で治る怪我ならその場で治せる程度です。詠唱の改良が必要なので、ぜひ協力して欲しいですね」
(ほんとに治せるのか・・)
そしてジェフリーさんは姉ちゃんの手を取って魔法陣を作り、詠唱を書き込む。
「マメは完全に治すと何時までも成長できませんからね。痛みが消える程度にしておきました」
「ほんと痛くない」
絆創膏を取る。まだ赤いが皮が剥けて痛々しかった所は治っている。
「すごい」
ロランも驚いて思わず言葉が出た
(ああ・・この人は格が違うな)
ふと見ると領主もロバートさんも驚いていた
「もうこんな簡単に使える様になったのですか?」
「はっは。家ではいつも詠唱の事を考えておりますからな。妻も突飛な発想をしてくれますが、それに助けられたりしますよ」
(ふむ。出会うべくして出会った奥さんって事か)
セレスも皮が剥けて治っていない所を治してもらった。そして姉ちゃんと木剣で素振りを始める。当分の間は素振りらしい。
ただ振るのではなく、ぶれない様に、きちんと止められる様に、そしてマメが出来なくなるまで続ける。
姿勢も大事だ。強い者は美しい。それは野生の生物にも言える事である。
ーーーーー
素振りの間、領主を交えてロレインと雑談をする。
ロバートさんはジェフリーさんを家まで送って行ったので、ロランが二人を見ている。
「すごいおいしゃさんだったね」
「あの人は有名だからね。もう助からないだろうって思う怪我も殆ど治療したそうだよ」
「だからまほうが使えたんだね」
領主も入る
「翻訳の通りなら、治療の過程も知る必要があるらしいからな。どんな風に治って行くのかよく知っている。だから使えたのだろう」
「使えるおいしゃさんがふえると良いね」
「ああ。後継者を残して行くのは大変だからな。病院も一部システムを変える必要がある」
「・・・ねえちゃんにもできないかな?」
「どうだろうな?医者になったとしても魔力量が足りるかどうか・・」
ロレインも考える
「怪我の重症度で必要な魔力が変わるのでしょうか?」
「これまでの近代魔法ならその通りだな」
「そう言えば、けがのないようで詠唱がかわるんだよね?」
「確かそうだったな」
「それなら一部だけでも、ねえちゃんに教えられないかな?」
「どう言う事だ?」
「さっき手をなおしたけど、それだけ教えたらできないかな?」
「エル自身が体験している怪我と言う事か?」
「うん」
「ふむ・・」
ロレインが気付く
「なるほど!自分自身の傷が治って行く過程を知っていれば、可能性はあるかも知れない!」
「それ」
剣術を本格的に習う様になると、姉ちゃんの傷は増えて行くだろう。
そしてマメの様に自分で薬を塗りながら、治って行く過程を目にする事になる。常にそれを意識させれれば・・
(剣術を習っている間しか出来ない。やってみる価値はあるかも)
俺は姉ちゃんが冒険者を目指すなら、スーパーウーマンになって欲しい。
何処に行っても魔力が少なくても恥ずかしく無い、カッコいい魔法使いになって欲しいのだ。
「ロラン、せっかくだから今のうちに計画をたてよう」
「家族計画?」
「・・・ねえちゃんの誕生日だよ」
姉ちゃんは6月2日が誕生日。しかも学塾は6月が夏休みだ
「もうここにレミや同級生を呼ぶって決まってるよ?」
「ぼくのときみたいにサプライズを・・」
「エディは忘れてたからそうなったと思うけど?」
確かにそうだ。前世の誕生日と違ったからでもある
「それじゃあロレインでも呼ぶ?」
「えー」
(ロレインは何気に姉ちゃんに気がありそうだしな)
今回ロレイン達は参加しない。姉の同級生達も来るので、領主の関係者は来ない方が良いと自主的に辞退した。
「今から場所を変えてもお金がかかるだけだしね」
「うん」
自分では気付かなかったが、あの誕生パーティーは一般人だとひっくり返る程お金がかかるらしい。
ロランが事前に稼げたのと、領主の配慮があったので実現したそうだ。
「何かないかなあ」
窓の外を見ると太陽が照りつけている。今は真夏だ。この世界の夏は、4月から始まり5月~6月がピークだ。
元々湿気も少ないが、魔道具による冷風扇があるので家の中は快適である。
「エルの友達を泊める場所も無いから、夜までとか遠出するのは無理だしね」
「とおでかあ・・」
夏と言えば海水浴だ。だがこの国には海が無い。川はあるけど普段から子供達が泳いでるから意味も無さそう。
「あ!」
「うん?何かありそう?」
「・・むりかな」
人工プールを思い出した。遊園地なんかにある奴
「予算で何とかなれば頑張るよ?」
(ロランって結構健気だな)
「見たことないから、ないかも知れない・・」
「どんなの?」
ロランに説明をしたら興味を持った様だった
「じゃあ作っちゃう?」
(なんですと?)
「できるの?」
「出来そうな気がする?」
確かにロランの魔法は規格外である
「でも滑り台は難しいかなあ」
この世界にも遊具の滑り台はあるが、プール用は無い
「ぎょうしゃさんに手伝ってもらえないかな?」
「その前に場所よね?」
「うん・・」
「「・・・」」
プールは保留となった
ーーーーー
いつもの様にギルドに行く。そこで姉ちゃんが来るのを待つ
「きた」
「ただいま」
今日は姉ちゃんと同級生二人だった
「おかえり」
「エディ~~ただいまあ~~」
馴れ馴れしく抱きついてくるのは姉と同級生のカレン
「お、おかえり」
「ただいま」
すました顔だが律儀に挨拶する、うさ耳兎人族のリズ
「りずもおかえり。今日は三人なんだね」
「泳ぎに行くってすぐに帰った子もいるから」
「そうなんだ」
「ほんと何が楽しいのかしら?」
カレンがリズにつっこむ
「リズ泳げないもんね~~」
「お、およげるよ」
(目が泳いでるな)
「今日もご飯のあとお勉強?」
「そうだよ」
「エルも頑張るね。入学してからずっとでしょ?」
「だいぶ慣れたよ」
「もうすぐ冒険者だしね~~」
カレンが姉ちゃんを茶化す
「共用語を習うって銀板を目指すのも大変なのね」
「そ、そうだね」
近代魔法は内緒なのでそう言う事にしてある
「エルが冒険者になったら~~・・何かお仕事頼もう!」
「カレンだったら宿題とか?」
「ちが~~う」
「「あははは」」
この3人は本当に仲が良いな
一頻り雑談をした後、2人と別れる。いつもの公園で昼食を食べ図書館へ向かった。
いつもの3人に加え、領主と知らないおじさんが居た
「「こんにちは」」
「こんにちは。この子達が封印された書を開けるのですか?」
「え?」
領主を見る。内緒じゃなかったのか?
「開けるのはエディだよ。エディ、この人はジェフリー医師。癒しの魔法を初めて実現した人だよ」
(は?)
「「ええー!?」」
ーーーーー
経緯を聞く。最初は研究者としてジェフリー医師に打診したが、現場に拘る為にいい返事を貰えなかった。
そこでロバルデュー領2番目の街ヒューイットにある総合病院に席を用意し、現場と医療器具の開発をお願いした。
ヒューイットの総合病院は大繁盛である。
領境いにある街でロバルデュー領では最も王都寄りにあり、隣の領地や旅人の患者も多い。
だが色よい返事は貰えない。報酬を上げるのは簡単だが、それでもいい返事は貰えない可能性がある。
そう思った領主は、癒しの魔法の事を伝えた。
アオキ・セイジが残した詠唱がある。それを実現できるのはジェフリー医師だけかも知れない。
その言葉と、医師としては最高額の報酬を提示した。
ジェフリー医師は王都で最も成功した人の一人であり、他の地にあまり魅力を持てなかった。
だが引退が近い年齢であり、息子も大きな病院で医師としてやって行ける。
そこで降って湧いた様に、癒しの魔法の話が出てきた。噂にあった封印された技術書や指南書に載っている可能性がある魔法。
ジェフリー医師の探究心に再び火を付ける事になる。
報酬も十分な事から財産を親族に分け、妻と二人でロバルデュー行きを決めたのだ。
(なんか、すごい人がこの地に来たみたいだ)
ジェフリー医師はにっこにこである
「医療に限らず封印された書には心躍りますな。それにこんな若い子達が近代魔法を習っている。この地はまだまだ安泰ですな」
「ありがとうございます」
領主も嬉しそうに返事をする。そこでふと思った
「おうとでは近代まほう習えないの?」
「いいや。勉強しようと思えば出来ます。しかし近代魔法が無くてもお金は稼げますから、若者は目も向けないのですよ」
「むずかしいから?」
「それもありますが、現代魔法で十分ですからね」
確かにそうだ。姉ちゃんは魔力が足りず、魔法使いを目指すには近代魔法に頼るしか無かった。
「エディ君達の話を聞いたのですが、そこで翻訳の仕事ですが私も混ぜてもらえないでしょうか?」
「え?でもびょういんは?」
「シルヴェール街の方に移させてもらいました。私も先は長く無いですからね、この機会を逃したく無いのですよ」
(正直な人だ)
領主を見る。大丈夫だろうか?
「心配は要らん。俺の目で確認したからここに来てもらったんだ」
(何を確認したんだろう?)
「ロランどうおもう?」
「問題無いわ。ジェフリー医師は私の国にも名声が届いているぐらいだし」
「すごいね」
「御老体でも私よりずっと頭が良いと思うよ?」
(天才のロランがそこまで言うか?)
「はっは。伸びしろはロラン君の方がずっとありますよ」
「ロランでいいよ」
「それでは私もジェフリーと」
「さ、さすがにそれは・・」
ロランが焦っている。ドク爺と言い、どうやら老人に弱いみたいだ。そして普通にジェフリーさんと決まった。
「それでは学塾の休みの日に午前中。夏休みは毎日午前中ですな?」
「あー6月2日はないよ」
「ふむ。別の用事ですか?近代魔法に関わるならお手伝いしたい所ですが?」
「ねえちゃんの誕生日」
「なるほど」
姉ちゃんが話しに入る
「エディごめん!3日も休みたい」
「そうなの?」
「レミの誕生日」
「いちにち違いだ」
「はっは。そう言う事なら構いませんよ」
「すみません・・」
「いいえ。参加させて頂けるだけありがたい物です」
ーーーーー
そして話は纏まった。少し遅れて授業に入る。ジェフリーさんは見学していく様だ。
ロバートさんがいつになく緊張している。そして授業が終わる。
「大先輩に見られるのも久しぶりで緊張しますな」
「はっは。しがない老人ですよ」
「ジェフリー医師ほど言語に精通している方に見られると緊張もしますよ」
「じぇふりーさんってすごいの?」
「7ヶ国語は行けますよね?」
「7か8かそんなもんだなあ」
(やべーな)
「王都の総合病院には外国の患者も居られますからね。それ相応には勉強しますよ」
(なるほど)
そして近代魔法の勉強をする。ロランが珍しく緊張している。
ジェフリーさんからも質問が出たりするのだ。そして授業が終わる。
「つ、疲れた・・」
ロランが机に頭を乗せている
「ロランはすごいな。私が理解できなかった事も理解出来るように教えてくれる」
「エディのおかげだよー」
「確かに、エディ君の質問は良い所を突きますね。私もハッとさせられましたよ」
(まあ分かる様に狙ってるからね)
姉ちゃんだけでなく、ロレインとセレスもぐったりしている。ジェフリーさんはよほどの大物なのか、二人ともずっと緊張していた。
「はっは。こうして見るとエディ君が特別なのも分かりますな」
「そうなの?」
「君だけが平然としている。授業の内容も子供が習うレベルでは無い。ロバート君も緊張させてしまったが、君はいつも通りの様だ」
(そう言えばそうだけど、俺には緊張する理由が無いからな)
目的は姉ちゃんを勉強させる事だ。そして理解出来るようにサポートする事。
この場に誰が居てもやる事は変わらないのだ。
「とても楽しかったよ。今度はエディ君達にも私の現場に来てほしいものですな」
「え?びょういん?」
「ええ。癒しの魔法を研究している現場です」
姉ちゃんが食い付く
「それって、何でも治せるの?」
「何でもではありません。まだ数日で治る怪我ならその場で治せる程度です。詠唱の改良が必要なので、ぜひ協力して欲しいですね」
(ほんとに治せるのか・・)
そしてジェフリーさんは姉ちゃんの手を取って魔法陣を作り、詠唱を書き込む。
「マメは完全に治すと何時までも成長できませんからね。痛みが消える程度にしておきました」
「ほんと痛くない」
絆創膏を取る。まだ赤いが皮が剥けて痛々しかった所は治っている。
「すごい」
ロランも驚いて思わず言葉が出た
(ああ・・この人は格が違うな)
ふと見ると領主もロバートさんも驚いていた
「もうこんな簡単に使える様になったのですか?」
「はっは。家ではいつも詠唱の事を考えておりますからな。妻も突飛な発想をしてくれますが、それに助けられたりしますよ」
(ふむ。出会うべくして出会った奥さんって事か)
セレスも皮が剥けて治っていない所を治してもらった。そして姉ちゃんと木剣で素振りを始める。当分の間は素振りらしい。
ただ振るのではなく、ぶれない様に、きちんと止められる様に、そしてマメが出来なくなるまで続ける。
姿勢も大事だ。強い者は美しい。それは野生の生物にも言える事である。
ーーーーー
素振りの間、領主を交えてロレインと雑談をする。
ロバートさんはジェフリーさんを家まで送って行ったので、ロランが二人を見ている。
「すごいおいしゃさんだったね」
「あの人は有名だからね。もう助からないだろうって思う怪我も殆ど治療したそうだよ」
「だからまほうが使えたんだね」
領主も入る
「翻訳の通りなら、治療の過程も知る必要があるらしいからな。どんな風に治って行くのかよく知っている。だから使えたのだろう」
「使えるおいしゃさんがふえると良いね」
「ああ。後継者を残して行くのは大変だからな。病院も一部システムを変える必要がある」
「・・・ねえちゃんにもできないかな?」
「どうだろうな?医者になったとしても魔力量が足りるかどうか・・」
ロレインも考える
「怪我の重症度で必要な魔力が変わるのでしょうか?」
「これまでの近代魔法ならその通りだな」
「そう言えば、けがのないようで詠唱がかわるんだよね?」
「確かそうだったな」
「それなら一部だけでも、ねえちゃんに教えられないかな?」
「どう言う事だ?」
「さっき手をなおしたけど、それだけ教えたらできないかな?」
「エル自身が体験している怪我と言う事か?」
「うん」
「ふむ・・」
ロレインが気付く
「なるほど!自分自身の傷が治って行く過程を知っていれば、可能性はあるかも知れない!」
「それ」
剣術を本格的に習う様になると、姉ちゃんの傷は増えて行くだろう。
そしてマメの様に自分で薬を塗りながら、治って行く過程を目にする事になる。常にそれを意識させれれば・・
(剣術を習っている間しか出来ない。やってみる価値はあるかも)
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そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
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バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生したらスキル転生って・・・!?
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世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
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