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はじまり
3 『移動』
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ホムセン先生の素敵仕様に浮かれまくって早速建築場所を探そうと人里離れた方を目指し、るんたかたった森を歩いて小一時間。
肩で息をするほどの距離を歩いて疲れ果て座り込んだ瞬間、ふっと―――
あれ? もう一つのスキルの『移動』使えばいいんじゃないの? 馬鹿なの?
という考えが頭をよぎり、おそるおそるスキルウィンドウを開いた
『遠見でマーカーを設置し、そのマーカーを設置した物かスキル使用者または別に設置したマーカーをを選択した方へ一瞬で引き寄せるスキル。引き寄せる軌道上に存在する障害物はその間すり抜けることができる。なお、このスキルは転移や瞬間移動とは異なるためそれらを妨害するスキルでは妨害されない
マーカーを設置する場所を思い浮かべてください』
馬鹿でした。いっそ殺せ。ナニコレ一瞬で移動できるじゃん、馬鹿じゃん。
酸素も思考回路もうまく回っていない
とにかく人気のない……
それでいて魔物も寄り付かない……
山岳地帯ぎりぎりの素敵三点セットが置けるぐらい開けたなるべく平らな場所……
そう思った瞬間、ぶわっと頭の中を覆うような光景が最大出力の光彩を持って駆け抜けた
あ、まって、これすっごい頭くらくらする。
虫の息の俺にはムリィ……
せめて酸素を取り込んで体勢を立て直そうとして、あえなくそのまま意識を失った。
次に目を覚ますとあたりはすっかり夕暮れ時、ほとんど沈みかけの夕日が暗闇に沈んでいく世界をほんのり照らしている。
やばくね……―――?
ちょっとおセンチな気持ちになってる場合じゃないよね?ここ魔導の森だよね?流石に寝床設置しないとマジやばいのでは??
周りは木々に囲まれて斜面もついている、ここでは素敵生活三点セットは設置できない。
しかし、先ほどの『移動』を使おうしてまた気絶してしまったらそれこそ魔物の餌になりかねないのでは……?
いやでも、さっきは一時間歩いてめっちゃ疲れてたうえにスキルまで使おうとしたから気絶したのでは? ということは息もすっかり落ち着いた今ならワンチャン?
そんなことをつらつら考えている間にも刻一刻と影の濃度が濃くなっていくわけで。
ええい、ままよ。俺も男だ腹をくくろう。
先ほど思い浮かべた場所をもう一度思い浮かべると、先ほどより軽い頭痛がしたと同時に同じ光景が浮かんできます。
『こちらにマーカーを設置しますか? 一度設置したマーカーは解除できません』
脳内に聞こえてくる性別や年齢を感じさせない無機質な声聞こえる。
頭の中の光景の隅っこではピコンピコンと赤い押しピンを模したアイコンが浮かんでいる。
もちろんスキルウィンドウではなく頭の中の光景をタッチすることはできないわけで、どうしたもんかと思いつつ心の中で『設置!!!』と念じてみた。
『マーカーが設置されました。 こちらに移動しますか?』
おお! 設置されたってことは、こっちはスキルウィンドウでじゃなくて頭の中で念じて使う系の力なのか。ああ、つまりこれって戦闘中でも使える能力なんだ、そりゃ戦闘中にいちいちスキルウィンドウ使ってられないもんな。
続けて心の中で元気よく『移動!!』と念じると、
パッと周りの景色が一瞬で様変わりした。
生い茂っていた雑草も、その間を這うようにしてうねっていた木の根も、すべてを覆い被していた木々も消えさって、あたりは縦に深い洞穴のような場所。
上を見上げれば、もう夜だというのに木の根が張っている隙間から晃晃と月の光が差し込んで、その根から滴っている雫がぴちゃん、ぴちゃんと音を立てている。あたりを見回せば小さな集落くらいなら入りそうな穴倉が、むき出しの壁に染み出す湧き水に反射してキラキラと光っている。そしてその湧き水の浅い池の中、真っ白な土が中州のようになった場所に、俺は立っていた。
なるほど、これが『移動』の使い方――――
肩で息をするほどの距離を歩いて疲れ果て座り込んだ瞬間、ふっと―――
あれ? もう一つのスキルの『移動』使えばいいんじゃないの? 馬鹿なの?
という考えが頭をよぎり、おそるおそるスキルウィンドウを開いた
『遠見でマーカーを設置し、そのマーカーを設置した物かスキル使用者または別に設置したマーカーをを選択した方へ一瞬で引き寄せるスキル。引き寄せる軌道上に存在する障害物はその間すり抜けることができる。なお、このスキルは転移や瞬間移動とは異なるためそれらを妨害するスキルでは妨害されない
マーカーを設置する場所を思い浮かべてください』
馬鹿でした。いっそ殺せ。ナニコレ一瞬で移動できるじゃん、馬鹿じゃん。
酸素も思考回路もうまく回っていない
とにかく人気のない……
それでいて魔物も寄り付かない……
山岳地帯ぎりぎりの素敵三点セットが置けるぐらい開けたなるべく平らな場所……
そう思った瞬間、ぶわっと頭の中を覆うような光景が最大出力の光彩を持って駆け抜けた
あ、まって、これすっごい頭くらくらする。
虫の息の俺にはムリィ……
せめて酸素を取り込んで体勢を立て直そうとして、あえなくそのまま意識を失った。
次に目を覚ますとあたりはすっかり夕暮れ時、ほとんど沈みかけの夕日が暗闇に沈んでいく世界をほんのり照らしている。
やばくね……―――?
ちょっとおセンチな気持ちになってる場合じゃないよね?ここ魔導の森だよね?流石に寝床設置しないとマジやばいのでは??
周りは木々に囲まれて斜面もついている、ここでは素敵生活三点セットは設置できない。
しかし、先ほどの『移動』を使おうしてまた気絶してしまったらそれこそ魔物の餌になりかねないのでは……?
いやでも、さっきは一時間歩いてめっちゃ疲れてたうえにスキルまで使おうとしたから気絶したのでは? ということは息もすっかり落ち着いた今ならワンチャン?
そんなことをつらつら考えている間にも刻一刻と影の濃度が濃くなっていくわけで。
ええい、ままよ。俺も男だ腹をくくろう。
先ほど思い浮かべた場所をもう一度思い浮かべると、先ほどより軽い頭痛がしたと同時に同じ光景が浮かんできます。
『こちらにマーカーを設置しますか? 一度設置したマーカーは解除できません』
脳内に聞こえてくる性別や年齢を感じさせない無機質な声聞こえる。
頭の中の光景の隅っこではピコンピコンと赤い押しピンを模したアイコンが浮かんでいる。
もちろんスキルウィンドウではなく頭の中の光景をタッチすることはできないわけで、どうしたもんかと思いつつ心の中で『設置!!!』と念じてみた。
『マーカーが設置されました。 こちらに移動しますか?』
おお! 設置されたってことは、こっちはスキルウィンドウでじゃなくて頭の中で念じて使う系の力なのか。ああ、つまりこれって戦闘中でも使える能力なんだ、そりゃ戦闘中にいちいちスキルウィンドウ使ってられないもんな。
続けて心の中で元気よく『移動!!』と念じると、
パッと周りの景色が一瞬で様変わりした。
生い茂っていた雑草も、その間を這うようにしてうねっていた木の根も、すべてを覆い被していた木々も消えさって、あたりは縦に深い洞穴のような場所。
上を見上げれば、もう夜だというのに木の根が張っている隙間から晃晃と月の光が差し込んで、その根から滴っている雫がぴちゃん、ぴちゃんと音を立てている。あたりを見回せば小さな集落くらいなら入りそうな穴倉が、むき出しの壁に染み出す湧き水に反射してキラキラと光っている。そしてその湧き水の浅い池の中、真っ白な土が中州のようになった場所に、俺は立っていた。
なるほど、これが『移動』の使い方――――
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