赤い夕焼けの空

ミニマリスト憂希

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それから6年後

スタタタッ
元気に走る青年

「パンを下さい!」

はっきりと大きな声で話す青年
16歳になったトニーは立派に成長していた

パンを食べながら歩くトニー
すると花屋を前に立ち止まった

「いらっしゃいませー」

目の前にはトニーと同い年ぐらいの娘が働いていた
しばらくその娘を少し遠くから
見つめるトニー
すると娘がトニーに気づく
手を振る娘
トニーは顔を赤くして後ろを向いて走った
しばらくして

「ヤバい 遅刻する」

また走るトニー
あの工場へ向かっていた

「おはようございます 工場長!」

「おはようトニー 今日もよろしくね」

トニーは16歳だったが
大人1人分以上の仕事をしていたし
工場長にも気にいられていた
その分給料もなかなかのものだった

ロッカーでニックが

「トニー遅いじゃないか 俺より先に家に出たのにどこ行ってたんだ?」

「ちょっと朝食のパンを買って食べてたんだ」

「嘘つけ ま~た花屋の娘を見に行ってたんだろ」

「うっ」

顔を赤くするトニー

実はトニーは毎朝の様に
花屋の娘を見に花屋へ通っていたのだ

「違うよ」

そう言いながらトニーは着替えて仕事場へ向かうであった


カァ カァ
カラスが鳴く
空が赤くなり
仕事を終えたトニーとニック

「皆んな お疲れさん」

工場長が賃金を配る

「トニーお疲れ様」

「ありがとうございます」

子供の時よりもたくさんのお金が入って
いるトニーの封筒

「よし 今日も! おじさん先に帰ってて
晩御飯は買って帰るよ」

「ハハッ わかった 日が暮れるまでには帰れよ」

「うん」

そういうとトニーはある所へと向かってた

ある店の前で止まるトニー

「あ、 あの 花を下さい!」

「あっ トニー!今日も買いに来てくれたんだ いつもありがとうね」

あの花屋に来たトニー

「今日はどの花がいいの?」

「えっと その花とその花お願い」

「はい ブーゲンビリアとペンステモンね」

「いつもありがとうね」

手を振る娘

トニーは朝は娘を遠くから見つめに
夕方は花を買いに
この花屋を訪れていた
花の種類もよく分からず
娘に会いたいばかりに

トニーは娘に恋をしていたのだ

手を振って礼を言う娘

トニーも手を振り 家へ帰った

「ただいま」

「おかえりトニー」

「ん?あれ?晩御飯は?」

「あっ!」

「トニー 花は食えんぞ」

トニーとニックは相変わらず
あの小さな小屋で暮らしていた
トニーもニックもこの貧困層ではまだ結構
お給金をもらっているほうだったが古屋ぐらしだ

「今月の税収が近いぞトニー」

「ああ ちゃんと貯金してるって」

「そういえば税金がまた上がるって噂だぞ」

「また!?いくらなんでも高くない!?」

「ああ 俺たちは払っていけるが
払えない人達がどんどん増えていく」

「きっとそのうち暴動でも起きるよ」

トニーの予感は当たっていた
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