赤い夕焼けの空

ミニマリスト憂希

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税収の日

家の小屋の前で座っているニックに税収員が訪れた

「こんにちは ニックさん税収に参りました」

「はいよ」

立ち上がり小屋の中からお金を出してくるニック

「ニックさん こんな古い小屋暮らしは苦しいでしょう もう少しいい暮らししたらどうですか?」

「関係ないでしょう はい2人分…今月の分」

「確かに…」

「あの、」

「はい?」

「あまりにも税金が高くないですか?
俺たち2人は払っていけてるけど
他の人達は払っていけませんよ」

「国が決めた事なので 払えない人は地下行きなだけです」

冷たく答える税収員

ニックはなにも言えずにいた

「ではこれで」


「おじさん どうしたの?」

「ん?高い税金の取りに来たのさ」

「あいつらか!」

トニーは自分が小さい頃の事を思い出していた

「僕の母さん 父さんを奪ったのはこの税収だ!」

「俺達にはどうすることも出来ないさ」

「僕はこの国が大嫌いだ!」

そう言うとどこかへ歩くトニー
すると自然と花屋に来ていた

「ああトニー 今日も来てくれたのね」

「いや あの」

通りかかっただけと言えないトニー

「でもゴメンねトニー もう花を売る事は出来ないんだ」

「どーして!?」

「恥ずかしい話 実は増税で税金が払えなかったんだ だからもう店を閉めるの」

「そんな…」

「ゴメンね トニー」

悲しみにくれるトニー
小さい頃 家族で地下へ行った事を思い出し
娘にあの地下暮らしをさせる訳にはいかないと思った

考えるトニー

「僕が…僕がどうにかしてあげるよ!」


トニーはある決心をした


地下行きの日
多くの人々が集まり
地下へ連れて行かれる人達を見ていた

トニーは娘の姿を見ていた

「この国はいい国だ♪
この国は国民思いだ♪
税金を払えない非国民は地下行きさ♪
地下へ行けば カビの生えたパンと冷たいスープは保証さ♪
男は力仕事♪
女達は警備兵に乱暴されるよ♪」

拡声器を使って歌を歌いだすトニー

「なんだ!貴様は!?」

「捕らえよ!」

「皆んな!地下へ行ったら今の歌の様にされるぞ!本当にそれでいいのか!?」

「えっ?カビの生えたパン?乱暴!?」

動揺する人々

「俺は一度 地下へ行った事がある!」

「何をデタラメな!何をしてる!早く捕らえよ!」

しかしトニーは人々の中心にいた為

警備隊はなかなかトニーにたどり着かない

「今 立ち上がって 闘うべきだ!」

動揺する人々

「闘うだって…そんな事言われても…」

「でも いずれは 家も地下へ行く時が来る」

人々はついに決心した
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