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【最終回】ハリーはおにいちゃんSide:ハリー
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僕は見てしまった・・・
「スコット・・・おとーさまは本当におかーさまを愛してるの?」
「急にどうしたんですか?ハリーお坊っちゃま」
「実は・・・僕は見ちゃったんだ。おとーさまがおかーさまに手錠つけて、なんだかおかーさまを虐めてる風だった」
スコットはどこか動揺している感じだったけど、ボクの頭を撫でながら答えのヒントをくれた。
「ハリー坊っちゃんも、大人になったら分かりますよ。きっとおとーさまはおかーさまと仲良くしていたんです」
「そう・・・なの?」
あれが大人の仲良くする方法なのかな。ボクはまだ子どもだから理解できないや。
「ハリー坊っちゃんが外で見ていて、おとーさまはおかーさまを愛していないとお思いになりますか?」
「うーん、考えたこともないや」
「じゃあ今度二人をよーく観察してみてください。きっとその答えが見つかりますよ」
+
+
+
今日ボクはお勉強がお休みだ。かーさまと一緒に凍った池の上でスケートする予定だからとっても楽しみだ!
「スコット!池凍ってた?」
「はい、今日はスケートできそうです。よかったですね」
「うん!!おかーさまもやるって言ってたから楽しみ!」
おかーさまはまだ朝食に降りてこないから、朝スコットとそんな会話をしてたら無関心そうに新聞を読んでた父上がちらっとボクらを見た。
「エリィも・・・スケートするのか?」
「はい、一緒に行くって言ってました」
「そうか・・・危なくないか?」
「お嬢様はスケートは昔からお上手でいらっしゃったので、大丈夫かと」
スコットがおとーさまにそう言ったけど、おとーさまは不安そうだった。
「じゃあ行きましょうか、ハリー」
「うん!」
ん?後ろから誰かが付いてくるぞ?木の後ろに隠れた。そこからおとーさまのコートの端が見えてる。
『おかーさま、後ろからおとーさまが付いてきてるよ』
『あら、本当ね。隠れてるつもりかしら』
おかーさまは後ろを振り向いて「フィル、何してるの?」と聞いたらひょっこり現れて「散歩だ」と言っていた。
「おとーさまも一緒に行きますか?」
「あ、ああ」
三人で池に向かった。久々の家族三人で遊べる!
「エリィ、危ないから僕の手に捕まって」
「大丈夫よ、フィル」
おとーさまはおかーさまが転ばないか心配そうだ。僕は上手にスイスイ滑ったよ。
「エリィ、寒くないか?ほら、僕のマフラーをして」
「大丈夫よ、フィル」
おとーさまがおかーさまを寒くならないように抱きしめながら、二人はボクのスケートを見てほめてくれた。うれしいな!
「フィル様ー!!仕事さぼってこんなところにいたんですかー!!」
「ちょっと散歩だ」
スコットがこちらに駆けてくる。どうやらおとーさまは仕事を抜け出して来たみたいだ。説得されておとーさまはおうちに帰ってしまった。
ボクらはもう一時間くらい遊んで帰った。僕らは一緒にホットココアを飲んで暖炉の側で昼寝してたんだ。
「エリィ、こんなとこで寝たら風邪ひくぞ」
「エリィ、お風呂で転んだらだめだから一緒に入ろう」
「エリィ、針は危ないから裁縫はしなくても・・・」
どうやらおとーさまはおかーさまが大好きなようだ。
「ねえ、スコット。おとーさまはおかーさまを本当に愛してるんだね」
「正解ですよ、ハリーお坊っちゃま。ハリーお坊っちゃまのおとーさまはおかーさまにベタ惚れです」
よかった、二人は愛し合ってるんだね!でも、あの夜虐めてたみたいな光景は何だったんだろう。・・・うーん、まあいっか!
「ハリー、実はね、おかーさまのお腹には赤ちゃんがいるのよ」
「え、赤ちゃん?」
「もうすぐハリーもお兄ちゃんになるの」
「え、ボクがおにーちゃん!?」
おかーさまがお腹にもう1つの命があるってボクに教えてくれた。
「ハリー、お前はおとーさまがいない時おかーさまと弟か妹を守るんだぞ」
「はい!守ります!」
+
+
+
~十年後~
「リリィ!そんなところに行ったら危ないぞ!」
「もう、お兄様ったら超過保護だわ!」
フィルとエリザベスに妹が生まれ、ハリーはドが付くシスコンに育った。
「まぁ、過保護なところ、フィルにそっくりね」
「リリィの自由奔放なところはエリィにそっくりだ」
エリザベスとフィルは二人を見てほほえましく笑いあった。
~ダリル伯爵の半生~
ダリル領には、領地の繁栄に貢献したやり手の伯爵がいた。彼は戦時中第三王子を庇い、片目を失ってしまう。眼帯に常に厳しい表情の彼を恐れる貴族も多かったが、領民たちには『妖精の騎士』として愛されていた。その彼にはそれはそれは妖精のような可愛らしい奥さんがいて、伯爵はその奥さんにだけに甘い表情を向けていた。二人は長男と長女を設け、息子が大きくなると伯爵は仕事をすべて任せて僻地に引きこもってしまった。噂では今でも二人は仲睦まじく過ごしているようだ。
記事:編集長ミミ
〈おわり〉
「スコット・・・おとーさまは本当におかーさまを愛してるの?」
「急にどうしたんですか?ハリーお坊っちゃま」
「実は・・・僕は見ちゃったんだ。おとーさまがおかーさまに手錠つけて、なんだかおかーさまを虐めてる風だった」
スコットはどこか動揺している感じだったけど、ボクの頭を撫でながら答えのヒントをくれた。
「ハリー坊っちゃんも、大人になったら分かりますよ。きっとおとーさまはおかーさまと仲良くしていたんです」
「そう・・・なの?」
あれが大人の仲良くする方法なのかな。ボクはまだ子どもだから理解できないや。
「ハリー坊っちゃんが外で見ていて、おとーさまはおかーさまを愛していないとお思いになりますか?」
「うーん、考えたこともないや」
「じゃあ今度二人をよーく観察してみてください。きっとその答えが見つかりますよ」
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今日ボクはお勉強がお休みだ。かーさまと一緒に凍った池の上でスケートする予定だからとっても楽しみだ!
「スコット!池凍ってた?」
「はい、今日はスケートできそうです。よかったですね」
「うん!!おかーさまもやるって言ってたから楽しみ!」
おかーさまはまだ朝食に降りてこないから、朝スコットとそんな会話をしてたら無関心そうに新聞を読んでた父上がちらっとボクらを見た。
「エリィも・・・スケートするのか?」
「はい、一緒に行くって言ってました」
「そうか・・・危なくないか?」
「お嬢様はスケートは昔からお上手でいらっしゃったので、大丈夫かと」
スコットがおとーさまにそう言ったけど、おとーさまは不安そうだった。
「じゃあ行きましょうか、ハリー」
「うん!」
ん?後ろから誰かが付いてくるぞ?木の後ろに隠れた。そこからおとーさまのコートの端が見えてる。
『おかーさま、後ろからおとーさまが付いてきてるよ』
『あら、本当ね。隠れてるつもりかしら』
おかーさまは後ろを振り向いて「フィル、何してるの?」と聞いたらひょっこり現れて「散歩だ」と言っていた。
「おとーさまも一緒に行きますか?」
「あ、ああ」
三人で池に向かった。久々の家族三人で遊べる!
「エリィ、危ないから僕の手に捕まって」
「大丈夫よ、フィル」
おとーさまはおかーさまが転ばないか心配そうだ。僕は上手にスイスイ滑ったよ。
「エリィ、寒くないか?ほら、僕のマフラーをして」
「大丈夫よ、フィル」
おとーさまがおかーさまを寒くならないように抱きしめながら、二人はボクのスケートを見てほめてくれた。うれしいな!
「フィル様ー!!仕事さぼってこんなところにいたんですかー!!」
「ちょっと散歩だ」
スコットがこちらに駆けてくる。どうやらおとーさまは仕事を抜け出して来たみたいだ。説得されておとーさまはおうちに帰ってしまった。
ボクらはもう一時間くらい遊んで帰った。僕らは一緒にホットココアを飲んで暖炉の側で昼寝してたんだ。
「エリィ、こんなとこで寝たら風邪ひくぞ」
「エリィ、お風呂で転んだらだめだから一緒に入ろう」
「エリィ、針は危ないから裁縫はしなくても・・・」
どうやらおとーさまはおかーさまが大好きなようだ。
「ねえ、スコット。おとーさまはおかーさまを本当に愛してるんだね」
「正解ですよ、ハリーお坊っちゃま。ハリーお坊っちゃまのおとーさまはおかーさまにベタ惚れです」
よかった、二人は愛し合ってるんだね!でも、あの夜虐めてたみたいな光景は何だったんだろう。・・・うーん、まあいっか!
「ハリー、実はね、おかーさまのお腹には赤ちゃんがいるのよ」
「え、赤ちゃん?」
「もうすぐハリーもお兄ちゃんになるの」
「え、ボクがおにーちゃん!?」
おかーさまがお腹にもう1つの命があるってボクに教えてくれた。
「ハリー、お前はおとーさまがいない時おかーさまと弟か妹を守るんだぞ」
「はい!守ります!」
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~十年後~
「リリィ!そんなところに行ったら危ないぞ!」
「もう、お兄様ったら超過保護だわ!」
フィルとエリザベスに妹が生まれ、ハリーはドが付くシスコンに育った。
「まぁ、過保護なところ、フィルにそっくりね」
「リリィの自由奔放なところはエリィにそっくりだ」
エリザベスとフィルは二人を見てほほえましく笑いあった。
~ダリル伯爵の半生~
ダリル領には、領地の繁栄に貢献したやり手の伯爵がいた。彼は戦時中第三王子を庇い、片目を失ってしまう。眼帯に常に厳しい表情の彼を恐れる貴族も多かったが、領民たちには『妖精の騎士』として愛されていた。その彼にはそれはそれは妖精のような可愛らしい奥さんがいて、伯爵はその奥さんにだけに甘い表情を向けていた。二人は長男と長女を設け、息子が大きくなると伯爵は仕事をすべて任せて僻地に引きこもってしまった。噂では今でも二人は仲睦まじく過ごしているようだ。
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