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運命④~ライト視点~
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薄汚れた牢屋の中に、彼女はうずくまっていた。食事もあまりしていなかったのだろう。少し痩せたように思う。
(生きるのを、諦めてしまった顔だ)
彼女からは生気がなく、光のない瞳にぼんやりとライトが移っていた。とにかくここから出そうと、ライトに付いてくるように伝えた。
(あそこで全てを話してしまえば、嫌がられるのは明らかだった・・・私は狡い男だ)
セナはどこに行くのかと疑問をぶつけるもライトははっきりと答えずに、ライトの住む城塞に連れていった。彼女はライトが死刑場に連れていくと思っていたらしく、不思議そうにしている。彼女が体を綺麗にしてライトの書斎に現れた時、ライトは目を見開いた。
(くっ・・・どんだけ神々しいんだ・・・この世のものとは本当に思えないな)
ドアノブの彼女のショールが引っ掛かると、彼女の服装が露になる。黄色のワンピースから彼女の豊満な胸が上半分キツそうに盛上っており、男にかぶりついて下さいと言わんばかりの体つきである。
(ちょ、直視できん)
後ろに控えている護衛のジョンの鼻にガーゼが詰まっているのが見えるが、何が起こったのか察する。ライトは同じことにならないように、ぐっと堪え、彼女に絶対にショールを外さないように伝えた。
「ライトが何か命令をくれたら何でもするぞ?なんたって私も戦士なのだから」
「もう君は戦士ではない。別に戦士になりたくてなった訳ではないのだろう?」
「それはそうだが・・・」
「この三ヶ月、君がしたいこと・・・君が幸せになれることを見つけてみてはどうだ?」
彼女には自分の幸せを見つけて欲しい。今まで自分の意思を持たずに生きていた彼女にとって自分で何かを見つけることは難しいであろうが、できるだけ彼女の願いを叶えてあげたい。
(彼女が幸せになってくれれば私は・・・)
この時はまだ、彼女にもし好きな男が出来ても愛人として迎え幸せに暮らしてほしいと、そう考えていた。
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