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不良な前世を思い出す
しおりを挟む───「お前とは婚約を破棄させてもらう。侯爵であるお前の家族とは縁を切って出ていくように」
「・・・はぁ!?」
(てめえ、この糞キラキラ王子が何言ってやがるんだ、頭かち割ってやろか、ぇえ??・・・って、あれ)
婚約破棄されたマリアンヌは、怒りが頂点に達し、今までに発言したことのないような言葉が浮かび上がる。すると頭の中に、様々なマリアンヌのものではない記憶が入り込んできて、自分の置かれている状況に驚きマリアンヌは目を見開いた。
(これ、妹がやってた恋愛ゲームじゃね?)
目の前にいる金髪でブルーの瞳をしたキラキラした男は、この国の第一王子で、隣には可愛らしく庇護よくをそそる少女がマリアンヌを見て怯えながら第一王子にしがみついている。
(‘イケメンキャッスル’とかゆー、ふざけた名前のゲームだったと思うんだけど)
マリアンヌの記憶にある少女‘真理’は、いわゆる不良であった。髪を巻き、セーラー服を極限まで伸ばし、真っ赤な口紅を付けて釘の刺さったバットを持ち歩くのが常で、当時では絶滅危惧種と言われていたツッパリ系不良少女である。真理の周りでも不良仲間は一人だけ。二人でレディースのグループを作り、ごく少ない他校の不良と時々喧嘩をしていた。
「由奈、おめえ何してんだ」
「あ、真理姉お帰り。相変わらずその格好してんの?ださっ」
「うるせーばか」
「ぎゃぁ、危ない!そのバットそろそろ捨てて!!」
あれは高校三年生のときである。現代っ子である妹が‘イケメンキャッスル’という恋愛ゲームにはまり、家に帰ると常にそのゲームをしていた時期があった。
「きゃぁ、悪役令嬢こわいよぉ。まじで会ったらチビるレベル・・・」
「ははは、喧嘩上等じゃねえか。私だったらその喧嘩買ってやるよ」
「真理姉ならやりかねないね・・・私はムリィ」
真理は妹とは仲が良かったので、彼女がゲームをする後ろで『今日から×××!!』という不良漫画をパラパラと読みつつゲームに茶々を入れたりして遊んでいた。
「真理姉はこの中で誰がいいと思う?」
「んー、やっぱこのキラキラ王子様か」
「きゃはは、真理姉ってばベタすぎる」
「うるせー。じゃあ由奈は誰だよ」
「私は第二王子のソロモン様かなぁ」
そんな姉妹の会話を思い出す。目の前にいるのは正しくそのキラキラ王子様なのである。
(やっべ、私その悪役令嬢じゃねえか)
唖然としていると、いつの間にか強面の騎士たちがマリアンヌを囲んでいた。マリアンヌは騎士たちに腕を引かれ、無理矢理退場させられていく。
「おい、汚い手で触んじゃねー!!お前ら只じゃおかねえからな!!」
「ふむ、やっと本性を現したか」
「は、離せ、離せ~~~~おい、クソ王子、喧嘩上等だ!!後で覚えてやがれ!!」
マリアンヌの悲鳴が城内に木霊した。
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