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何もかも失くしました
しおりを挟む「・・・くそぉ、あの王子め、結局男はロリコンか?ロリコンなのか??」
マリアンヌはとぼとぼと人通りの少ない通りを歩いていた。マリアンヌはもう二十◯歳。この国ではもう行き遅れであるが、一年半前、金策に困っていた第一王子がマリアンヌの実家である侯爵家を頼り、マリアンヌと婚約することで大金を助成することを合意をしたのだ。
(あれから妃になるための教育もしてきたのに・・・)
マリアンヌはパーティー好きなので夜中に仮面パーティーなどにも派手な衣装で積極的に参加していたが、午前の貴族としてのマナー教育などは怠ることなく、寝る間を惜しんで勉強してきた。しかし、数ヵ月前に捨てられていた十◯歳の幼く可愛らしい少女を第一王子が拾ってきてから、状況が変わっていく。何度も第一王子とのデートに付いてきた上に、時々世話を押し付けられることもあった。その子供はマナーがなっていないとマリアンヌは何度も叱ったのを覚えているが、いつの間にか第一王子とそういう関係になっていたのだ。きっと「マリアンヌ様に今日も虐められました、ぐすん」とかでも言っていたのだろう。
「あー腹へった」
王子の反感を買ったマリアンヌを貴族たちは誰も助けてくれず、手元にあったお金は食べ物や宿で使い果たしてしまった。仕事をしようと扉を叩くも、性格が悪いと評判で第一王子の反感を買った女性を雇う店はない。
「仕事を探してるのか?稼げる良い場所があるぜ」
良かったと安心して、少し怪しげな男に着いていくと、そこは娼館であると気づき、マリアンヌは追いかけてくる男を振り切り逃げた。
「もう行くとこなんてない・・・」
マリアンヌは派手な服装を好み、真っ赤なドレスを着ていた。しかしその服も黒ずみボロボロで綺麗に巻いていた髪の毛も鳥の巣のようにボサボサである。マリアンヌはふと、怪しげな店の前を通ると、男がマリアンヌに気づかずドンとぶつかった。
「いたっ・・・て、てめえ前みて歩きやがれ」
マリアンヌは尻餅をついた。ぶつかった分厚い眼鏡をかけている男は黒いマントを羽織り少し猫背だ。年寄りかと思ったがよく見ると十代と言える若い青年である。
(ん・・・どこかで見たことあるような)
「あ、ヤンデレ最年少魔法使い!!」
「・・・どこかで会ったことありましたか・・・?私のことを知ってるなんて」
彼は‘イケメンキャッスル’の登場人物で、ユーグという最年少魔法使いである。この国は魔法使いという職業があり、この国の創始者と言われる神の子供である王族や貴族、そして一部平民に魔力が宿っている。マリアンヌもその一人だが、魔法は使ったことは一度もない。一度妹に、分厚いメガネのダサい格好のガキが何でゲームの攻略キャラなのかと聞いたことがある。
「まあ色々あるんだよ~お姉ちゃんの好みに合わないかもだけど、結構彼も人気だよ?ちょっと危ないショタ系ドSで、ヒロイン陥れた悪役令嬢に「彼女を虐めていいのは僕だけだ」って言って彼、悪役令嬢殺しちゃうんだっけ」
「まじかよ・・・悪役令嬢も災難だな」
(悪役令嬢・・・つまり私が、殺される!?・・・うわ、やっべ!!逃げるぞ)
マリアンヌはその事を思いだし、彼から逃げようとバタバタとその通りを抜けた。
+
+
+
「はぁ、はぁ、はぁ・・・な、なんで」
マリアンヌは真っ直ぐ走り抜けているはずであるのにも関わらず何故かその店の前に戻ってきてしまう。そこには未だに少年が立っているのだ。
(・・・くそっ、なんでいつもここに戻ってくるんだ)
マリアンヌは逃げても逃げても同じ場所に戻ってきてしまう。まるで魔法に掛かった迷路に迷いこんだように・・・
(こ、殺されるのか!?)
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