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【改訂前】うるさい
歩く毬藻
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基本、ホームルームが終わるまで加奈川くんは寝ていて、かなり暇だしかなり不躾な視線や陰口が飛んできたりする。
ガラッ
「お前らー、席つけよー」
「「キャァァァァァァア!!」」
「抱いてーっ!」
「素敵ー!」
「かっこいいー!!」
このうるさい声にはやはり慣れず、毎度ビクビクと肩を揺らしてしまう。
「あー、うるさいうるさい。今日はまた、このクラスに転校生が来てる。」
クラスがまたざわつく。
「イケメン希望!」
「今度こそ美形でしょ」
「流石に根暗二人だったらウケるよな」
「いや萎えるわー」
時々僕の揶揄を含みつつまた勝手な要望をペラペラと並べたてる。
まぁ、"父さんの家族"なら美形なんじゃない?
「んじゃ花瀬入れー」
ガラッ
入ってきたそいつを見て全員がぎょっとした。
だって、毬藻だったから。
「毬藻…」
「王道転校生キターッ」
「えー、有り得なー」
「キモオタじゃん」
そんなやり取りを尻目に僕もその毬藻を眺め観察する。
顔が見えないからもしかして、変装?
ぐるぐるの牛乳瓶厚底眼鏡とモッサモッサの髪。名付けるなら『歩く毬藻』。
あんなの誰でもわかりそうなものだけど。
しかし、次の歩く毬藻の一言でクラス中が静まり返った。
「秋保!名前で呼べって言っただろ!!俺達友達なんだから!」
なんとも滅茶苦茶な論理である。
てか、先生の名前って秋保っていうんだ。
「あー、うっせーうっせー。俺達はただの担任と生徒。友達じゃねーの。あーゆーおーけー?」
「なんでそんなこと言うんだよ!今なら謝ったら許してやるよ!」
うわ…すっごい知り合いにもなりたくないタイプ。
なんて思いながら眉間に皺を寄せる。
僕は何食わぬ顔で視線を窓の外に向けた。
しかし、ここの学校の奴らはなんとも無責任に人を巻き込もうとしてくるもので、
「だぁーっ!うっせーなっ!!俺は夜霧しか名前で呼ばねーの!分かった!?」
いや、先生、分かった?じゃないから。
一気に僕にクラス中の視線と歩く毬藻の矛先が向かう。
「お前が夜霧っていうやつか!?なんでこんなやつ!こんなのより俺の方が可愛いだろ!」
僕は思わず憫笑を浮かべた。
うん、可愛い可愛い。
ペットにしたいんじゃないかな、多分。
他の奴らはこの発言にまた矛先が毬藻へと移った。
そして可哀想なものを見るような目で見つめている。
そんな中で僕は先生を睥睨して、また視線を窓の外に戻す。
木に小鳥がとまっているのが見える。
僕はペットにするならあれがいい。
「まだ夜霧のが可愛いな。てかお前毬藻だろ。」
…毬藻であることは否定は出来ないけど先生が言ったら駄目だろう。
すると今度は物凄い形相──雰囲気から何となくだが──で僕に近付いてきた。
はぁ、と小さく溜息をつく。
ガラッ
「お前らー、席つけよー」
「「キャァァァァァァア!!」」
「抱いてーっ!」
「素敵ー!」
「かっこいいー!!」
このうるさい声にはやはり慣れず、毎度ビクビクと肩を揺らしてしまう。
「あー、うるさいうるさい。今日はまた、このクラスに転校生が来てる。」
クラスがまたざわつく。
「イケメン希望!」
「今度こそ美形でしょ」
「流石に根暗二人だったらウケるよな」
「いや萎えるわー」
時々僕の揶揄を含みつつまた勝手な要望をペラペラと並べたてる。
まぁ、"父さんの家族"なら美形なんじゃない?
「んじゃ花瀬入れー」
ガラッ
入ってきたそいつを見て全員がぎょっとした。
だって、毬藻だったから。
「毬藻…」
「王道転校生キターッ」
「えー、有り得なー」
「キモオタじゃん」
そんなやり取りを尻目に僕もその毬藻を眺め観察する。
顔が見えないからもしかして、変装?
ぐるぐるの牛乳瓶厚底眼鏡とモッサモッサの髪。名付けるなら『歩く毬藻』。
あんなの誰でもわかりそうなものだけど。
しかし、次の歩く毬藻の一言でクラス中が静まり返った。
「秋保!名前で呼べって言っただろ!!俺達友達なんだから!」
なんとも滅茶苦茶な論理である。
てか、先生の名前って秋保っていうんだ。
「あー、うっせーうっせー。俺達はただの担任と生徒。友達じゃねーの。あーゆーおーけー?」
「なんでそんなこと言うんだよ!今なら謝ったら許してやるよ!」
うわ…すっごい知り合いにもなりたくないタイプ。
なんて思いながら眉間に皺を寄せる。
僕は何食わぬ顔で視線を窓の外に向けた。
しかし、ここの学校の奴らはなんとも無責任に人を巻き込もうとしてくるもので、
「だぁーっ!うっせーなっ!!俺は夜霧しか名前で呼ばねーの!分かった!?」
いや、先生、分かった?じゃないから。
一気に僕にクラス中の視線と歩く毬藻の矛先が向かう。
「お前が夜霧っていうやつか!?なんでこんなやつ!こんなのより俺の方が可愛いだろ!」
僕は思わず憫笑を浮かべた。
うん、可愛い可愛い。
ペットにしたいんじゃないかな、多分。
他の奴らはこの発言にまた矛先が毬藻へと移った。
そして可哀想なものを見るような目で見つめている。
そんな中で僕は先生を睥睨して、また視線を窓の外に戻す。
木に小鳥がとまっているのが見える。
僕はペットにするならあれがいい。
「まだ夜霧のが可愛いな。てかお前毬藻だろ。」
…毬藻であることは否定は出来ないけど先生が言ったら駄目だろう。
すると今度は物凄い形相──雰囲気から何となくだが──で僕に近付いてきた。
はぁ、と小さく溜息をつく。
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