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ハイリスク・ハイリターンでも結構でしてよ
ハイリスク・ハイリターンでも結構ですわ
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わたしは宛てがわれた部屋のソファに座っていた。ため息しか出なかった。
あんなに憧れていた上流階級の貴族の屋敷。そして豪華な自室、美味しい食事が働かなくても出てくる。
事情が事情だけに気を使った公爵は無理にあれこれと言わない。優しい人だ。平民相手、命令すればいいものを。無理やりに罵り動かせば良いものを。そうではなくこちらの気持ちも慮ってくれるからこそ良い領主と領民にも慕われているんだろう。
もう、7日。
最初のような大きな衝撃が心押さえつけることは無かった。段々冷静さも取り戻す。今あるのは自分の選択ミスに対するガッカリ感と、今までこなしてきていた仕事をしなくて良くなってしまった事でおきる虚無感。
みんな仕事面倒くさいっていってたのに。
年に一度開催される長者くじをあてて仕事をやめて一生遊んで暮らすんだというものも多かったのに。
仕事がしたいわ。わたし、本当に仕事が好きだったのね…
仕事…か
またため息。
人生にはいくつかの後戻りのできない大きな分岐点があるらしい。どう進むかは自己責任よ。
ああ、でも神様こんな極端な結果ってあるかしら。
ため息。
正直、飽きてきた。
同じことを考えて悲観していることに。
馬鹿じゃないのわたし。これじゃ何も始まらない。
わたしが選んでしまったことなら。もう進むしかないじゃない。悪役が不適正だったら追い出されてセーフかも?ああ、だめね。口封じという制裁の方が確実に私を殺すわ。
温情が得られるようあらゆる温情に手を尽くすと言ってくれたじゃない。公爵の様子を見ればそれが上辺の事ではなくおそらく本当に手を尽くしてくれるのだろうと…信じられそうな雰囲気はある。ゼロじゃない。
立ち上がる。
部屋を見回す。入口とは違う角度に扉が見える。たしか案内してくれたメイドが言っていた。
私の部屋はリビングと寝室とクローゼットに別れていると。あの先はクローゼット。
扉を開ければ出来合いのものだと言っていたが既に私のサイズに合いそうなドレスがいくつか。たくさんのはこの中には靴や帽子が入っているのだろう。
悪役ってどんなドレスを着るかしら。
そうね、私のこの黒髪もつり目な顔も悪役と見た目からはいるのにはピッタリね。
ふふっと笑いが盛れた。
温情を得るにしたってそれだけしっかり働いたと公爵が認めなければ手を尽くすに足りぬ者だったと、切り捨てられるだけだろう。
逃げたって口封じに追われるだけ。
いいじゃない、やってやろうじゃない。
自分の命を守るために徹底的に「仕事」をこなすわ。
婚約者候補の引き立て役の悪役。
それでも普通の仕事をしていたら平民のままで終わっていた人生が、公爵家令嬢よ。
公爵家って何をするのかしら。貴族は私たち平民の見えないところで実際何をしているのかしら。普通なら手に入らないカッコイイドレスを着て、いつか宿に来た貴婦人の胸を飾っていた虹色の光を放つような大きなダイヤのネックレスを身につけて。
短くなってしまうかもしれない人生だけど、精一杯華やかに生きてやろうじゃない。
死ぬのは怖いわ。それも処刑だなんて。でも何か回避出来る方法が見つかれば。それを見つけることも生きてる感じしていいじゃない。
自分を奮い立たせるための虚勢だったのかもしれない。きっと今の私は父の死を誇りに思うと言った母とおなじ顔をしているわね。
でも、何もしないのはもったいないわ。
ハイリスク・ハイリターン。結構よ。
母は言った。あなたには幸せに生きて欲しいわと。幸せってなにかしら。
同じ日々を繰り返し人生を全うすることかしら。お金ちになることかしら。
お金もちには、なった。幸せなんじゃない?ただハイリスクなオプションが付いただけよ。
ああ、何を言っても自己肯定の言い訳!!
パンパン、と両手で頬をはたく。そしてクローゼットのドレスを漁った。
フリルがたくさんの流行りの可愛いドレスも多かった。それより、そうね。わたしにはレースが似合う。
淡い色よりは濃いめの色を。可愛いよりは綺麗を。差し色、手袋や小物には黒をアクセントにして。
かっこいいじゃない、わたし。
あんなに憧れていた上流階級の貴族の屋敷。そして豪華な自室、美味しい食事が働かなくても出てくる。
事情が事情だけに気を使った公爵は無理にあれこれと言わない。優しい人だ。平民相手、命令すればいいものを。無理やりに罵り動かせば良いものを。そうではなくこちらの気持ちも慮ってくれるからこそ良い領主と領民にも慕われているんだろう。
もう、7日。
最初のような大きな衝撃が心押さえつけることは無かった。段々冷静さも取り戻す。今あるのは自分の選択ミスに対するガッカリ感と、今までこなしてきていた仕事をしなくて良くなってしまった事でおきる虚無感。
みんな仕事面倒くさいっていってたのに。
年に一度開催される長者くじをあてて仕事をやめて一生遊んで暮らすんだというものも多かったのに。
仕事がしたいわ。わたし、本当に仕事が好きだったのね…
仕事…か
またため息。
人生にはいくつかの後戻りのできない大きな分岐点があるらしい。どう進むかは自己責任よ。
ああ、でも神様こんな極端な結果ってあるかしら。
ため息。
正直、飽きてきた。
同じことを考えて悲観していることに。
馬鹿じゃないのわたし。これじゃ何も始まらない。
わたしが選んでしまったことなら。もう進むしかないじゃない。悪役が不適正だったら追い出されてセーフかも?ああ、だめね。口封じという制裁の方が確実に私を殺すわ。
温情が得られるようあらゆる温情に手を尽くすと言ってくれたじゃない。公爵の様子を見ればそれが上辺の事ではなくおそらく本当に手を尽くしてくれるのだろうと…信じられそうな雰囲気はある。ゼロじゃない。
立ち上がる。
部屋を見回す。入口とは違う角度に扉が見える。たしか案内してくれたメイドが言っていた。
私の部屋はリビングと寝室とクローゼットに別れていると。あの先はクローゼット。
扉を開ければ出来合いのものだと言っていたが既に私のサイズに合いそうなドレスがいくつか。たくさんのはこの中には靴や帽子が入っているのだろう。
悪役ってどんなドレスを着るかしら。
そうね、私のこの黒髪もつり目な顔も悪役と見た目からはいるのにはピッタリね。
ふふっと笑いが盛れた。
温情を得るにしたってそれだけしっかり働いたと公爵が認めなければ手を尽くすに足りぬ者だったと、切り捨てられるだけだろう。
逃げたって口封じに追われるだけ。
いいじゃない、やってやろうじゃない。
自分の命を守るために徹底的に「仕事」をこなすわ。
婚約者候補の引き立て役の悪役。
それでも普通の仕事をしていたら平民のままで終わっていた人生が、公爵家令嬢よ。
公爵家って何をするのかしら。貴族は私たち平民の見えないところで実際何をしているのかしら。普通なら手に入らないカッコイイドレスを着て、いつか宿に来た貴婦人の胸を飾っていた虹色の光を放つような大きなダイヤのネックレスを身につけて。
短くなってしまうかもしれない人生だけど、精一杯華やかに生きてやろうじゃない。
死ぬのは怖いわ。それも処刑だなんて。でも何か回避出来る方法が見つかれば。それを見つけることも生きてる感じしていいじゃない。
自分を奮い立たせるための虚勢だったのかもしれない。きっと今の私は父の死を誇りに思うと言った母とおなじ顔をしているわね。
でも、何もしないのはもったいないわ。
ハイリスク・ハイリターン。結構よ。
母は言った。あなたには幸せに生きて欲しいわと。幸せってなにかしら。
同じ日々を繰り返し人生を全うすることかしら。お金ちになることかしら。
お金もちには、なった。幸せなんじゃない?ただハイリスクなオプションが付いただけよ。
ああ、何を言っても自己肯定の言い訳!!
パンパン、と両手で頬をはたく。そしてクローゼットのドレスを漁った。
フリルがたくさんの流行りの可愛いドレスも多かった。それより、そうね。わたしにはレースが似合う。
淡い色よりは濃いめの色を。可愛いよりは綺麗を。差し色、手袋や小物には黒をアクセントにして。
かっこいいじゃない、わたし。
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