『白い結婚のはずでしたが、夫の“愛”が黒い。 限界突破はお手柔らかに!』

夢窓(ゆめまど)

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タイロン惚れかける

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夫人を見送ったあと、
ジュディは応接の書類を整えながら、
いつもの「プロの仕事顔」に戻る。

背筋はまっすぐ。
視線は鋭く。
動作は無駄がない。

タイロンは横から固まって見つめてしまう。

(……すげぇ……
 なんでこんなに上位貴族に信頼されてるんだ……
 ほんと、かっこいい……)

ジュディはペンを走らせながら言う。

「さて……ジェイコブくんの教材を準備しないとね。
 タイロン、書棚の第二段、あ、その本と、隣の本取ってくれる?」

名前を呼ばれただけで、
タイロンの胸がドクンと跳ねる。

(やばい……これ……嫌じゃない……
 どころか……)

惚れかけているのを自覚し、
タイロンは目をそらした。


ジェイコブ(13歳)登場

午後の別宅。
執事が丁寧に案内してくる。

執事「ジュディ様、ジェイコブ様がお越しです」

入ってきた少年は姿勢正しく、整った制服姿。
外務大臣の息子らしい気品。
目は聡明で、礼儀正しい。

ジェイコブ「本日よりよろしくお願いします、ジュディ先生」

ジュディ「あら、ジェイコブ。背が伸びたわね」

タイロン(……知り合いだったのか?)

ジェイコブは、流暢な三カ国語で挨拶してみせる。

ジェイコブ
「ジュディ先生、本日はよろしく。
 エルダ・ミラ(帝国語:こんにちは)
 アシェル・ノヴァ(商会語:お目に掛かれて光栄です)
 ルシェン(辺境語:ありがとう)」

タイロン(……え、13歳でこれ……?)

ジュディは涼しい顔で頷く。

「挨拶の語彙だけ増えても意味はないわ。
 本質は文法と用法よ。
 さあ始めましょう」

ジェイコブ(……やっぱり先生、こわい!!)



タイロン「(すげぇ……これが13歳……?)」


ジュディは目を細めて、
にっこり笑った。

……その笑みが、ジェイコブとタイロンは一番怖いと知っている。



鬼教師モードの気配

ジュディ「じゃあ……始めましょうか」

ジェイコブ「……っ(怖い……!!)」

タイロン(なんで俺も震えてんだ……?)



授業開始:静寂が支配する

ジュディは淡々と本を開き、
一切の無駄なく授業を進める。

「ジェイコブ、この文章の構造は?」

「え、えっと……従属節が——」

「違うわね。そこを“推量”で読むのは初歩以前よ」

「っ、はい……申し訳ありません」

ジュディの声は淡々としているのに、
部屋の空気がピシッと締まる。

タイロンは後ろで見ていて心臓が跳ねる。

(……いつものジュディと全然違う……
 これが、外務大臣夫人が頼みに来る“本物の実力”……?
 びびる……けど……なんか……すげぇ……)



ジェイコブ、汗だく

ジュディ「次。ここを“他言語で説明”しなさい」

ジェイコブ「っ……はい……」
(先生、容赦ない……)

「う……あ……こういう仕様は……“外交文書の中間言語”として扱われ、
 適切には……」

ジュディ「息継ぎは後でいいわ。続けて」

タイロン(こ、こえぇ……!!!)

でも——
その冷静さと明晰さが、
タイロンの胸に強烈に刺さる。

(……かっこよすぎだろ……
 俺、こんな人と……結婚してるのか……?)



鬼教師のとどめ

ジュディは最後の問題を投げた。

「では、この三行を——“外交官向けの丁寧語”で書き直しなさい。
 期限は……三分」

ジェイコブ「さ、三分!?」

ジュディ「あなたならできるでしょう?」

ジェイコブ(くっ……!
 やっぱり先生は鬼……!!
 でも……これが本物の教育……!!)

タイロンは後ろで思わず息を呑んだ。

ジュディの真っ直ぐな眼差し。
迷いのない指示。
緊張感に満ちた空気。

(……強い……
 この“仕事の顔”、ずるい……
 惚れる……ほんとに……)



三分後

ジェイコブ「……で、できました……」

ジュディは紙を手に取り、
わずか三秒で読み終えた。

「……よくできてるわ」

ジェイコブ「っ!!」

その一言で、ジェイコブは目を輝かせた。

タイロンも裏で胸が熱くなる。

(……褒めるときだけ優しい……
 ギャップ……えぐい……
 俺、これ以上見たら、本当に惚れる……)



授業後:タイロンの理性崩壊寸前

授業が終わり、ジェイコブが頭を下げる。

「今日も……ありがとうございました!
 先生の授業は……緊張しますが、楽しいです!」

ジュディ「また次ね。復習してきなさい」

ジェイコブ「は、はい!!」

ジェイコブが帰り、
応接間に静けさが戻る。

タイロンは思わず声をあげた。

「……ジュディ、
 お前……本気出すと、あんなにすごいのか……?」

ジュディ「何を言ってるの?
 普通よ」

普通……?
普通……??

(いや普通じゃねぇよ!!!
 泣く子も黙る鬼教師だったぞ!?
 かっこよすぎだろ……!)

タイロンは耳まで真っ赤になり、
ただ小さな声でつぶやいた。

「……かっこいいな……」

ジュディ「え?何か言った?」

タイロン「な、なんでもない!!」


タイロン(……本気……
 ジュディが本気のときの顔……
 反則だろ……)

タイロンの心は、
もう崩壊寸前だった。





年末のバタバタで一日更新が空いてしまい、すみません。
現在は更新しておりますので、またよろしくお願いいたします。

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