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タイロン、王宮からの呼び出し
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サリー「奥様に褒められたくらいで、ニヤけないでください」
(朝から地獄のからかいタイム)
翌朝の厨房。
サリーは朝食の準備をしながら鼻歌交じり。
そこに、
妙に上機嫌なタイロンが入ってきた。
タイロン
「おはよう、サリー。今日も早いな」
サリー
「おはようございます、旦那さま」
……と言いつつ、サリーは眉をひそめる。
サリー
(え……?なんか……この人……めっちゃ機嫌いい……?)
タイロンは鍋を覗いたり、皿を手伝おうとしたり、
やたら動きが軽い。
サリー
(昨日、男爵になったから?
いや……違う。
これは……もっと個人的な……)
そして思い至る。
サリー
(まさか……奥様に褒められたせい……?)
タイロンはにっっこりしている。
ほんとに、にっこり。
普段は仏頂面なのに。
サリー
「……旦那さま」
タイロン
「ん?」
サリー、包丁を置き、真顔で言う。
◆サリーの鋭すぎる一撃
サリー
「——奥様に“少しだけ立派だった”と言われたくらいで、
そんなにニヤけないでください」
タイロン
「っ!!!???」
手にしていた皿を落としそうになる。
タイロン
「に、に、ニヤけてなど……!」
サリー
「にっこにこですよ。
さっきなんか、鏡を見つめながら微笑んでました」
タイロン
「ち、違う!これはその……男爵としての責任を——」
サリー
「はいはい。責任が嬉しくてにっこり、ねぇ……?」
タイロン
「………………っ!」
サリー
「言っておきますけど、奥様は“少しだけ”って言っただけです。
“とても”でも“すごく”でもありません」
タイロン
「そんなことはわかってる!!」
サリー
「……でも嬉しかったんですね?」
タイロン
「ッッッ!!」
サリーに背を向けて顔を覆うタイロン。
サリーは勝ち誇ったように微笑む。
◆さらに追い討ち(追撃必須)
サリー
「あ、奥様が来られましたよ~」
タイロン
「っ!?!?!?」
急に姿勢を正し、
パンをちぎるふりなどし始める。
サリー
(……バレバレ)
ジュディが入ってくる。
ジュディ
「おはよう。サリー、今日のスープは?」
サリー
「トマトと野菜のスープです。
——旦那さまが“朝から元気すぎて”助かってます」
タイロン
「サ、サリー!!!」
ジュディ
「元気なの?いいことじゃない」
タイロン
「い、いや、その……」
ジュディ
(昨日のこと、案外気にしてるのね)
少しだけ、唇がほころぶ。
サリー
(……奥様もまんざらじゃないな~)
そしてタイロン、真っ赤な顔で固まる。
王宮から「男爵タイロンへ」
至急仕事が届く
(外務大臣は本気、王はノリ、ジュディは大爆笑)
ある昼下がり。
別宅に、王宮の使者が到着した。
立派すぎる馬車に、サリーが驚いて声を上げる。
サリー
「だ、旦那さま……王宮の紋章馬車です……!」
タイロン
「……え?」
使者
「タイロン“男爵”殿。
外務大臣閣下より直々のお召しです」
タイロン
「(え……?俺、なったばかりの男爵なのに……?)」
ジュディ
(まさか……昨日の案件の続き?)
◆王宮・外務大臣室
外務大臣は机の上に山積みの文書を置いていた。
外務大臣
「来たか、タイロン男爵。
ちょうどいいところだった」
タイロン
「……急ぎの仕事ですか?」
外務大臣
「急ぎどころか、火を噴きそうな案件だ。
本当は侯爵級の文官に回したいのだが……」
(ちらりとタイロンを見る)
「——お前の字が、王宮で話題になっていてな」
タイロン
「じ……字?」
外務大臣
「文書整理が“美しすぎる”と噂になった。
これを見てみろ」
分厚い羊皮紙束を渡される。
タイロンがページをめくると、
翻弄されそうなほど複雑な外交書類。
タイロン
「(す、すごい量だ……)」
外務大臣
「侯爵家の仕事をやっていたなら、
これくらい朝飯前だろう?」
タイロン
「……まあ、多少は……」
外務大臣
「では頼む。
お前に任せたい」
タイロン
「は、はい……!」
そして、その後ろから声がした。
◆王、乱入(最悪のタイミング)
王
「ほお~~~。
そんなに使える奴なら……」
タイロン
「(うわ、王様……!)」
王
「わしも使いたいなぁ!」
外務大臣
「陛下、勝手に引き抜かないでください」
王、にこにこ。
王
「でも男爵は王宮に、不便じゃろ~?
王宮で仕事させるなら、伯爵くらいにポーンと上げても良いぞ?
どうだ? よろしくやるぞ?」
タイロン
「えええええええええ!?!?!?」
外務大臣
「陛下!爵位は“ポーン”と上げるものではありません!」
王
「え?そうか?
いやぁ便利そうだし?」
外務大臣
「便利そうで爵位を上げないでください!」
タイロンは椅子から転げ落ちそう。
◆そして帰宅──ジュディ、大爆笑
別宅。
タイロンは魂の抜けた顔で帰ってきた。
ジュディ
「お帰りなさい。外務大臣からのお仕事は?」
タイロン
「…………王が、俺を伯爵にするって言い出して……」
ジュディ
「……は?」
「…………」
「…………ぷっ」
ジュディ、
耐えきれずテーブルに突っ伏した。
ジュディ
「ふ、ふふっ……ッ……!
王様、軽すぎる……!!
“ポーン”て……ッ!
なんなのその雑な爵位上げ!!」
タイロン
「笑うな……!」
ジュディ
「ムリよ……っ、ムリ……!
男爵になって一晩で伯爵候補って……!
あなた、どこに向かってるの……!」
タイロン
「俺が聞きたい!!」
サリーも台所からこっそり見てて肩を震わせている。
サリー
(旦那さま、出世が早すぎる……)
ジュディは涙を拭いながら言った。
ジュディ
「——でも。
それだけ、あなたの実力が認められたってことよ」
タイロン
「…………」
ジュディ
「安心なさい。
伯爵にはならせないから」
タイロン
「えっ?」
ジュディ
「あなたが伯爵になったら、仕事増えて大変でしょう?
私が困るわ」
タイロン
「………………(嬉しいのか悲しいのかわからんッ!)」
ジュディの笑いに救われ、
タイロンは初仕事の書類束を見つめながら深く息をついた。
(朝から地獄のからかいタイム)
翌朝の厨房。
サリーは朝食の準備をしながら鼻歌交じり。
そこに、
妙に上機嫌なタイロンが入ってきた。
タイロン
「おはよう、サリー。今日も早いな」
サリー
「おはようございます、旦那さま」
……と言いつつ、サリーは眉をひそめる。
サリー
(え……?なんか……この人……めっちゃ機嫌いい……?)
タイロンは鍋を覗いたり、皿を手伝おうとしたり、
やたら動きが軽い。
サリー
(昨日、男爵になったから?
いや……違う。
これは……もっと個人的な……)
そして思い至る。
サリー
(まさか……奥様に褒められたせい……?)
タイロンはにっっこりしている。
ほんとに、にっこり。
普段は仏頂面なのに。
サリー
「……旦那さま」
タイロン
「ん?」
サリー、包丁を置き、真顔で言う。
◆サリーの鋭すぎる一撃
サリー
「——奥様に“少しだけ立派だった”と言われたくらいで、
そんなにニヤけないでください」
タイロン
「っ!!!???」
手にしていた皿を落としそうになる。
タイロン
「に、に、ニヤけてなど……!」
サリー
「にっこにこですよ。
さっきなんか、鏡を見つめながら微笑んでました」
タイロン
「ち、違う!これはその……男爵としての責任を——」
サリー
「はいはい。責任が嬉しくてにっこり、ねぇ……?」
タイロン
「………………っ!」
サリー
「言っておきますけど、奥様は“少しだけ”って言っただけです。
“とても”でも“すごく”でもありません」
タイロン
「そんなことはわかってる!!」
サリー
「……でも嬉しかったんですね?」
タイロン
「ッッッ!!」
サリーに背を向けて顔を覆うタイロン。
サリーは勝ち誇ったように微笑む。
◆さらに追い討ち(追撃必須)
サリー
「あ、奥様が来られましたよ~」
タイロン
「っ!?!?!?」
急に姿勢を正し、
パンをちぎるふりなどし始める。
サリー
(……バレバレ)
ジュディが入ってくる。
ジュディ
「おはよう。サリー、今日のスープは?」
サリー
「トマトと野菜のスープです。
——旦那さまが“朝から元気すぎて”助かってます」
タイロン
「サ、サリー!!!」
ジュディ
「元気なの?いいことじゃない」
タイロン
「い、いや、その……」
ジュディ
(昨日のこと、案外気にしてるのね)
少しだけ、唇がほころぶ。
サリー
(……奥様もまんざらじゃないな~)
そしてタイロン、真っ赤な顔で固まる。
王宮から「男爵タイロンへ」
至急仕事が届く
(外務大臣は本気、王はノリ、ジュディは大爆笑)
ある昼下がり。
別宅に、王宮の使者が到着した。
立派すぎる馬車に、サリーが驚いて声を上げる。
サリー
「だ、旦那さま……王宮の紋章馬車です……!」
タイロン
「……え?」
使者
「タイロン“男爵”殿。
外務大臣閣下より直々のお召しです」
タイロン
「(え……?俺、なったばかりの男爵なのに……?)」
ジュディ
(まさか……昨日の案件の続き?)
◆王宮・外務大臣室
外務大臣は机の上に山積みの文書を置いていた。
外務大臣
「来たか、タイロン男爵。
ちょうどいいところだった」
タイロン
「……急ぎの仕事ですか?」
外務大臣
「急ぎどころか、火を噴きそうな案件だ。
本当は侯爵級の文官に回したいのだが……」
(ちらりとタイロンを見る)
「——お前の字が、王宮で話題になっていてな」
タイロン
「じ……字?」
外務大臣
「文書整理が“美しすぎる”と噂になった。
これを見てみろ」
分厚い羊皮紙束を渡される。
タイロンがページをめくると、
翻弄されそうなほど複雑な外交書類。
タイロン
「(す、すごい量だ……)」
外務大臣
「侯爵家の仕事をやっていたなら、
これくらい朝飯前だろう?」
タイロン
「……まあ、多少は……」
外務大臣
「では頼む。
お前に任せたい」
タイロン
「は、はい……!」
そして、その後ろから声がした。
◆王、乱入(最悪のタイミング)
王
「ほお~~~。
そんなに使える奴なら……」
タイロン
「(うわ、王様……!)」
王
「わしも使いたいなぁ!」
外務大臣
「陛下、勝手に引き抜かないでください」
王、にこにこ。
王
「でも男爵は王宮に、不便じゃろ~?
王宮で仕事させるなら、伯爵くらいにポーンと上げても良いぞ?
どうだ? よろしくやるぞ?」
タイロン
「えええええええええ!?!?!?」
外務大臣
「陛下!爵位は“ポーン”と上げるものではありません!」
王
「え?そうか?
いやぁ便利そうだし?」
外務大臣
「便利そうで爵位を上げないでください!」
タイロンは椅子から転げ落ちそう。
◆そして帰宅──ジュディ、大爆笑
別宅。
タイロンは魂の抜けた顔で帰ってきた。
ジュディ
「お帰りなさい。外務大臣からのお仕事は?」
タイロン
「…………王が、俺を伯爵にするって言い出して……」
ジュディ
「……は?」
「…………」
「…………ぷっ」
ジュディ、
耐えきれずテーブルに突っ伏した。
ジュディ
「ふ、ふふっ……ッ……!
王様、軽すぎる……!!
“ポーン”て……ッ!
なんなのその雑な爵位上げ!!」
タイロン
「笑うな……!」
ジュディ
「ムリよ……っ、ムリ……!
男爵になって一晩で伯爵候補って……!
あなた、どこに向かってるの……!」
タイロン
「俺が聞きたい!!」
サリーも台所からこっそり見てて肩を震わせている。
サリー
(旦那さま、出世が早すぎる……)
ジュディは涙を拭いながら言った。
ジュディ
「——でも。
それだけ、あなたの実力が認められたってことよ」
タイロン
「…………」
ジュディ
「安心なさい。
伯爵にはならせないから」
タイロン
「えっ?」
ジュディ
「あなたが伯爵になったら、仕事増えて大変でしょう?
私が困るわ」
タイロン
「………………(嬉しいのか悲しいのかわからんッ!)」
ジュディの笑いに救われ、
タイロンは初仕事の書類束を見つめながら深く息をついた。
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