離婚したので、もう私のターンです ──介護も夫の浮気も置いてきました。

夢窓(ゆめまど)

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これで、さようなら!

翌日:芽衣の元に届く“報告書”

芽衣は仕事から帰り、
玄関で郵便を受け取った。

薄い白封筒。
送り主:探偵事務所。

中には、
ホテル前の“抱擁写真”が1枚だけ入っていた。

ズキッ──と何かが胸に刺さる。

けれど同時に、
不思議なほど静かに、
心が定まっていった。

芽衣

「……ありがとう。これで終われる」

──翌朝。

芽衣は事務所から届いた報告書を読み終えると、
深く息を吸った。

浮気は、事実。
それは揺らがない。

けれど──
「この相手が本命かどうか」
は、まだわからない。

それこそが、離婚や慰謝料で重要になる。

芽衣は探偵事務所へ電話をした。



◆ 探偵事務所・面談室

調査員は静かにうなずいた。

調査員

「継続関係かどうかは、
行動パターンから判断できます。
一日では断定しきれません。
追加調査をご希望ですか?」

芽衣
「はい。念のため、もう一日お願いします」

調査員
「承知しました。
また、別日、同じ時間帯から張り込みます」


二回目の調査 ―“本命かどうかの確認”

金曜日の夜。
芽衣は、夫のスマホの通知から、
“次のデート” の約束を見つけた。

《土曜日、19時。
 前に話してたフレンチ、予約取れたよ。》

芽衣は静かにスクショを撮り、
そのまま探偵へ送った。

芽衣

「土曜日、お願いします」
「相手は同じ女性かどうかの確認です」

調査員

「承りました。
デート日がわかっている調査は、一番正確に動けます」



◆ 土曜日 18:30 張り込み開始

探偵はレストランの正面ではなく、
少し離れたビル影から入口を監視する。

土曜夜の“特別な外食”は、本命関係の強い証拠。



◆ 18:48 対象者(夫)到着

夫がタクシーから降りる。
スーツではない。
少し頑張ったラフな“よそ行き”スタイル。

髪も整え、
香水がふわりと一瞬漂う。

調査員は連続無音シャッターで撮影。

(今日は本気のデートだな)



◆ 18:57 女性到着

女性は昨日の女とは違う──
前回ホテルに入った、あの本命らしい女性。

白いコート。
揺れるイヤリング。
丁寧に巻いたマフラー。

彼女が夫を見つけた瞬間、
ぱっと花のように笑った。

夫の顔もほどける。
二人は自然に手をつないだ。

決定的瞬間。

無音でシャッターが切られる。



◆ 19:02 フレンチレストラン入店

二人は予約していたらしく、
店員に名前を告げ──
小さく頭を下げながら入っていった。

入口のガラスに
二人の姿が一瞬だけくっきり映る。

調査員はその瞬間を正確に切り取る。

(同一女性。前回ホテルの女と一致)
(“継続関係”確定だ)



◆ 21:10 店から出る

レストランを出た二人は、
並んで歩きながら小さく肩を寄せた。

夫の手は自然に女性の腰へ。
女性も恥ずかしそうに寄り添う。

探偵は複数角度から撮影。

距離はある。
堂々とした恋人同士の距離。



◆ 21:20 分かれ際

女性は電車へ、
夫は反対方向へ歩く。

軽いキスとかは無いが、
十分に“交際関係”が証明されるレベル。

探偵は最後の1枚を撮り、
調査終了の無線を入れた。



◆ 翌日:報告書

芽衣の元に、
探偵からメールが届く。

《二回目の調査が完了しました。
 相手は前回と同一人物であると確認しました。
 よって、本件の調査は終了といたします。》

添付された写真の中には、
• レストラン前で笑顔の二人
• 手を繋いで入店する姿
• 並んで歩くカップルの後ろ姿

が、時刻入りで並んでいた。

芽衣はその写真をゆっくりと閉じた。

芽衣
「……ありがとう。
 これで、全部そろった」



なぜか――
二十年以上、夫婦として連れ添い、
それなりに仲良くやってきたはずなのに。

離婚となったとき、芽衣の心に未練はなかった。

それを聞いて、真希はあっさり言った。

「未練があったら、離婚なんて言えないよ。
 とことん愛想が尽きたから、
 ちゃんと“お別れ”ができるんだよ」

芽衣は、その言葉に静かにうなずいた。


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