『定年聖女ジェシカの第二の人生 〜冒険者はじめました〜』

夢窓(ゆめまど)

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裏道探索へ

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翌朝。
「この辺境から王都へ繋がる“裏道”があるって噂、聞いたわ」
私は地図を広げ、仲間たちを見回す。
「古い坑道が地下で繋がってるらしいの。でも危険も多いって」

「ふむ、爆発薬の出番だな!」
ハリスが得意げに瓶を振る。
「やめて! 坑道で爆発したら全員埋まるわよ!」

グラントが笑いながら斧を肩に担ぐ。
「いいじゃねぇか。やっと冒険っぽくなってきたな!」

エリオは昨夜の治療を思い出し、頬を赤らめながら小さく拳を握った。
「……僕も、やれるはずだ」



坑道の試練

坑道に足を踏み入れると、ひんやりとした空気とともに、魔物の気配が漂ってきた。
「出るぞ、岩トカゲだ!」
巨大な鱗のトカゲが地中から飛び出す。

「よし、エリオ、行け!」
私が声をかけると、彼は深呼吸し、杖を構えた。
「……フレイム・ランス!」

炎の槍が走り、トカゲの鱗を貫く。
昔なら暴発して自分が吹っ飛んでいたのに――今は違う。
「やった……! 成功した!」

「おおー! お父さんが本当に強い!」
ヨシュアがきらきらした目で叫ぶ。
「だーかーらー! 父さんじゃない!!」



ハリスの実験兵器

その横で、ハリスが小瓶を放り投げた。
「くらえ、“煙玉・改”!」

ボフッ! と煙が広がり、トカゲが動きを止める。
「すごい! 目潰しになった!」
「だろ!? 本当は“睡眠ガス”のつもりだったけど!」
「狙いと違うんかい!」

それでも結果オーライ。グラントがトカゲを仕留め、坑道は進めるようになった。



裏道の奥にて

さらに奥へ進むと、岩壁に刻まれた古い紋章が目に入った。
「これ……王家の封印よ」

ヨシュアが立ち止まり、真剣な目を向ける。
「やっぱり、この裏道は……僕の“家”に繋がってる」

不安そうに拳を握るヨシュアの背に、私はそっと手を置いた。
「大丈夫。どんな道でも、もう一人じゃないから」

仲間たちもそれぞれ頷き、坑道の奥へと進んでいった。

裏道の封印

坑道の最奥。
岩壁に巨大な扉があり、中央に王家の紋章が輝いていた。
扉はびくともせず、近づくと淡い光が弾き返してくる。

「……完全に封印されてるわね」
私は手をかざして眉をひそめた。
「聖女の力が必要だけど……私一人じゃ足りないかも」

「なら、俺の魔力を重ねてみる?」
エリオが杖を握りしめる。
「爆発しない……はずだ」
「はずって言うな!」

ハリスも瓶を取り出してにやり。
「封印解除補助液だ! 多分効く!」
「“多分”はいらない!」

でも、笑いながら、私の胸はあたたかかった。
(……誰も見捨てず、一緒に挑もうとしてくれる。それだけで十分だわ)



封印解除

私は光を紋章に流し込む。
「……浄化の祈り」

エリオの魔力がその流れを補強し、ハリスの怪しげな液体が輝きを増幅させる。
グラントとヨシュアが扉を押すと――

ゴゴゴゴ……
扉が重く開き始めた。

「……やった!」
ヨシュアの顔が輝く。



刺客の待ち伏せ

だが、その先に広がる空洞で待っていたのは――黒衣の刺客たち。
「やはりここに来たな、ヨシュア様」

「またお前らか……!」
ヨシュアが剣を抜き、睨みつける。

刺客の中で一際大柄な男が前に出る。
「我らの主の命は絶対だ。お前をここで討つ」

(……主? つまりヨシュアを狙ってるのは、やっぱり“兄の家”ね)

「させない!」
私は聖光を放ち、仲間たちが一斉に構えた。

エリオが震えながらも杖を掲げ、ハリスが瓶を何本も取り出し、グラントが斧を振り上げる。

そしてヨシュアは仲間を背に、真っ直ぐに剣を構えた。
「僕には守る人たちがいるんだ!」
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