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『マルグリット、父の愛をかみしめる。森暮らし、続行決定』
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焚き火のあたたかな灯りの中、
ロジェ公爵は一口だけワインを飲んで、そっとグラスを置いた。
「……さて。マルグリット、私はそろそろ戻る」
「え……」
マルグリットが不安そうに見上げる。
だが、父の瞳は優しかった。
「おまえが笑っている場所を、無理に引き剥がす理由はない。
ただ……願わくば、いつか戻ってきてくれる日があれば、それだけで充分だ」
「お父様……」
「その代わりだ」
ロジェ公爵は指を立てた。
「・週に一度は連絡を寄越すこと。
・寒さ対策は万全に。
・夜道は出歩くな。
・あと、化粧品が切れそうな時は黙っていないで言いなさい」
「……ふふっ、わかりました」
公爵は最後に、マロンとアデルに頭を下げた。
「娘を、しばらくお願いしたい。お礼に──」
そう言って差し出したのは、重たそうな木箱。
中身は──
「すっごい高級ワインだわこれ!」
「……しかも、このスイーツ、都で限定のやつ……!」
「……うち、なに屋になるのこれ」
マロンとマルグリットがどよめく中、アデルは真顔でうなずいた。
「受け取りました。責任もって面倒みます」
◆
翌日、森の小道を馬で去っていくロジェ公爵の背を見ながら──
マルグリットは、ふっと笑った。
「……なんだかんだ、私、ちゃんと愛されてたんだなぁ」
「めちゃくちゃ、愛されてますよー?」
「うらやましいわ……うちなんか“神の修行は自費でどうぞ”って送り出されたのに」
「わかる~。塔で祈っとけって言われたわたしもな!」
──森の同居生活は、今日もにぎやか。
こうしてまた、ひとつ小さな幸せが積み重なるのでした。
◆ マルグリットの森暮らし
森の暮らしは、ひとことで言うと――快適の極みだった。
王妃教育という名の、堅苦しい勉強漬けの日々。
礼儀作法に始まり、書類の読み書き、政治、外交、宮廷での振る舞い。
それを“王子を支えるために”と称して、王子のぶんまでやらされていたあの頃。
なのに当の王子は、社交パーティー三昧、狩りや芸術に夢中。
お飾りの王子の影で、裏方に徹しながら“良き妻”を演じる毎日だった。
――そんな日々から逃げ出して、今。
お化粧は、うっすら。
日焼け止めクリームをしっかり塗って、服はアッパッパ。
軽くて風通しのいい、簡易ワンピース。自分ひとりで着られるし、何より楽。
朝は畑に水をまき、昼は山菜や果実を摘みに出かける。
みんなで食事を作り、夜は焚き火を囲んでの酒盛り。
「……これ、夢じゃないよね?」
思わずつぶやいた言葉に、隣でジニーが笑う。
「夢じゃないよ。マルグリット、顔ゆるみすぎ~!」
「だって……こんなに楽しいなんて、知らなかったから……」
誰かに評価されるためじゃない。
誰かの役に立つためじゃない。
自分が笑って、自分の手で暮らして、自分で“今日もよくやった”って思える――
マルグリットは、人生で初めて、自分の幸せを実感していた。
◆ お日様、こんにちは。
「……はぁ~~、おひさまあったかい……」
土の匂いと草の香りに包まれて、マルグリットはごろりと地面に寝転んだ。
日陰じゃない。ちゃんと、陽の当たる場所で。
ぽかぽかと照りつける陽射しが、肌を包む。
かつての彼女なら絶対にしなかった行動だった。
だって――
「日焼けしたら、王妃失格ですよ?」
昔、王宮の教育係に言われたことがある。
肌が白くなければ、上品に見えない。
王妃になる者は、“野に咲く花”ではなく“飾られた花瓶のバラ”でなければならないと。
それ以来、外に出るときは日傘と手袋が必須だった。
太陽に触れることすら、許されなかった。
だけど、今のマルグリットは違う。
「……お日様って、気持ちいいんだ……」
手を伸ばして、まぶしい空にかざす。
爪の先まであたたかくて、じんわりとして、なんだか涙が出そうになった。
あの頃の“閉じ込められてた私”が見たら、びっくりするかな。
でも、言ってあげたい。
「ねえ、外の世界って、こんなにやさしいんだよ」
畑を耕して、草むらで昼寝して、焚き火を囲んで笑って。
顔に少しそばかすが浮いても、汗をかいても、
誰も文句を言わない。むしろ「今日も頑張ったね」と笑ってくれる。
「……これが、本当に生きてるってことなんだ」
マルグリットはそっと目を閉じた。
陽だまりの中で、心の奥まで、解放されていく。
◆ 泥まみれの再会
その日もマルグリットは、畑に水をやり、裏山のベリーを摘みに出かけていた。
草履に引っかかった枝で足を取られ、転んで、ちょっと泥だらけ。
「うーん、洗えば……落ちる、かな?」
そう思いながら、ふと視線を上げる。
森の小道――木漏れ日の中に、ひとりの男の姿があった。
背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと歩く、あの人。
「……お父様!?」
「マル……グリット……っ」
その瞬間、時間が止まった。
草まみれの娘と、堂々たる貴族の父。
どちらも、まったく予想していなかった姿で、再会した。
マルグリットの髪はぼさぼさ、ワンピースは泥跳ねだらけ。
顔は日焼けして、頬にはベリーの汁がちょん、とついている。
対する父――ロジェ公爵は、いつものように上品な礼装……ではなく、
「娘に会うためだけに来た」とわかる、質素な旅装束。
マルグリットは反射的に謝った。
「ご、ごめんなさいっ、こんな格好で……!」
「……バカを言うな。いい顔をしている」
ロジェ公爵は笑った。
その頬を伝うものに、気づかないふりをして。
だが、そこにさらに一人。
木陰から従者のバロンが現れた。
「……まったく、お嬢様は……」
肩をすくめながらも、優しい顔をしていた。
「少し、たくましくなられましたね。……よかった」
その笑顔に、マルグリットの胸がいっぱいになった。
お飾りじゃない自分。
泥だらけでも、生きて、笑って、誰かに“よかった”と言ってもらえる自分。
父の腕の中で、マルグリットはぽつりと呟いた。
「わたし、今、とても幸せです……」
ロジェ公爵は、娘の肩をしっかりと抱きながら答えた。
「――それが一番だ」
もう、何もいらなかった。
王冠も、称号も、宮殿も。
娘の笑顔が、すべてだった。
ロジェ公爵は一口だけワインを飲んで、そっとグラスを置いた。
「……さて。マルグリット、私はそろそろ戻る」
「え……」
マルグリットが不安そうに見上げる。
だが、父の瞳は優しかった。
「おまえが笑っている場所を、無理に引き剥がす理由はない。
ただ……願わくば、いつか戻ってきてくれる日があれば、それだけで充分だ」
「お父様……」
「その代わりだ」
ロジェ公爵は指を立てた。
「・週に一度は連絡を寄越すこと。
・寒さ対策は万全に。
・夜道は出歩くな。
・あと、化粧品が切れそうな時は黙っていないで言いなさい」
「……ふふっ、わかりました」
公爵は最後に、マロンとアデルに頭を下げた。
「娘を、しばらくお願いしたい。お礼に──」
そう言って差し出したのは、重たそうな木箱。
中身は──
「すっごい高級ワインだわこれ!」
「……しかも、このスイーツ、都で限定のやつ……!」
「……うち、なに屋になるのこれ」
マロンとマルグリットがどよめく中、アデルは真顔でうなずいた。
「受け取りました。責任もって面倒みます」
◆
翌日、森の小道を馬で去っていくロジェ公爵の背を見ながら──
マルグリットは、ふっと笑った。
「……なんだかんだ、私、ちゃんと愛されてたんだなぁ」
「めちゃくちゃ、愛されてますよー?」
「うらやましいわ……うちなんか“神の修行は自費でどうぞ”って送り出されたのに」
「わかる~。塔で祈っとけって言われたわたしもな!」
──森の同居生活は、今日もにぎやか。
こうしてまた、ひとつ小さな幸せが積み重なるのでした。
◆ マルグリットの森暮らし
森の暮らしは、ひとことで言うと――快適の極みだった。
王妃教育という名の、堅苦しい勉強漬けの日々。
礼儀作法に始まり、書類の読み書き、政治、外交、宮廷での振る舞い。
それを“王子を支えるために”と称して、王子のぶんまでやらされていたあの頃。
なのに当の王子は、社交パーティー三昧、狩りや芸術に夢中。
お飾りの王子の影で、裏方に徹しながら“良き妻”を演じる毎日だった。
――そんな日々から逃げ出して、今。
お化粧は、うっすら。
日焼け止めクリームをしっかり塗って、服はアッパッパ。
軽くて風通しのいい、簡易ワンピース。自分ひとりで着られるし、何より楽。
朝は畑に水をまき、昼は山菜や果実を摘みに出かける。
みんなで食事を作り、夜は焚き火を囲んでの酒盛り。
「……これ、夢じゃないよね?」
思わずつぶやいた言葉に、隣でジニーが笑う。
「夢じゃないよ。マルグリット、顔ゆるみすぎ~!」
「だって……こんなに楽しいなんて、知らなかったから……」
誰かに評価されるためじゃない。
誰かの役に立つためじゃない。
自分が笑って、自分の手で暮らして、自分で“今日もよくやった”って思える――
マルグリットは、人生で初めて、自分の幸せを実感していた。
◆ お日様、こんにちは。
「……はぁ~~、おひさまあったかい……」
土の匂いと草の香りに包まれて、マルグリットはごろりと地面に寝転んだ。
日陰じゃない。ちゃんと、陽の当たる場所で。
ぽかぽかと照りつける陽射しが、肌を包む。
かつての彼女なら絶対にしなかった行動だった。
だって――
「日焼けしたら、王妃失格ですよ?」
昔、王宮の教育係に言われたことがある。
肌が白くなければ、上品に見えない。
王妃になる者は、“野に咲く花”ではなく“飾られた花瓶のバラ”でなければならないと。
それ以来、外に出るときは日傘と手袋が必須だった。
太陽に触れることすら、許されなかった。
だけど、今のマルグリットは違う。
「……お日様って、気持ちいいんだ……」
手を伸ばして、まぶしい空にかざす。
爪の先まであたたかくて、じんわりとして、なんだか涙が出そうになった。
あの頃の“閉じ込められてた私”が見たら、びっくりするかな。
でも、言ってあげたい。
「ねえ、外の世界って、こんなにやさしいんだよ」
畑を耕して、草むらで昼寝して、焚き火を囲んで笑って。
顔に少しそばかすが浮いても、汗をかいても、
誰も文句を言わない。むしろ「今日も頑張ったね」と笑ってくれる。
「……これが、本当に生きてるってことなんだ」
マルグリットはそっと目を閉じた。
陽だまりの中で、心の奥まで、解放されていく。
◆ 泥まみれの再会
その日もマルグリットは、畑に水をやり、裏山のベリーを摘みに出かけていた。
草履に引っかかった枝で足を取られ、転んで、ちょっと泥だらけ。
「うーん、洗えば……落ちる、かな?」
そう思いながら、ふと視線を上げる。
森の小道――木漏れ日の中に、ひとりの男の姿があった。
背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと歩く、あの人。
「……お父様!?」
「マル……グリット……っ」
その瞬間、時間が止まった。
草まみれの娘と、堂々たる貴族の父。
どちらも、まったく予想していなかった姿で、再会した。
マルグリットの髪はぼさぼさ、ワンピースは泥跳ねだらけ。
顔は日焼けして、頬にはベリーの汁がちょん、とついている。
対する父――ロジェ公爵は、いつものように上品な礼装……ではなく、
「娘に会うためだけに来た」とわかる、質素な旅装束。
マルグリットは反射的に謝った。
「ご、ごめんなさいっ、こんな格好で……!」
「……バカを言うな。いい顔をしている」
ロジェ公爵は笑った。
その頬を伝うものに、気づかないふりをして。
だが、そこにさらに一人。
木陰から従者のバロンが現れた。
「……まったく、お嬢様は……」
肩をすくめながらも、優しい顔をしていた。
「少し、たくましくなられましたね。……よかった」
その笑顔に、マルグリットの胸がいっぱいになった。
お飾りじゃない自分。
泥だらけでも、生きて、笑って、誰かに“よかった”と言ってもらえる自分。
父の腕の中で、マルグリットはぽつりと呟いた。
「わたし、今、とても幸せです……」
ロジェ公爵は、娘の肩をしっかりと抱きながら答えた。
「――それが一番だ」
もう、何もいらなかった。
王冠も、称号も、宮殿も。
娘の笑顔が、すべてだった。
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