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「王宮の扉が開くとき――舞踏の誓い」
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「忘れ物は? 靴、ちゃんと持った?」
母の声にうなずき、私は胸元をそっと押さえた。
そこには、レオン様から贈られたダンス用の靴が、柔らかな袋に包まれている。
「ええ、大丈夫ですわ」
今日は、王宮での舞踏会。
私たちは、特別な“模範ダンス”のために招かれている。
ドレスは、レオン様とふたりで選んだもの。
情熱の赤と黒を基調にしたペアスタイル。
騎士団の正装と揃えて、華やかで、それでいて誇り高く。
髪には赤い薔薇の飾りをひとつ。
ドレスにあしらわれた薔薇のモチーフと合わせてある。
玄関の前で、兄が少し照れくさそうに言った。
「……なんか、すごいことになってきたな。アネット、誇らしいよ」
「ありがとう、お兄様。今日だけは、堂々としていられる気がしますの」
家族とともに馬車へと乗り込み、私は王宮を目指した。
今日の私は、ひとりじゃない。
隣には家族がいて、王宮では――
レオン様が、きっと待ってくれている。
そして、私たちは並んで、舞台に立つ。
このドレスは、あの人と“並ぶため”のもの。
誰に何と言われようと、今日だけは胸を張って踊る。
(見ていて、レオン様。わたくし、ちゃんと……あなたの隣に立てていますか?)
やがて馬車が王宮の門をくぐり、大広間の光が差し込んだ――。
王宮の舞踏会は、眩しいほどの光に包まれていた。
大理石の床にシャンデリアの光が映え、貴族たちの衣擦れの音が、やわらかな音楽に溶け込んでゆく。
「ようこそお越しくださいました、アネット様」
家族が王宮の侍従に案内されると、私たちは一人ずつ、王族のもとへ挨拶に進んだ。
母も兄も、少し緊張した面持ちで、けれど誇らしげに振る舞っている。
私は、緊張よりも別の何か――
これから始まる「ふたりの時間」への期待で、胸がいっぱいだった。
(レオン様……来てくれているかしら)
――そのときだった。
「アネット様」
ゆっくりと、けれど真っすぐにこちらへ歩いてくる青年。
軍装に身を包み、胸元に学院の記章を輝かせるその姿は、
ただの“騎士科の生徒”ではなかった。
「レオン様……!」
思わず、声が漏れてしまう。
視線が合った瞬間、彼の表情がやわらいだ。
「お待たせしました。とても……お似合いです、アネット様」
少し頬が熱くなるのを感じた。
「あなたも、素敵ですわ。ドレスと……ぴったりで、嬉しいです」
彼は一歩、私に近づいて手を差し出した。
「参りましょう。今夜は、あなたと踊るために来ましたから」
その手を取った瞬間、胸の中の不安がすっと消えていく。
私は、家族に軽く会釈をしてから、レオンとともにダンスホールへと向かった。
音楽が流れる。
観客の目が私たちに集まる。
あの日の地獄のレッスンも、もう怖くない。
――だって今は、彼の隣にいられるのだから。
母の声にうなずき、私は胸元をそっと押さえた。
そこには、レオン様から贈られたダンス用の靴が、柔らかな袋に包まれている。
「ええ、大丈夫ですわ」
今日は、王宮での舞踏会。
私たちは、特別な“模範ダンス”のために招かれている。
ドレスは、レオン様とふたりで選んだもの。
情熱の赤と黒を基調にしたペアスタイル。
騎士団の正装と揃えて、華やかで、それでいて誇り高く。
髪には赤い薔薇の飾りをひとつ。
ドレスにあしらわれた薔薇のモチーフと合わせてある。
玄関の前で、兄が少し照れくさそうに言った。
「……なんか、すごいことになってきたな。アネット、誇らしいよ」
「ありがとう、お兄様。今日だけは、堂々としていられる気がしますの」
家族とともに馬車へと乗り込み、私は王宮を目指した。
今日の私は、ひとりじゃない。
隣には家族がいて、王宮では――
レオン様が、きっと待ってくれている。
そして、私たちは並んで、舞台に立つ。
このドレスは、あの人と“並ぶため”のもの。
誰に何と言われようと、今日だけは胸を張って踊る。
(見ていて、レオン様。わたくし、ちゃんと……あなたの隣に立てていますか?)
やがて馬車が王宮の門をくぐり、大広間の光が差し込んだ――。
王宮の舞踏会は、眩しいほどの光に包まれていた。
大理石の床にシャンデリアの光が映え、貴族たちの衣擦れの音が、やわらかな音楽に溶け込んでゆく。
「ようこそお越しくださいました、アネット様」
家族が王宮の侍従に案内されると、私たちは一人ずつ、王族のもとへ挨拶に進んだ。
母も兄も、少し緊張した面持ちで、けれど誇らしげに振る舞っている。
私は、緊張よりも別の何か――
これから始まる「ふたりの時間」への期待で、胸がいっぱいだった。
(レオン様……来てくれているかしら)
――そのときだった。
「アネット様」
ゆっくりと、けれど真っすぐにこちらへ歩いてくる青年。
軍装に身を包み、胸元に学院の記章を輝かせるその姿は、
ただの“騎士科の生徒”ではなかった。
「レオン様……!」
思わず、声が漏れてしまう。
視線が合った瞬間、彼の表情がやわらいだ。
「お待たせしました。とても……お似合いです、アネット様」
少し頬が熱くなるのを感じた。
「あなたも、素敵ですわ。ドレスと……ぴったりで、嬉しいです」
彼は一歩、私に近づいて手を差し出した。
「参りましょう。今夜は、あなたと踊るために来ましたから」
その手を取った瞬間、胸の中の不安がすっと消えていく。
私は、家族に軽く会釈をしてから、レオンとともにダンスホールへと向かった。
音楽が流れる。
観客の目が私たちに集まる。
あの日の地獄のレッスンも、もう怖くない。
――だって今は、彼の隣にいられるのだから。
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