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Commentary
色の家庭2
しおりを挟むしばらく俺を引っ張ったままさっきまで寝ていたスペースに戻って来る。
色は「はー」と深いため息を零した。
「最悪。どうせ組絡みだろう」
苛立っているようだった。
「組って」
「鉛口組。俺の情報を仕入れるために、母さん達が情報を売っている、と思う」
「どんな家族だよ」
俺の家も似たようなところが無いでもなかったが、それにしても色の家族は異様だ。
腹の探り合いというか。家庭内でもスパイを探しているような有様というか。
「まぁ別に消費者金融とかじゃ、ないかも。最初は親戚の会社の付き合い……とかそういうのかな。でも頻度が変と言うか……子どものころから何かある度に『おじさんが聞きたいって』『おばさんが聞いてる』って
口実使われてきてて、薄々、企業案件みたいだと感じて居た」
「はぁ」
なんて聞いても困るよな、と色は困ったように笑う。
超能力者として、霊能者として色は常に観察されて育った。勿論その情報に群がる企業も数多く居た。
その手は既に家族や親戚にも及んでいたのだと、感情を込めずに彼は言う。
その姿は目を離すと今にも消えてしまいそうで、悲しくて、抱きしめたくなった。
けれど、船の中なのでしなかった。
「母さんはわかってないよ。事件の話しか出来ない、他の皆が出来る事が出来ないから、せめて事件の話を記録してるのに」
迷っている間に色もいじけたように背を向けて寝転がる。
――――母さんの判断なのかな。
おじさん(母さんの兄貴)がお前のにしろと言って来たのかも。
その会社が作った借金でも抱えてるからあの人たちがきょうだいで強請ってる?
暴力団の担保に差し出すなんてする筈ないじゃないか。
やっと距離を置いたんだ。
なんで そっちに利用しようとするんだよ。
皆が出来る事が当然のように出来る人達には選択肢が多いじゃないか。
「……そうだな」
誰にともなく呟く。
いくら危険だとか、暗そうだからとかそんな事言われても、人はそれぞれ適性があって出来る事しか出来ない。
親というのは不思議なもので、子は自分のクローンだとでも思っているのかそれが理解出来ない事がよくあった。
俺も、そう思う。
――――と、何か言いかけたと同時に橋引の声がした。
「あ、居た居た」
しばらくデッキに居たらしい、まつりと夏々都、そして橋引が戻って来る。
そして
『まもなく船が港に着く』と、アナウンスが聞こえた。
=====================
※ちなみに本当にスパイだとして、「お前はスパイなんだろ」という事には大いに意味があるのか? と思うかもしれないが、実は大いに意味がある。
何故ならこれが情報操作自体の目的ではなく、見たままの情報漏洩そのものだからだ。
指摘そのものが任務の失敗を意味する場合もあれば、工作員への指摘がそのまま監視しているボスに通じる事も多い。
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