309 / 349
KAISEN
被害者面
しおりを挟む◆◆
――使っちゃったものはしょうがないんだしいつまで被害者面をしてるんだろうね?
こっちだって悪かったー、
そっちも悪かったー、はい、おわりでしょ?
なのに、いつまでもグチグチとさぁ
被害者面してればいいと思ってそう
――貴方が、被害なんかなかった事にして無言を貫けばいいと思ってそうなのと同じですね。
被害も忘れてそう
――謝ったじゃん? ごめんね作品を出しました。
確認したらわかるのに。
――そんなの誰が観るんです?
自分なら揉めてる相手の仕事を助けたくなったり読む気します?
ましてや著書なんかわざわざ開きますか。
――は? 馬鹿か。するわけないだろ。何言ってんだよ
なんでわざわざ労力かけて聞いてやらないといけないのか。
一銭だって払いたくない。
――ですよね。
――いや、だからぁ、何か問題?
別の作家を立てて、その人に代わりに謝ってます。
――こういう濫用での被害者は、謝罪が目的じゃないんですよ。
被害者は、貴方に愛されたい訳でも、仲直りしたい訳でもありません。
――えぇ!?
そういう取り引きじゃないの?
だってさ、そんなんお互い様じゃない? 現状としちゃ
ぼくより下が居ると言えばぼくが励まされると思った奴が居て、ぼくを苛立たせたって話なんだから。
それで、相手も相手でムカついてたーって終わりじゃん。
――……、貴方、学校行ったことあります?
――?
――友達にからかわれたり、彼女に笑われたり
――彼女居ないからわかんなーい。
学校? まず、友達居ないしなぁ。
なんでそんなこと聞いたの?
――会社にずっと居れば良い貴方とは大半が、違う生活をしている
――――おっと。考えつきもしなかった。
人間って、ぼくかぼく以外でしかないから。ぼくが許さないものは存在しないんだよ
――能力は、アイデンティティです。それを漫画や小説として……それも、独善的な流行をさせて。
まだ未成年のデータもありました。
――だから?
――自我の未発達な頃から無意識に刷り込みされて居れば、精神的にも後遺症が残りやすい。
今回の事も、生活に支障の出たケースに適応されると思います。
――生活を保証しろとぉ!?
それもう我儘だよ。ぼくの担当じゃないよね?は?何処まで甘ったれてんだたかだか情報漏洩くらいでふざけんなよ。正直バレてないぶんはまだ使いたいんだこっちは。まだ片付いてないレポートもあるんだわ
――――ただそのまま間違いを認めることも出来ないのに、
よく言いますね。他責の前に、自分のすべきことすらしないじゃないですか。
――――誰に口を利いている!?
『使っちゃった、しょうがないもの』
社長の認識はこれだったな。
年末に向け、空いた時間で事務所の備品を片付けていると嫌な事を思い出した。
――――トクホの内部告発より少し前、社長ともめた事。
彼は、子どもみたいな人。
むしろ、子どもにしか相手にして貰えないような、人。
自分は敬語を使わないのに、周りがそうするとやけに怒る人。
自分かそれ以外か。
誰かの存在をそんな風にしか見られず、理解の及ばない他人に対しては「自慢」「人格否定された」としか思えない底の浅さ。
見栄っ張りで、虚言癖。何故か、何もかも嘘で固めている。
所長にとって、社長の印象はそんなところである。
「大体、場違いなのは貴方だ。いつまでも他人に縋り付いて」
トクホの摘発で麻十寺海猫が逮捕された一方、その兄たる麻十寺社長もまた
情報漏洩やその斡旋に関わっていたとされている。
今頃は調査が入っている事だろうが……思い出すと、今も怒りに拳が震える。
――――被害者は、事件は、金になる。
彼にとって誰かの人生が『使っちゃったしょうがない物』でしかない事が、
もう終わった、とだんまりを決め込む姿が、鈴木折口たちと重なるからだろう。
「結局。あのような人から、自分軸を守る事がアイデンティティになる、
それが気に食わないから被害者面と言い続けるしかない。
互いにそれだけでしょうね」
使わないファイルを箱に戻しながら、誰にともなく独り言を呟く。
そうする事で苛立ちが紛れる気がした。
あの会見、取得した情報について幹部が
『もう組織に流してしまったんだから』と言っていたように、
一度保険として扱われた生体は、今後安全が保障されない可能性を抱えて生きなくてはならない。
それでも、事実の公表が進めば社会の目が変わって来る。
麻十寺が黙っていたところで、無かったことにしていたところで、
より一層、だからこそ
そうなってしまうというのは、もう仕方のない事なのだった。
0
あなたにおすすめの小説
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※この物語はフィクションです。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2025.12.14 285話のタイトルを「おみやげ何にする? Ⅲ」から変更しました。
■2025.11.29 294話のタイトルを「赤い川」から変更しました。
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とスタッフ達とBL営業をして腐女子や腐男子たまに普通のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ/Ⅱ
MITARASI_
BL
I
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
Ⅱ
高校を卒業し、同じ大学へ進学した陸と颯馬。
別々の学部に進みながらも支え合い、やがて同棲を始めた二人は、通学の疲れや家事の分担といった小さな現実に向き合いながら、少しずつ【これから】を形にしていく。
未来の旅行を計画し、バイトを始め、日常を重ねていく日々。
恋人として選び合った関係は、穏やかに、けれど確かに深まっていく。
そんな中、陸の前に思いがけない再会をする。
過去と現在が交差するその瞬間が、二人の日常に小さな影を落としていく。
不安も、すれ違いも、言葉にできない想いも抱えながら。
それでも陸と颯馬は、互いの手を離さずに進もうとする。
高校編のその先を描く大学生活編。
選び続けることの意味を問いかける、二人の新たな物語。
続編執筆中
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
「普通を探した彼の二年間の物語」
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる