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Zeigarnik syndrome
Zeigarnik syndrome
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──都会に来たばかりで、店とかよくわかんないし……
うろうろする少女。
校則に従い髪を切りなさいと言われたが、散髪をする店がわからない。
ぽっちゃりした四角いめがねの男性が声をかける。
──どうしました?
ああ、髪を。この辺店いっぱいありますからね。実は僕もヘアカットの店をやってて本当は予約しなきゃいけないんですけど、
──あ……えっと……
──校則で言われたんでしょ、前髪?後ろちょっと揃えるだけに学生でそんな高い金払うの大変だよなあ。
すぐ近くだから。行こう?
──自分で……
──大丈夫大丈夫、自分でやったら変な風になるから。
押しが強い男性に引きずられて、近くの店に向かっていく少女。
目が覚めたとき、なぜか彼女はベッドの上に居る。
───痛いよう
太い男の腕が、少女の太股を這っている。
──どこ……
男が笑う。
「────此処に居るのか? この町に……彼奴が。
あぁ、本当にわかんねえ、いろんなやつが居すぎる」
映像が見えるとき、自分は『何処』に居るのだろう。捜索途中でうっかり見てしまった『夢』になんだか舌打ちしたくなる。
.........
下に降りて廊下に出ると橋引が立っていた。
「あぁ──」
なんだ、無事か、と言おうとして、そのすぐ目の前にいる藍鶴色に目を向けた。
それから。
「元気か」
それから。
「菊さん……どうして!?」
「鶴が来ると聞いたから、な」
ばしん、と背中を藍鶴色の軽く叩きながら、菊さんはにやっと笑みを浮かべた。
事務所の先輩だがふらりと辞めてしまって、今までどこで何をやってるのかわからなかった。鶴というのは藍鶴色のことである。
「……ここ、いろんな回線が溢れてて、ちょっと大変だと思って」
藍鶴色は淡々と溢す。
「『久々に』呼んでみたんだ」
「…………なる、ほど」
「しかし、まさか、そっちの美人はわかるが、こんなホストと組んでいるとは……いやはや、鶴の好みは幅広いな」
「俺の場合は金髪なだけですよ!!?」
──橋引は、呪いに左右されないから、俺らが呪いを探してた間、周りに近付いて大まかなルートを絞ってくれていた。
──パーティー会場を見ていたけれど、注文する食事の伝票がそのまま何らかの記号になってる。一定のメニューが、集団に一定数ごとに注文されていた。恐らく夜にはなにか動くわね。
会話をしながらも、橋引と色が同時に言葉を送ってくる。その間でも表で菊さんが話を続けている。一見、ただの会話の光景にしか見えないだろう。
──わかった。ありがとう。
──そもそも、二人してどっか行ったからまたいちゃついてるんじゃないかと
──そんな暇無いよ!
「なんだ、そうなのか?」
菊さんが話を続ける。何に対するそうなのかか一瞬混乱しそうになったが、すぐに心を読んで思い出す。
「そうですよー! 俺そもそもああいうところ、いろんな感情が流れてきて苦手ですし」
めちゃくちゃ重たい感情に触れると、調子がしばらく狂ってしまうのだが、ああいう場所やカジノ辺りなんぞはそれはもう放送出来ないような感情が一気に流れてくる。病院などに渦巻くものも結構なもので、極力入院などはごめんだ。
──それって、ビールを頼むときとワインを頼むときで対応が違うってことか。
──恐らく。伊勢海老とかちょっとなんか珍しげなやつが混ざってたのも、たぶんなにかの記号だと思うわ。
確かに、ファミレスでドリンク頼んだら麻薬入ってたとかの話もあるし……
ただのパーティーに見せかけて既に参加者の振り分けが始まっている?
──一時的にはあの魚顔女の乱入はあったものの、周りに合わせてそれとなく過ごしておいたからたぶん、平気だと思うけれど。
──さすがはっしーは優秀だな
橋引と俺がそのことについて会話する間に、藍鶴色が菊さんを連れていく。
話があるらしい。
──下行くんなら、呪いのやつも宜しくな!
と一応言ってみたが、返事は無言だった。
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