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Oetling fleezing
Oetling fleezing
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ゆき、って、見たことある?
俺、こっちに配属で来るようになって初めて 積もる雪を見たんだけどさ。あぁ、お前も?
そーそー。港町って、塩気あるから。
でも、あの町の、半端に温い海際の雪、
独特で、たまに恋しくなるんだよな。
あの頃は、巨大な雪だるまとか、作るの憧れてたのに。
今はあのほとんど溶けた雪、見たくなる。
「こんなもの! こんな! ものばっかり! 描いてっ! あなたはっ! 思い出すから! やめろと!」
ビリ、ビリ、ビリ、ビリ。
雪が舞ってる。
「なぜ、わかってくれないの? 私はこんなにあなたが好きなのに、また、こんなの、描いてっ! 隠してっ!」
雪。
積もらない雪。
白。
「……………………」
俺が、なにを思って居たのか、わからないんだ。
「………………」
雪。
雪だったよ。
「なぜ、わかって、くれないの?」
俺は、おうむ返しした。
何もかもわかってるよ。何もかもわかってる。だから、わからない。何もかもわかってるのは、なぜ? 俺はなぜ、わかっていない。わからないんだ。お前にはわかるか?
「わかる? 私は、あなたが、好きなの」
わからないんだ。
だから、隠しておいたんだ。
わかる?
「あのときは、ごめんなさい。私はあなたが好きなだけなの、あれは忘れてね」
また増えちゃった、とごみ袋を抱えて彼女は悩ましげだ。
──わからない。
「雪、何度見ても、冬、だね」
わからない。わからないんだ。
「あら、冬が恋しいの? ウフフ、じゃ、また、あとで、代わりに何か、スケッチブックとか買ってきてあげる」
あの人、が部屋を出ていってから雪をかき集めて、小さな山を作った。
「ごめんな。また、見つかっちゃった」
寂しい。
小さな命が失われたような、喪失感。
大きな感情が奪われるような虚無感。
自分の壊すものを正義と疑わない、無慈悲で冷酷な偽善者。
「す、き?」
さみしい?
壁の向こう、隣の部屋で、あの人が俺を通報、している。
「ただいまー。あ!!またやってる!!」
やがて、部屋に再び訪れた彼女は、
大声をあげて、当然のように、
彼女が来るまでに机に置いていたノートを、破った。
「ふー……」
雪が舞う。
破るのに、声が必要なんだろうか。
ビリビリと引き裂いて安心したようにため息をつく。
「こういうのね、良くないから、触らせて貰います。私、あなたが好きなだけなのよ」
時間が失われたような、喪失感。
「もう、無いよね? 変なもの作ったりしてない? あのね、嫌われたくなかったらやめようね、こういうの」
世界が、失われるような、虚無感。
「ていうか、あなたも趣味とか作りなよー。こんな部屋にいたってなんにも面白くないでしょ? いい? 何もしちゃダメだよ?」
時間が失われたような、喪失感。
「ゆ……」世界が、失われるような、虚無感。
小さな命が失「き……」われたような、「雪」喪失感。
「み……」大きな感情が奪われるような虚無感。「ち……」自分の壊すものを「そ」正義と疑わない、「ら……」無慈悲で冷酷な偽善者。
「雪、きれい、だね」
雪。雪。雪。雪。雪。
白。白。白。白。白。冬。冬。冬。冬。
「ね、ね、雪、綺麗だね? 冬。雪だね? 思い出す?」
あの人、に報告する。
雪、破ってみる?
外に。
雪、思い出す?
すてる?
ねこ、すてる?
かみのうえが、いけない? ちがう。だって、なにもっていった。 代わり?いない。
「触らないで!」
ごみ袋を纏めていた彼女は、鬼のような形相で怒鳴った。
「いつも言ってるのに、わからない? 私に触らないで!」
ごみ袋から、笑顔の棒人間が透けて見える。
こうやって見るとなかなか結構可愛く描けた。
「すてるようなもの、ふやして、めいわく、ごめんなさい」
さみしい
いたい
こんなもの! こんな! ものばっかり! 描いてっ!
思い出すから! やめろと!
――なにを?
じぶんで、かんがえ、れる、よ。
みちでねこをみた。
こんかいの、おともだち、3時間。
会社の外に雪が降った日。
年甲斐も無く、昔のことを思い出した。
「おっはよー! ここにはもう慣れた?
花子さんが、ココアを入れたマグカップを両手で包みながら聞いてくる。
カーディガンに、柔らかそうなピンクのセーター。
女の子らしいというか、こんな寒々としたところでも華やかというか。
リアルが充実していそうな雰囲気を出しているけれど、彼女にも、いろいろとあったのかもしれないし、あっても俺にはどうにもならない。
「あー……おはようございます、まぁまぁですね」
「そっかぁ、えらい偉いねぇ。人手が少ないから、ただでさえ、優秀な新入り大歓迎だよー」
ふにゃ、と笑う先輩。すぐ後ろのデスクに寄りかかりながら、今日もさっむー、と呟いた。花子さんは何かとおしゃべりだ。
「……俺は」
優秀とか、なんとかはわからないけど、やれそうなことを片付けるだけだ。
「そういや、見た? あの、海外の、なんとかって貿易船。こっちに来日してるんだって。イベントやるらしいよ」
花子さんが窓を向きながら、ふとそんなことを言った。
「そうですか……船、好きなんですか」
「まぁまぁかなー。でも、カレー食べれるよ、あの、イカリングの! 行く?」
「ふふ」
なんだか、楽しそうな花子さんに、思わず笑みがこぼれる。
「仕事ありますし。でかいなら窓から見えないかな?」
「どだろうね? ってか、休みの日もこうして仕事しててさ。恋人とか居ないの?」
「……居ないですね」
「そっかぁ……あっ、貿易船来てるってことは、あの、前にテレビ出てたイケメン船長とか居るかなぁ! 菊ちゃん怒るかなぁ……」
「船動かすのに、イケメンとか関係ないでしょ」
「いやー、それでも、金髪だよ! 碧眼だよ! 背が高いんだよ! ゆうちゃんは、冷たそうーとか性格悪そうーとか言ってたけど、それが良いんだよー。
王子様みたいー!」
「えぇ、意味がわかりません……」
でも、俺ももうちょっと派手な見た目だったら、
きっと、誰も、寄り付かないのに。もっと尖った雰囲気でもあったら、
俺を普通のやつだと勘違いする人が、普通を求めてくる奴が居ないのに。
でも、なんだか、わざとらしく変革したりアクセサリーを増やす気にはならない。だってそんなことしても、虚しいから。
「色ちゃんは、その点、イケメンでも話しかけやすいよね」
「そうですか?」
もっと、冷たそうに見えたらよかったな。
変な意味の期待をされないくらいには。
性格悪そうでも何でもいい。
なんでもいいから、だから。
( ――お前は、冷たいのか?)
「あっ、いけない、遅れる!」
ぼーっと夢想していた彼女はふと、我に返った。
「もっと構ってあげたいんだけどぉ。私、今からまた出張だから、事務の方、よろしくねぇ、じゃ、また31日の会席で!」
「はい」
俺、こっちに配属で来るようになって初めて 積もる雪を見たんだけどさ。あぁ、お前も?
そーそー。港町って、塩気あるから。
でも、あの町の、半端に温い海際の雪、
独特で、たまに恋しくなるんだよな。
あの頃は、巨大な雪だるまとか、作るの憧れてたのに。
今はあのほとんど溶けた雪、見たくなる。
「こんなもの! こんな! ものばっかり! 描いてっ! あなたはっ! 思い出すから! やめろと!」
ビリ、ビリ、ビリ、ビリ。
雪が舞ってる。
「なぜ、わかってくれないの? 私はこんなにあなたが好きなのに、また、こんなの、描いてっ! 隠してっ!」
雪。
積もらない雪。
白。
「……………………」
俺が、なにを思って居たのか、わからないんだ。
「………………」
雪。
雪だったよ。
「なぜ、わかって、くれないの?」
俺は、おうむ返しした。
何もかもわかってるよ。何もかもわかってる。だから、わからない。何もかもわかってるのは、なぜ? 俺はなぜ、わかっていない。わからないんだ。お前にはわかるか?
「わかる? 私は、あなたが、好きなの」
わからないんだ。
だから、隠しておいたんだ。
わかる?
「あのときは、ごめんなさい。私はあなたが好きなだけなの、あれは忘れてね」
また増えちゃった、とごみ袋を抱えて彼女は悩ましげだ。
──わからない。
「雪、何度見ても、冬、だね」
わからない。わからないんだ。
「あら、冬が恋しいの? ウフフ、じゃ、また、あとで、代わりに何か、スケッチブックとか買ってきてあげる」
あの人、が部屋を出ていってから雪をかき集めて、小さな山を作った。
「ごめんな。また、見つかっちゃった」
寂しい。
小さな命が失われたような、喪失感。
大きな感情が奪われるような虚無感。
自分の壊すものを正義と疑わない、無慈悲で冷酷な偽善者。
「す、き?」
さみしい?
壁の向こう、隣の部屋で、あの人が俺を通報、している。
「ただいまー。あ!!またやってる!!」
やがて、部屋に再び訪れた彼女は、
大声をあげて、当然のように、
彼女が来るまでに机に置いていたノートを、破った。
「ふー……」
雪が舞う。
破るのに、声が必要なんだろうか。
ビリビリと引き裂いて安心したようにため息をつく。
「こういうのね、良くないから、触らせて貰います。私、あなたが好きなだけなのよ」
時間が失われたような、喪失感。
「もう、無いよね? 変なもの作ったりしてない? あのね、嫌われたくなかったらやめようね、こういうの」
世界が、失われるような、虚無感。
「ていうか、あなたも趣味とか作りなよー。こんな部屋にいたってなんにも面白くないでしょ? いい? 何もしちゃダメだよ?」
時間が失われたような、喪失感。
「ゆ……」世界が、失われるような、虚無感。
小さな命が失「き……」われたような、「雪」喪失感。
「み……」大きな感情が奪われるような虚無感。「ち……」自分の壊すものを「そ」正義と疑わない、「ら……」無慈悲で冷酷な偽善者。
「雪、きれい、だね」
雪。雪。雪。雪。雪。
白。白。白。白。白。冬。冬。冬。冬。
「ね、ね、雪、綺麗だね? 冬。雪だね? 思い出す?」
あの人、に報告する。
雪、破ってみる?
外に。
雪、思い出す?
すてる?
ねこ、すてる?
かみのうえが、いけない? ちがう。だって、なにもっていった。 代わり?いない。
「触らないで!」
ごみ袋を纏めていた彼女は、鬼のような形相で怒鳴った。
「いつも言ってるのに、わからない? 私に触らないで!」
ごみ袋から、笑顔の棒人間が透けて見える。
こうやって見るとなかなか結構可愛く描けた。
「すてるようなもの、ふやして、めいわく、ごめんなさい」
さみしい
いたい
こんなもの! こんな! ものばっかり! 描いてっ!
思い出すから! やめろと!
――なにを?
じぶんで、かんがえ、れる、よ。
みちでねこをみた。
こんかいの、おともだち、3時間。
会社の外に雪が降った日。
年甲斐も無く、昔のことを思い出した。
「おっはよー! ここにはもう慣れた?
花子さんが、ココアを入れたマグカップを両手で包みながら聞いてくる。
カーディガンに、柔らかそうなピンクのセーター。
女の子らしいというか、こんな寒々としたところでも華やかというか。
リアルが充実していそうな雰囲気を出しているけれど、彼女にも、いろいろとあったのかもしれないし、あっても俺にはどうにもならない。
「あー……おはようございます、まぁまぁですね」
「そっかぁ、えらい偉いねぇ。人手が少ないから、ただでさえ、優秀な新入り大歓迎だよー」
ふにゃ、と笑う先輩。すぐ後ろのデスクに寄りかかりながら、今日もさっむー、と呟いた。花子さんは何かとおしゃべりだ。
「……俺は」
優秀とか、なんとかはわからないけど、やれそうなことを片付けるだけだ。
「そういや、見た? あの、海外の、なんとかって貿易船。こっちに来日してるんだって。イベントやるらしいよ」
花子さんが窓を向きながら、ふとそんなことを言った。
「そうですか……船、好きなんですか」
「まぁまぁかなー。でも、カレー食べれるよ、あの、イカリングの! 行く?」
「ふふ」
なんだか、楽しそうな花子さんに、思わず笑みがこぼれる。
「仕事ありますし。でかいなら窓から見えないかな?」
「どだろうね? ってか、休みの日もこうして仕事しててさ。恋人とか居ないの?」
「……居ないですね」
「そっかぁ……あっ、貿易船来てるってことは、あの、前にテレビ出てたイケメン船長とか居るかなぁ! 菊ちゃん怒るかなぁ……」
「船動かすのに、イケメンとか関係ないでしょ」
「いやー、それでも、金髪だよ! 碧眼だよ! 背が高いんだよ! ゆうちゃんは、冷たそうーとか性格悪そうーとか言ってたけど、それが良いんだよー。
王子様みたいー!」
「えぇ、意味がわかりません……」
でも、俺ももうちょっと派手な見た目だったら、
きっと、誰も、寄り付かないのに。もっと尖った雰囲気でもあったら、
俺を普通のやつだと勘違いする人が、普通を求めてくる奴が居ないのに。
でも、なんだか、わざとらしく変革したりアクセサリーを増やす気にはならない。だってそんなことしても、虚しいから。
「色ちゃんは、その点、イケメンでも話しかけやすいよね」
「そうですか?」
もっと、冷たそうに見えたらよかったな。
変な意味の期待をされないくらいには。
性格悪そうでも何でもいい。
なんでもいいから、だから。
( ――お前は、冷たいのか?)
「あっ、いけない、遅れる!」
ぼーっと夢想していた彼女はふと、我に返った。
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「はい」
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