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Messiah complex
配合
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すっかり周囲が暗くなっている。
帰り道を歩きながら、俺はふと、ある事を思い出していた。
ヒガンバナは身体を溶かすのではなかったのだろうか?
俺の問いに対して、色は『配合による』と言った。
「ああいうヒガンバナ単独では、一度体組織が死んでいるから、別の存在なんだよ」
「はぁ……」
「これだけでも幻聴は聞こえると思うけど」
という事は、細胞をどうにかする何かがもういくつか存在するのか。
ん? あれ。でもヒガンバナって。なんだかこんがらがってきた。
色は何も言わない。
相変わらずだな、と思いかけ……少しして、ある事に思い当たる。
特命公害、奇形児の研究。
カイセ・М
H.S.P細胞――――
胎児の核にある細胞に、ある薬品を投与して機能を増幅、急成長させ、人工的に臓器だけ、身体の一部分だけを生みだす研究の一端。
意識の無い奇形児を生み出し、それを例えば切り取って、移植に回す。
人そのものの業。倫理を問う研究が今も秘密裏に行われている。
(まさか……)
「どうかした?」
「いや……、確か、監視?盗聴って言ったけどさ。うちには茶葉なんて……」
俺は、咄嗟に別の疑問を話した。
色は首を横に振った。
「母が知ってるのは俺の住居と、事務所。盗聴は界瀬の家も、俺の家もだ」
成程……色の母親は俺の家や事務所の事を知る筈がない。
なのに母親が毎月送って来るお茶に何故か常にそれと関連があった。
盗聴と、母親、それぞれに思惑があると言っているのか。
「……、えと、でも待って。家とかあったのか?」
色は無表情で頷く。
……いや、まぁ、いいけど。
(俺にくらい教えてくれても良いのに)
かつて、藍鶴色は言っていた。
『母は、いまや仕事も家事もしなくなり、テレビや本ばかり読みふけるようになった』
読んだまま、他のことを殆どしてない母親。
『その中の一冊が、俺の書いたものだ。本当に嫌だ』
幼い頃から自分の心すら自由に出来なかった色には、それさえも舐めるように見下ろし続ける母親たちが人生で一番グロテスクな存在に違いない。
奇異な目で見られ、親の人生の代替品のような目で見られながら、昔のようになってしまう。
だから何も教えていないのだ。それなのに、勝手に生活を壊されてしまった。
それと、しばらく何も言わないでいた菊さんがいつの間にか居なくなっている……
疑問がいっぱいあったが、色は帰りながら話す、とだけ答える。
「なんか、久々なのに、ぜんぜん久々に会った気がしないね」
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