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Messiah complex
予言
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「ピザの箱に。そんなものが何故?」
「……たぶん、敵対勢力から」
俺が淡々と呟くと、界瀬はそうなんだ、と小さく笑う。
とりあえず箱には毒とか盛られてないよな? と手を翳したりした。
「神がいなくなる、予言が終わる……ね。なんか、そうは思えないな」
どういう感情だったのか。界瀬はそのメモを透かしながら言う。
「色さん」
ピザをテーブルに置いていると、所長が、俺の方を向く。
「そろそろあの話をするべきなのでは」
「うーん、今日、なんか、話してばっかりだな」
少し迷ったが、まぁ今言っても今後でも変わらないかと俺は重たい口を開く。
「……あの会の後の事だけど」
「うん?」
「神と話そうと思った」
唐突に出た言葉。
界瀬が俺の方を向く。
俺の手を、彼に伸ばす。僅かに熱が伝わる。
「カルトの設立、そして一連のテロは元々、俺のせいで――――力を私的に利用しようとして始まった事だったからね。
本当は、預言なんてないのかもしれないと、思いたかったのは俺自身だ」
「未来が怖くて、幼い頃から何一つ、俺自身の心として扱って呼んでもらえなくて……だから何も感じないようにって、それだけで必死に何も考えずに過ごして来た」
「責任を取らなくちゃって、
毎日、毎日。事件の事だけを考えて、好きなものも嫌いなものも作らなかった」
「元々いつかは死ぬ事にしていたんだけど……、あの日、パーティーに参加して
研究の話を知って……
界瀬が、うらやましくなった」
「色……」
界瀬が悲痛な表情になる。
多分俺以上に。
「俺が居なくなったら、それで誰かの一部になれるなら、俺には見れなかった夢が見られるかもって、わくわくした。だから」
どんなふうに過ごしてきたか、彼のほうが知って居るのかもしれない。
「だけど、今日――――阻止された、と思った。
それも、あの仏壇の前で、一斉に騒ぎ出したんだ。俺の意志じゃなくて、あの場所自体が。
あの人達……別に人に依存しているんじゃないんだ。みんなで、何処でもいいから集まって、騒いで――――」
界瀬が珍しく、何も言わなかった。
怒るとか、取り乱すという事も無く、ただ静かに話を聞いていた。
「あんなに、やりたい放題なのを観て、気付いた。俺が見ているんじゃなくて、見せられていて、見守られていて――本当は」
界瀬が何か言った気がする。
抱き寄せられる。
視界が黒くなる。
「能力者って言うのは、そんな一部を伝える役目に過ぎない。だから、消えるとか消えないとかじゃなくて……」
言葉に詰まる。何か言いたいのに、なんだったのか急に分からなくなってくる。
「あぁ」
界瀬が何か言っている。相槌だろうか。
「俺達は、ずっと、俺達だ」
最初から、人がどうこう出来る問題じゃ無いって、どうして、忘れていたんだろう。
「うん」
俺が消えたって、何一つ変わらない。
あの人達は俺の中に居るんじゃない、何処からでも来る者。
何処にでもいて、気が付いたら居る。それだけなのだ。
背負わされる重圧の中で、そんな事すら分からなくなりかけていた。
「おかえり」
2025年5月17日9時22分
2025年5月17日9時22分
「……たぶん、敵対勢力から」
俺が淡々と呟くと、界瀬はそうなんだ、と小さく笑う。
とりあえず箱には毒とか盛られてないよな? と手を翳したりした。
「神がいなくなる、予言が終わる……ね。なんか、そうは思えないな」
どういう感情だったのか。界瀬はそのメモを透かしながら言う。
「色さん」
ピザをテーブルに置いていると、所長が、俺の方を向く。
「そろそろあの話をするべきなのでは」
「うーん、今日、なんか、話してばっかりだな」
少し迷ったが、まぁ今言っても今後でも変わらないかと俺は重たい口を開く。
「……あの会の後の事だけど」
「うん?」
「神と話そうと思った」
唐突に出た言葉。
界瀬が俺の方を向く。
俺の手を、彼に伸ばす。僅かに熱が伝わる。
「カルトの設立、そして一連のテロは元々、俺のせいで――――力を私的に利用しようとして始まった事だったからね。
本当は、預言なんてないのかもしれないと、思いたかったのは俺自身だ」
「未来が怖くて、幼い頃から何一つ、俺自身の心として扱って呼んでもらえなくて……だから何も感じないようにって、それだけで必死に何も考えずに過ごして来た」
「責任を取らなくちゃって、
毎日、毎日。事件の事だけを考えて、好きなものも嫌いなものも作らなかった」
「元々いつかは死ぬ事にしていたんだけど……、あの日、パーティーに参加して
研究の話を知って……
界瀬が、うらやましくなった」
「色……」
界瀬が悲痛な表情になる。
多分俺以上に。
「俺が居なくなったら、それで誰かの一部になれるなら、俺には見れなかった夢が見られるかもって、わくわくした。だから」
どんなふうに過ごしてきたか、彼のほうが知って居るのかもしれない。
「だけど、今日――――阻止された、と思った。
それも、あの仏壇の前で、一斉に騒ぎ出したんだ。俺の意志じゃなくて、あの場所自体が。
あの人達……別に人に依存しているんじゃないんだ。みんなで、何処でもいいから集まって、騒いで――――」
界瀬が珍しく、何も言わなかった。
怒るとか、取り乱すという事も無く、ただ静かに話を聞いていた。
「あんなに、やりたい放題なのを観て、気付いた。俺が見ているんじゃなくて、見せられていて、見守られていて――本当は」
界瀬が何か言った気がする。
抱き寄せられる。
視界が黒くなる。
「能力者って言うのは、そんな一部を伝える役目に過ぎない。だから、消えるとか消えないとかじゃなくて……」
言葉に詰まる。何か言いたいのに、なんだったのか急に分からなくなってくる。
「あぁ」
界瀬が何か言っている。相槌だろうか。
「俺達は、ずっと、俺達だ」
最初から、人がどうこう出来る問題じゃ無いって、どうして、忘れていたんだろう。
「うん」
俺が消えたって、何一つ変わらない。
あの人達は俺の中に居るんじゃない、何処からでも来る者。
何処にでもいて、気が付いたら居る。それだけなのだ。
背負わされる重圧の中で、そんな事すら分からなくなりかけていた。
「おかえり」
2025年5月17日9時22分
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