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Commentary
晶の傲慢
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・・・・
一言で言うのなら晶は傲慢な奴だった。
「どうして、俺には全力を出してくれないんだよっ!」
傲慢で、自信家で――――
「それならすぐに、霊視してみろよ。天才なんだろ!」
人の気持ちなど考えない。
「ほら、化け物らしく、早くしろよ。事件以外には出来ないってのか?」
それはそうで、晶の才能は俺達とは違って後天的で努力そのもの、技術のようなものだから。
だからその痛みなど理解するはずも無く……
好きな本が無いと言ったときに急に怒り出した「あの人」そっくりな、自分本位な考え。
自分に酔っている、天才なんだろ? 全力を出せ、そうやって人の痛みも知らずに、無神経な事を言って、
俺がどうして人前で本を読まなくなったのか、すらも。
「自分が俺より可哀想だって言いたいのか」なんて、憤慨する。
実在性よりも、俺自身がトラウマで、そうだと信じているという話すらも
自分にはわからないからという理由で無神経に逆撫でて……
「それなら正式に依頼してくれ。当たり前だろ。遊びじゃないんだから。何が全力だ? ふざけんな!」
『は? なんでだよ。少なくとも俺様はお前には価値を感じないよ。一銭も払いたくない』
――――俺はそんな晶の幼稚な傲慢さが、大嫌いだったんだ。
「――あぁっ。腹立つ!!そもそも、なんで来んだよ。お前に価値が無い場所に!」
来るなよ!!
お前が此処で褒められる事なんか一生ねえよ。
そんなことを思い出して、久々に苛ついていた朝6時。
「おい、開けろ。来てやったぞ!」
ドンドンドンドン、とドアを叩く音。
「げっ」
聞き覚えのある声。
ちょうど外にゴミを出して戻ったところだったが、思わずドアを抑える。
「あれ。界瀬。誰かいるの?」
事務所の方から、色が首を傾げた。
「居ないっ」
俺が鍵をかけ、否定していると
「おい、開けやがれ!」
と再び声がした。
「あぁ、晶か」
色が慣れた様子で、今度は俺を見る。
「あいつ、嫌い」
「まぁまぁ……晶は、人の心ってものがわからないから」
色は、困ったなぁ、とへらへらと笑っている。
「だからだよっ!!」
と俺は尚更ドアを押さえつける。
「界瀬がいるのか?」
晶に悟られてしまった。
「なー、いつまでキレてるんだ?
あのときのことなら俺は悪くないし、お前も、お互い様っつーことで仲直りしようぜ」
俺と色は顔を見合わせる。
お互い様?
まるで俺の方が子どもで、いじけてるみたいに言ってるけど、絶対違う。
人の事を「自分の為」の道具か何かとしか思っていないし、力を使ってやったときにもこっちの気も知らずに『なんだ、出来るんじゃん』とか言って来る。その上普段からあの偉そうな態度。
極めつけがあの台詞だったんだから。
「…………嘘だろ、アレだけだと、思っているのか?」
「ネタかと思ってたけど、本心でやってるんだよな。やっぱ凄いや、晶は」
色が苦笑いしている。
「おい、言わなきゃわかんねーぞ!! コミュニケーション! コミュニケーション!!」
晶が、何故か此方を子ども扱いしたまま説得を試みている。
「どうみても晶の頭の問題だと思うけど……」
色が悪気なく辛辣な事を言った。
でも確かに晶単品だとめんどくさいからな、と俺がドアを閉めているのを遠くから眺めている。
そのときだった。
「色ちゃん」
女性の声がした。
「色ちゃん、私」
「橋引!?」
色は慌ててドアの方に向かい、鍵を開けた。
2025年6月6日10ー11時11分加筆
一言で言うのなら晶は傲慢な奴だった。
「どうして、俺には全力を出してくれないんだよっ!」
傲慢で、自信家で――――
「それならすぐに、霊視してみろよ。天才なんだろ!」
人の気持ちなど考えない。
「ほら、化け物らしく、早くしろよ。事件以外には出来ないってのか?」
それはそうで、晶の才能は俺達とは違って後天的で努力そのもの、技術のようなものだから。
だからその痛みなど理解するはずも無く……
好きな本が無いと言ったときに急に怒り出した「あの人」そっくりな、自分本位な考え。
自分に酔っている、天才なんだろ? 全力を出せ、そうやって人の痛みも知らずに、無神経な事を言って、
俺がどうして人前で本を読まなくなったのか、すらも。
「自分が俺より可哀想だって言いたいのか」なんて、憤慨する。
実在性よりも、俺自身がトラウマで、そうだと信じているという話すらも
自分にはわからないからという理由で無神経に逆撫でて……
「それなら正式に依頼してくれ。当たり前だろ。遊びじゃないんだから。何が全力だ? ふざけんな!」
『は? なんでだよ。少なくとも俺様はお前には価値を感じないよ。一銭も払いたくない』
――――俺はそんな晶の幼稚な傲慢さが、大嫌いだったんだ。
「――あぁっ。腹立つ!!そもそも、なんで来んだよ。お前に価値が無い場所に!」
来るなよ!!
お前が此処で褒められる事なんか一生ねえよ。
そんなことを思い出して、久々に苛ついていた朝6時。
「おい、開けろ。来てやったぞ!」
ドンドンドンドン、とドアを叩く音。
「げっ」
聞き覚えのある声。
ちょうど外にゴミを出して戻ったところだったが、思わずドアを抑える。
「あれ。界瀬。誰かいるの?」
事務所の方から、色が首を傾げた。
「居ないっ」
俺が鍵をかけ、否定していると
「おい、開けやがれ!」
と再び声がした。
「あぁ、晶か」
色が慣れた様子で、今度は俺を見る。
「あいつ、嫌い」
「まぁまぁ……晶は、人の心ってものがわからないから」
色は、困ったなぁ、とへらへらと笑っている。
「だからだよっ!!」
と俺は尚更ドアを押さえつける。
「界瀬がいるのか?」
晶に悟られてしまった。
「なー、いつまでキレてるんだ?
あのときのことなら俺は悪くないし、お前も、お互い様っつーことで仲直りしようぜ」
俺と色は顔を見合わせる。
お互い様?
まるで俺の方が子どもで、いじけてるみたいに言ってるけど、絶対違う。
人の事を「自分の為」の道具か何かとしか思っていないし、力を使ってやったときにもこっちの気も知らずに『なんだ、出来るんじゃん』とか言って来る。その上普段からあの偉そうな態度。
極めつけがあの台詞だったんだから。
「…………嘘だろ、アレだけだと、思っているのか?」
「ネタかと思ってたけど、本心でやってるんだよな。やっぱ凄いや、晶は」
色が苦笑いしている。
「おい、言わなきゃわかんねーぞ!! コミュニケーション! コミュニケーション!!」
晶が、何故か此方を子ども扱いしたまま説得を試みている。
「どうみても晶の頭の問題だと思うけど……」
色が悪気なく辛辣な事を言った。
でも確かに晶単品だとめんどくさいからな、と俺がドアを閉めているのを遠くから眺めている。
そのときだった。
「色ちゃん」
女性の声がした。
「色ちゃん、私」
「橋引!?」
色は慌ててドアの方に向かい、鍵を開けた。
2025年6月6日10ー11時11分加筆
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