列車居酒屋異聞 〜旅が好き〜

夢彩姐

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2.野崎 颯 居酒屋ランチタイム

2.野崎 颯 居酒屋ランチタイム③

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 早速ボクはうどんを食べ始めた。
 椅子もテーブルも大人の人に合わせてあるのかちょっと食べづらい。
 大きさも大人向けだと思う。もちろんうどんの大きさも……。

 頑張って食べないと!
 だって、残したくないもん!

 ボクは真剣に箸を動かして食べ続けた。
 トレイにつなげる為なのかうどんは四角いお皿に入っている。その所為か少し食べづらい。
 その形がまるでお弁当箱みたいなのは楽しいんだけど……。

 そんなことを考えながらボクは何とか食べきった! 
 スゴい!?
 でも…汁までは飲みきれなかった……。

 お腹もいっぱい……。
 ちょっとだけ…苦しい……。

 チラッと隣の優香の様子を見てみる。
 あれ? 結構残ってる……。

 優香はもう食べたくないのか、箸をトレイの上に置いて窓の外を見ていた。

 ボクも釣られて窓の外を見る。
 大きな海の絵が見えた。

「お母さん! 海が見える」
 ボクは嬉しくなって外を指さした。
「え? あぁ…本当ね」
 お母さんも外を見る。

 そして……
「……へぇ…何だか……海辺を走ってる電車に乗ってる気分?」
と、お弁当を食べながらつぶやいた。

 そうだよなぁ…動かない電車なんだから景色だって動く訳じゃないのに…なんだか動いている気がしてくる。
 こんなふうに電車に乗って遠くに行ってみたいなあ……。

 なんて事を考えていたらお母さんもお弁当を食べ終わったようだ。
「あら? 優香はもう食べないの?」
 優香のお弁当箱にはまだまだ料理が入っている。 
「うん…もうお腹いっぱい……」
 残念そうに下を向いたまま優香が答えた。


 元々優香はあんまり食べない。
 なのに大人用のお弁当なんか食べ切れるはずもない。

「見て見て! お母さん! ボクは全部食べたよ!」
 ポクは汁しか残ってないトレイを差し出す。
「あら、よく食べられたね。さすが颯君!」
 お母さんはボクの頭を撫でてくれた。

「もう、ごちそうさまならトレイを返しに行きましょ」
 お母さんがトレイを片手に立ち上がった。
 そして肘掛けにテーブルをしまって椅子をクルッと回転させる。

 一体どうやったら回せるんだろ……???
 ボクも椅子から降りてトレイを両手で抱えた。
 テーブルをしまいたかったけど…やり方がわからない……。

「お母さ~ん。テーブルどうやってしまうの?」
 通路で待っていたお母さんに聞いてみる。

「ん? あー、トレイ抱えてたんじゃ無理よねぇ…」
 お母さんは空いてた座席に自分が持っていたトレイを置き
「ちょっと通路で待っててね」
と、ボクを退かせてパタパタとテーブルをしまう。

 ずっと見てたけど…出し方もしまい方もちっともわかんない……。
「お母さんスゴい! 手品みたい!」
 優香も目を丸くして見ていた。

「やり方さえ分かれば誰でもできるわよ。……トレイを返して来たらちょっとだけテーブルだしてみたり椅子を回してみたりしちゃう?」
 お母さんがイタズラっ子のように笑う。
 ボクは必死に頷く。
 優香も嬉しそうにつられて笑った。

 コートを着てトレイを抱え皆で電車を降りる。
 そして一番近くに有る食器を回収しているワゴンへ向かった。
 ワゴンでは空いた食器を大きさごとにまとめられるようになってるっぽい。

(ホントはよく見えなかったから…たぶんだけど……。)

 トレイを抱えてお母さんが食器を片付けるのを待つ。
 そして片づけ終わったタイミングで
「はい、お母さん」
 そう言って持っていたトレイをわたす。

 お母さんは肩をすくめて
「はい、どうも」
と、受け取ってくれた。

 そしてボクのトレイと食器を片づけ終わると優香に目を向けて訪ねる。

「あ…優香、どうする? 余ったご飯持って帰る?」
「え? 持って帰れるの?」
「フタが売ってるの。食器ごと持って帰れるみたいよ」

 お母さんは近くにある看板を指して
「【持ち帰り用『フタ』1個200円】って書いてあるのよ」
と、読み上げてくれた。

 看板には食器を縦に重ねてフタをすることで二段(?)弁当箱みたいする方法まで絵で描いてある。
「うん! 持って帰る。美味しかったしもったいないもん!」
 そうだよ。残したらもったいないオバケが出てくるよ。

 お母さんはフタを2つと持ち帰り用の袋も買って2段弁当を2つ作った。

 だって優香、ほとんど残ってるんだもん。
 捨てたらバチが当たりそうだよ。

 ボクは二段弁当になった食器をみてお願いした。

「お母さん、コレ普通のお弁当にも使えるよね? お弁当持ってく時、使いたい!」
 お母さんは
「そうね。いつ使うかはわかんないけど家のお弁当箱の仲間にしようね」
と、笑った。
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