魔女は駆け落ちした聖女の身代わりに魔物討伐を命じられました。

ゆき

文字の大きさ
3 / 11

王宮での暮らし

しおりを挟む


長い時間馬車に揺られて、ようやく辿り着いた王宮は、見たことも無い絢爛豪華な作りで………場違い感が否めなかった。


血税の力ってすごいね。

ここに来る最中、たくさんの荒んだ町を通ってきたから、そんなマイナスな感情しか浮かんでこなかった。


こんなところに住むのか私。


嫌だなぁ。



謁見の間という場所に案内され、中に入ると随分と高い位置にある玉座には随分と冷たい雰囲気をした銀髪の男が座っている。

国王にしてはまだうら若い。


「貴様が魔女か。ようこそ、王宮へ」


随分と不躾な挨拶だが、曲がりなりにも国王陛下だ。

しっかり挨拶をしなければこちらが不敬罪に問われてしまうだろう。



「お初にお目にかかります国王陛下。魔女ウルティアでございます。陛下からの命を受け、馳せ参じました」


「お前には聖女が発見されるまで、国の防衛に尽力してもらう」

「陛下のご期待にそえるよう励みたいと思います」


簡単な挨拶を済ませると、陛下は私にはさして興味もないようで、すぐに下げられてしまった。

居心地の良くない場所に長居をする気はなかったが、露骨な態度には少し腹が立つ。


はぁ、来てそうそう疲れた。



聖女が発見されるまで、ねえ。


本当に聖女が見つかることはあるのだろうか。

聖女は私なんて到底及ばないすごい力を持っていると聞く。

そんな彼女が本気で逃げようとするなら、いくら国王の権力をフルに使ってと簡単に彼女を捕まえることなんてできないはずだ。


見つかる時は、多分…聖女が聖女ではなくなった時だろう。


駆け落ちした聖女はいつまで聖女でいてくれるだろうか。



聖女の条件の一つ、純潔であること。

そんなことを律儀に守り続けるのであれば駆け落ちした意味なんてないはずだ。



私は、どうなるんだろう。

自分の未来を憂い、大きなため息をついた。



■□


王宮での暮らしはひどく窮屈だった。

私は聖女が使っていた部屋に案内されて、そこで当面の間暮らさなければならないらしい。


初めに言われた通り日に三度の食事は確かに提供された。

しかし、本当にそれだけで、後は聖女の部屋にもともと置かれていた数冊の本を読むことくらいしかやることがなく暇を持て余していた。


故郷の森が恋しい。


これは気が狂ってしまいそうになるな。


聖女の息苦しさを来たばかりの私でもありありと感じられた。



私は魔物討伐するために現地に赴く必要があるけど、聖女は部屋の中で祈りを捧げる毎日だったという。

私以上に窮屈な生活だったことはまず間違いなかった。


顔も知らない彼女には同情しかない。



そりゃあ護衛騎士と逃げたくもなるよね。


妙に納得してしまった。



もしも聖女にとって護衛騎士だった第二騎士団団長が唯一心の支えになってくれていたのだったら、最後まで逃げ通して幸せになってもらいたいとさえ思う。


……私も逃げ出したいなぁ。切実に。



美味しい食事もふかふかのベッドも何もかもいらないから、今は一番自由が欲しい。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

無能聖女の失敗ポーション〜働き口を探していたはずなのに、何故みんなに甘やかされているのでしょう?〜

矢口愛留
恋愛
クリスティーナは、初級ポーションすら満足に作れない無能聖女。 成人を迎えたことをきっかけに、これまでずっと暮らしていた神殿を出なくてはいけなくなった。 ポーションをどうにかお金に変えようと、冒険者ギルドに向かったクリスティーナは、自作ポーションだけでは生活できないことに気付く。 その時タイミングよく、住み込み可の依頼(ただしとても怪しい)を発見した彼女は、駆け出し冒険者のアンディと共に依頼を受ける。 依頼書に記載の館を訪れた二人を迎えるのは、正体不明の主人に仕える使用人、ジェーンだった。 そこでクリスティーナは、自作の失敗ポーションを飲んで体力を回復しながら仕事に励むのだが、どういうわけかアンディとジェーンにやたら甘やかされるように。 そして、クリスティーナの前に、館の主人、ギルバートが姿を現す。 ギルバートは、クリスティーナの失敗ポーションを必要としていて――。 「毎日、私にポーションを作ってくれないか。私には君が必要だ」 これは無能聖女として搾取され続けていたクリスティーナが、居場所を見つけ、自由を見つけ、ゆったりとした時間の中で輝いていくお話。 *カクヨム、小説家になろうにも投稿しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました

群青みどり
恋愛
 国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。  どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。  そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた! 「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」  こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!  このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。  婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎ 「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」  麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる── ※タイトル変更しました

婚約破棄された堅物令嬢ですが、鬼の騎士団長の娘として宮廷の陰謀を暴くのに忙しいので、美貌のカストラート(実は王子)に溺愛される暇はありません

綾森れん
恋愛
「お前のような真面目くさった女はいらない。婚約は破棄させてもらう!」 婚約者だった公爵令息に冷酷に言い放たれたリラ・プリマヴェーラ。 だが、彼女の心にあったのは悲しみではなく―― 十年前の王族暗殺事件を調査したいという情熱だった。 伯爵令嬢であるリラは、鉄の掟を守る『鬼の騎士団長』の娘。 彼女には恋よりも何よりも優先すべき使命があった。それは、十年前に幼い王子が暗殺された事件の真相を暴き、父を、そして王国を陰謀から救うこと。 婚約破棄直後、彼女の前に現れたのは、天使の歌声を持つ美貌のカストラート(去勢歌手)、アルカンジェロだった。 彼が十年前の事件について密かに調べていることを、リラは知ってしまう。 真相を探るため、リラは彼を自分の音楽教師として迎え入れ、距離を縮めていく。 事件解決の協力者として彼と接するうち、リラは謎めいたアルカンジェロに危機を救われることになる。 しかし、リラは知らない。 アルカンジェロの正体が、十年前に暗殺されたはずの第三王子であることを。 そして彼にとってリラこそが、初恋の女性であることを。 彼は十年間、密かにリラを想い続けていたのだ。 王位を狙う者たちから身を隠すため、声楽の技術を駆使して、教会歌手として大聖堂で生き延びてきたアルカンジェロだったが、王家を巡る不穏な陰謀が静かに動き始めていた。 捜査に猪突猛進な堅物令嬢と、彼女を影から支え執着を見せる、カストラート歌手のふりをした王子。 宮廷の闇を切り裂く二人の恋と事件の行方は――? ※本作は、過去に投稿していた『真面目くさった女はいらないと婚約破棄された伯爵令嬢ですが、王太子様に求婚されました。実はかわいい彼の溺愛っぷりに困っています』の設定・キャラクター・構成を大幅に改稿し、新作として再構成したものです。 物語の結末やキャラクターの掘り下げを強化しておりますので、初めての方も、以前お読みいただいた方もお楽しみいただけます。

捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています

h.h
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。 自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。 しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━? 「おかえりなさいませ、皇太子殿下」 「は? 皇太子? 誰が?」 「俺と婚約してほしいんだが」 「はい?」 なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

婚約破棄された元聖女、魔王の息子に攫われて溺愛されています

百合川八千花
恋愛
魔王を討伐し、十年にわたる戦いを終えた聖女アルティア。 帰還した王国で待っていたのは、王太子からの婚約破棄と――その子供だった。 絶望の中、現れたのはかつて共に戦った魔王の息子、ヴェルグ。 「君はもう自由だ。だったら僕が攫うよ」 突然の求婚(という名の略奪)と共に、アルティアは隣国・アシュフォード帝国へ連れ去られる。 辺境伯となったヴェルグの領地で始まるのは、 「君のために用意してた」 と語られる豪華すぎる“同棲部屋”、 壁一面に飾られた聖女の肖像画コレクション、 そして、「僕のもの」発言が止まらない溺愛×執着ラブ生活! しかしその頃、聖女を失った王国では、魔王の呪いによる異変が始まっていて―― これは、運命に選ばれ続けた聖女と、ただ彼女だけを愛した元魔王の息子の、 甘くて狂おしい、世界と愛の再構築ラブファンタジー。

処理中です...