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王宮での暮らし
しおりを挟む長い時間馬車に揺られて、ようやく辿り着いた王宮は、見たことも無い絢爛豪華な作りで………場違い感が否めなかった。
血税の力ってすごいね。
ここに来る最中、たくさんの荒んだ町を通ってきたから、そんなマイナスな感情しか浮かんでこなかった。
こんなところに住むのか私。
嫌だなぁ。
謁見の間という場所に案内され、中に入ると随分と高い位置にある玉座には随分と冷たい雰囲気をした銀髪の男が座っている。
国王にしてはまだうら若い。
「貴様が魔女か。ようこそ、王宮へ」
随分と不躾な挨拶だが、曲がりなりにも国王陛下だ。
しっかり挨拶をしなければこちらが不敬罪に問われてしまうだろう。
「お初にお目にかかります国王陛下。魔女ウルティアでございます。陛下からの命を受け、馳せ参じました」
「お前には聖女が発見されるまで、国の防衛に尽力してもらう」
「陛下のご期待にそえるよう励みたいと思います」
簡単な挨拶を済ませると、陛下は私にはさして興味もないようで、すぐに下げられてしまった。
居心地の良くない場所に長居をする気はなかったが、露骨な態度には少し腹が立つ。
はぁ、来てそうそう疲れた。
聖女が発見されるまで、ねえ。
本当に聖女が見つかることはあるのだろうか。
聖女は私なんて到底及ばないすごい力を持っていると聞く。
そんな彼女が本気で逃げようとするなら、いくら国王の権力をフルに使ってと簡単に彼女を捕まえることなんてできないはずだ。
見つかる時は、多分…聖女が聖女ではなくなった時だろう。
駆け落ちした聖女はいつまで聖女でいてくれるだろうか。
聖女の条件の一つ、純潔であること。
そんなことを律儀に守り続けるのであれば駆け落ちした意味なんてないはずだ。
私は、どうなるんだろう。
自分の未来を憂い、大きなため息をついた。
■□
王宮での暮らしはひどく窮屈だった。
私は聖女が使っていた部屋に案内されて、そこで当面の間暮らさなければならないらしい。
初めに言われた通り日に三度の食事は確かに提供された。
しかし、本当にそれだけで、後は聖女の部屋にもともと置かれていた数冊の本を読むことくらいしかやることがなく暇を持て余していた。
故郷の森が恋しい。
これは気が狂ってしまいそうになるな。
聖女の息苦しさを来たばかりの私でもありありと感じられた。
私は魔物討伐するために現地に赴く必要があるけど、聖女は部屋の中で祈りを捧げる毎日だったという。
私以上に窮屈な生活だったことはまず間違いなかった。
顔も知らない彼女には同情しかない。
そりゃあ護衛騎士と逃げたくもなるよね。
妙に納得してしまった。
もしも聖女にとって護衛騎士だった第二騎士団団長が唯一心の支えになってくれていたのだったら、最後まで逃げ通して幸せになってもらいたいとさえ思う。
……私も逃げ出したいなぁ。切実に。
美味しい食事もふかふかのベッドも何もかもいらないから、今は一番自由が欲しい。
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