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騎士様
しおりを挟む魔物を討伐した夜、やけるような左肩の痛みになかなか寝付けずにいた。
初めてで緊張したとは言え、鴉ごときにこんな深手を負ってしまうなんて。
自分自身には治癒の魔法が使えないことが悔やまれる。
左肩の切り傷は熱を持って、服の隙間から見えた包帯には少しだけ血が滲んでいた。
これでは寝付けずもし明日も魔物討伐があれば悲惨な事態になってしまうかもしれない。
…仕方ないか。
私は冷やすものと包帯の換えをもらうために、扉の前で警護にあたる騎士様に声をかけることにした。
あまり受け入れられていない魔女だが、現状では、やはり国の防衛のためには必要不可欠な存在だ。
それなりの守りはつけてくれるらしい。
「あの、すみません」
扉を開けると私とそう変わらない年頃の騎士様が立っており、私を見るなりあからさまに表情を歪める。
「…なにか」
「新しい包帯と、それから、何か冷やすものをもらえませんか?」
まだ王宮の勝手がわからず騎士様に全面的に頼んでは見るが、やはり本人は面倒くさそうに眉間に皺を寄せた。
「…聖女様は怪我なんてしなかったのに」
ぽつりと、そんな言葉が耳に届いた。
何を当たり前なことを。
私は聖女ではない。魔女なのだ。
聖女みたいな祈るだけで魔を浄化できるような規格外な力なんて備わっていない。
私ができるのは魔物と自ら対峙して、魔法で討伐することだけだ。
「聖女様のようにできないのなら、この役割は降りた方がいいのでは?」
騎士様は嘲笑うように私にそう言う。
「私が降りたところで私より力の弱い魔女が新たに召し抱えられるだけですよ」
私が消えたところで、あなたの望む状況なんてやってこない。
「聖女しか認めないなんてあなたの我儘で、国の危機が救えますか?」
「っ、聖女様はすぐに戻ってこられる!」
「聖女に戻る意思がなければ、あなた方は一生彼女を見つけることなんてできませんよ」
それ程に聖女の力は凄まじい。
断言する。
国王がどんなに彼女を探しても、彼女の影すら捉えることはできないだろう。
…今のところは、ね。
「聖女様が、この国を見捨てるわけがないだろ!」
「現に見捨てた、いや、見限ったと言うべきですかね。ここに聖女がいないことが全てを物語っているんじゃないですか?」
王宮の人間を始めとするこの国の人間は、聖女を盲信しすぎに思える。
聖女だって人間だ。
人間だからこそ、愛する人と共に生きることを選んだのだ。
「私はまだ王宮に来て数日ですが、聖女の気持ちが痛いほどわかりますよ」
聖女を、そして魔女を、人として扱わないこの国にはほとほと嫌気がさす。
聖女への信仰と魔女への嫌悪は全く違うものだが、それでも十年以上も自由を奪われた聖女には心底同情してしまうよ。
「お前みたいな魔女に聖女の気持ちがわかるわけがないだろう!」
「彼女が聖女であろうと、私が魔女だろうと…そんなことは全く関係ありません」
私の言葉に騎士様は怪訝そうな表情を浮かべる。
「私は人間として、私と同じ歳の彼女が自由を奪われ、顔も知らない他人のために祈りを捧げ続けるだけの毎日を送っていたことが気の毒に思えてならないだけですよ」
「人間として…?」
「私も彼女も、あなたと同じ…母の胎内に生を受け生まれてきた。人間は考え悩むものです。きっと聖女もたくさん傷つき、考えて答えを出したはず。苦しんできた彼女がやっと掴んだ幸せを邪魔する権利は誰にもない」
私だって聖女の代わりにこんな状況になりながらも、聖女を責めることは筋違いだ。
「聖女様は、苦しかったんですか」
思い詰めたように小さくそう洩らす騎士様。
微塵も気づいていなかったところに、この国の狂気を見た気がした。
「十八の少女がこんな鎖だらけの生活で辛くないわけがありませんから!!」
常識的に考えてわかりません?
これは遠回しに私も辛いんですよって訴えてるんですからね!
伝わってます?
「っ、俺は…聖女様の騎士失格です」
今度は後悔の色を滲ませてそんな言葉を口にする騎士様。
この人なんとなく面倒くさそうな人間な気がする。
「まあ、いいんじゃないですか?今更嘆いても変わりませんし」
「でもっ」
「貴方みたいな鈍感な騎士様に変わって、騎士団長様がしっかり聖女を救ってくれたんでしょう?まあそのおかげで彼は今ではしっかり反逆者のレッテルを貼られてしまっているわけですが」
国家反逆の汚名を着せられることを覚悟しながらも聖女を救い出した騎士様か。
カッコイイんじゃないですか?
聖女が駆け落ちしたいと思える程には。
「団長は…やっぱりすごい人だ」
「確かにあなたの何倍も素敵な人ですね」
思わず棘のある言い方をしてしまったが、これは本当に仕方の無いことだと思う。
…左肩の痛みがそろそろ限界だ。
「どうでもいいんですが…早く冷やすものと包帯、できれば痛み止めも持ってきてくれたら助かります…本当にできるだけ早くお願いします…」
「っ、すぐ持ってきます」
そう言って騎士様は廊下を去っていった。
あっさりと消えてしまった見張り役。
私の痛みが演技だったらまた逃げ出されてしまっても仕方ない状況だ。
先程の騎士様は案外人を信じやすいのかもしれない。
痛みにズルズルとその場にしゃがみこんでしばらくじっとしていると、廊下の奥から走ってくるような足音が聞こえた。
「魔女様…!」
態度を一変させて敬称までつけて私を呼ぶ騎士様。
少なくとも彼はほんの少しくらいは私のことを認めてくれたのかもしれない。
「大丈夫ですか!?魔女様!!」
「っ、うるさい…です。とってきてくれて…ありがとう、ございました」
騎士様が持ってきてくれた包帯やらを受けとって部屋の中に戻ろうと踵を返す。
足元がおぼつかない。
広い部屋の中、ベッドまでの距離がやけに遠く感じた。
「魔女様、失礼します。少し触りますね」
耳元で聞こえた声。
「っ、」
返事をする間もなく背中と足に触れた体温に驚いて目を見張る。
私を抱き抱える手は彼の細い体の割にたくましく、なんとなく安心感を覚えた。
「あの、騎士様…?」
「ベッドまで運ぶだけです。暴れたら落ちますよ」
元より暴れる意思も、そんな気力もない。
私の記憶の中で、このように誰かに抱き抱えられたことは初めてだった。
騎士様が歩く揺れとは違うふわふわとした感覚に包まれる。
どこか落ち着かない気持ちで騎士様を見つめると、彼の頬が少しだけ赤くなっているのに気づいた。
「恥ずかしいのなら、しなきゃいいのに」
「黙っててください!」
ぽつりと呟いた言葉はばっちり騎士様の耳に届いていたようだ。
こんなに近い距離だし当たり前か。
「下ろします」
ふかふかなベッドにゆっくり寝かせられる。
「…ありがとうございました」
お礼を言うと騎士様は小さく頷いて口を開いた。
「包帯巻き直しますから、ちょっと失礼します」
「っ!?」
騎士様はまたもや私の返事を聞かずに、ネグリジェの少しゆるい首元から勝手に私の左手を出して、肩が見えるよう服をはだけさせる。
「あの、恥ずかしいのですが…」
「我慢してください。今のあなたがうまく包帯を巻き直せるとは思えません」
「…あ、はい」
私自身も彼の言葉には同意なため大人しく従うが、私もまだ十八歳で異性に肌を見せることには躊躇いのある年齢なのだ。
しかも、騎士様だって若いから尚更。
悶々とする私とは逆に、騎士様はテキパキと古い包帯を回収している。
「っ、酷いですね」
「魔女の生命力は普通の人より強いですから、この程度が致命傷になることはありません」
そう言うと騎士様は眉を下げてなんだか辛そうな表情を浮かべていた。
「消毒します。痛かったら僕の手でも服でも掴んでくれて大丈夫です」
消毒液を染み込ませた丸い綿を騎士様が肩の傷にぽんぽんと軽く押し当てる。
王宮の治癒師に治療してもらったとはいえ、魔物の傷を完全に癒せるのは聖女様くらいだ。
私だって他人の傷は治せても、自分自身となるとそうはいかないのだ
自分に魔女の治癒が使えない以上、この傷をしっかり治せる人間は存在しない。
解決してくれるのは、きっと時間だけ。
まだ塞がってもない傷口に消毒液が染みて思わず顔を歪めた。
拳を握りしめると爪がくい込んで少しだけ肩の痛みを誤魔化せた気がする。
…本当に気休め程度だけど。
「魔女様、傷つきます」
呆れたような声でそう言うと、騎士様は強く握っていた私の手をとりそっと拳を開かせる。
そして自分の左手と手を繋ぐように絡ませた。
「爪を立てても強く握っても僕は痛くないですから」
…何だこの人。
さっきまで聖女のことで怒ったりオロオロしたりと忙しそうだったのに。
いきなり頼もしく見える彼は、若くしても一人前の騎士様らしい。
「…すみません」
小さく頭を下げると騎士様は、謝ることではありません、と一言。
騎士様に爪を立てるのは謝ることでしょう。
「包帯巻き直しますね」
「…お願いします」
しばらくして、私の手をやんわりと離した後、彼は手際よく包帯を巻いてくれた。
やはり怪我の手当には心得があるようだ。
騎士様だもんね。
緊急時のために、怪我人の手当くらい出来なきゃいけないのだろう。
「っ」
突然左肩に感じたひんやりとした冷たさに眉をしかめた。
「口開けてください」
「え?…むぐっ」
騎士様は右手で私の肩に氷を包んだ布を押し当て、左手で私の口に苦い粉を流し込んだ。
薬が全て私の口に消えると、すぐに水が入ったコップを当てられる。
「んっ、はぁ」
「すぐに痛み止めが効いてくると思います。もう横になって早く寝てください」
騎士様はそう言うと私の背中に手を当てゆっくりと体をベッドに倒した。
何この介護…
「何から何まで、ありがとうございます」
素直にお礼を言うと、彼も小さく口角を上げる。
包帯も巻き直してもらい、もう用はないだろうと思っていたが、彼は一向に部屋から出ていく気配がなかった。
「あの、もう…大丈夫ですよ?」
「肩の熱がまだとれていません」
「自分で冷やせます!」
左肩に添えられた手は全然離れない。
「自分で冷やしていたら魔女様はいつまでたっても寝られないでしょう」
「っ、でも」
「少しでも、僕に償いの機会をください」
「償い…?」
騎士様の言葉がよくわからず眉を寄せて聞き返した。
「俺は魔女様の言葉で自分が今まで護られているだけの小さな存在だと気づきました。そして、それを当たり前だと思っていたんです」
そう言った彼は少しだけ震えているように見えた。
これはきっと聖女のことだ。
聖女を皇宮に閉じ込め、ひたすらに祈りを捧げさせるこの国に何の疑いも持たなかった自分が腹立たしいのだと思う。
聖女が消えたあとも当たり前のように彼女が戻ってくることを信じていた自分に憤っているのだ。
「聖女様も、そしてあなたも…俺なんかより小さなか弱い女性だったのに…それに気づけなかった自分が、恥ずかしい」
そう言って騎士様は唇を強く噛んだ。
「…今はちゃんと理解しているんだし、別にいいんじゃないですか?」
「だけど…この国のために傷を負ってしまった貴方にも、本当に酷いことを言いました」
聖女と比べたことを言っているのだろうか。
「…気にしてません」
そんな言葉を一々気にしていたらキリがない。
「っ、俺が言うのもなんですが、あなたはもっと自分を労るべきでは?」
「ふふっ、本当にあなたが言うことではありませんね」
騎士様の言葉に小さく吹き出してしまった。
罰が悪そうに視線を逸らす騎士様が、年相応の男の子に見えて微笑ましい。
「魔女様に少しでも恩返しと償いがしたいのです」
小さくそう洩らした騎士様。
「そうですね、だったら…魔女様って言うの、やめてくれません?」
「え…?」
「私は魔女様ではなく、ウルティアです。魔女様って呼ばれるのあんまり好きじゃないんですよね私」
確かに私は魔女だけど、この国の人間は魔女という言葉を皮肉や嫌悪をたっぷりと添えて口にするのだ。
魔女は忌み嫌われるものだから。
魔物と同じ系統の魔法を使えるというだけで、私達を同列の存在に扱う。
「ウルティア…様」
「ティアでいいです。王宮に一人くらいお友達が欲しかったところなんですよね」
「それはちょっと…」
私の言葉に困ったように拒否の言葉を述べる。
「償いたいって言ったのに」
「っ、けど俺はただの騎士で…」
「そんなの関係ありません!私も聖女も、同じ人間だと認めてくれたわけではなかったのですか?…嘘だったのですね」
薬のおかげか消えつつある痛みに私の勢いがどんどん良くなっていく。
「な!?嘘じゃありません!わかりました、ティア様!これでいいですか!?」
半ばやけくそに騎士様は叫んだ。
「ダメです。様も要りません。ついでに敬語もいりません」
「…結構強引な方ですねあなたは」
観念したように小さく洩らす騎士様に私はニンマリと笑顔を見せた。
「これからよろしく、ティア」
「うん、よろしくね…えっと、騎士様の名前はなんだっけ?」
「そう言えば自己紹介してなかったか。俺は第二騎士団副団長、レイ・セパードだよ」
…副団長って、若いのに優秀なんだね。
少しだけ驚いてしまった。
「よろしく、レイ」
「二人の時以外は敬語や敬称をつけること許してほしい。さすがにクビになってしまうから」
「…はーい」
不満げに返事をすると、レイは困ったように小さく笑った。
今日、王宮で初めて友達ができた。
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