魔女は駆け落ちした聖女の身代わりに魔物討伐を命じられました。

ゆき

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捕えられた聖女

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皇宮に召し抱えらて数ヶ月。


その日、皇宮はやけに慌ただしく、聖女が見つかったという知らせが私の耳に届くのにそう時間はかからなかった。


「レイ、聖女は力を失ったの…?」


いつも通り部屋の外で私の護衛を務めているレイを中に招きそう問う。



「っ、ああ、発見された時には、もう聖なる力は消えていたらしい。陛下は聖女様と彼女と共に逃げた団長を、処刑すると…くそっ、最悪だ!」

「処刑…」


あまりにも身勝手な判断に腹が立って仕方がなかった。


これまで国のために尽力してきた聖女と元騎士団長をそうも簡単に切り捨てるなんて。

確かに聖女達は自分達の幸せを選んだ。


それは間違いないが、どうしてその事を責められるというのだ。



「レイ、大丈夫」

「っ、何が大丈夫なんだ…」

悔しそうに握りしめられた拳をそっと両手で包み込む。



「そんなことは、させない」


「ティア…?」

「レイが心配するようなことは起こらない」



聖女に守られてきた人間として、

私が最後にできる、彼女へのはなむけだ。




「何か無茶をするつもりか…?」

不安そうに私の顔を窺うレイ。


「しないよ?ただ、交渉するだけ」

「交渉って、誰と」


「皇帝陛下」


私の言葉に、レイは顔を真っ青にさせた。

がしっと私の肩を掴んで、口を開く。


「何考えてんの!?バカなのか!?」


「え…レイ?」

「魔物の相手してる時もそうだけど、どうしてそんなに無茶しようとするんだよ…!」


レイ、もしかして怒ってる?



「国王陛下と交渉なんて、下手したら陛下の機嫌を損ねて極刑だ」

「まあ、死刑ってことはないから大丈夫だよ」


あの国王陛下が、聖女次に魔物に対抗しうる魔女を簡単に切り捨てるとは思えない。



「でも…」

「レイ、考えてみて?私が何もしなければ、聖女や騎士団長は間違いなく殺される。私が動いても、私は死なないんだよ?」


レイの顔を見つめながら言葉を続ける。



「選ぶ道は一つしかないでしょう?」


「っ…ティア」


レイは泣きそうな表情を浮かべていて、私より年上なのになんとなく母性本能をくすぐられる。



「すまない、ティア…僕はティアにだって傷ついてほしくないのに、それでも…聖女様と団長を、救ってほしい…本当にごめん」


「魔女様に任せてよ!」


笑顔でそう言うと、レイの頬に涙がつたう。


「泣いてる暇はないよ、レイ。聖女様のところに、案内してくれる?」

「わかった。だけど今は見張りが厳しくて無理だ。夜までになんとか会えるようにしておくから、待っててくれ」

「わかった」


私が返事を返すと、レイはもう一度だけ謝罪の言葉を口にし、部屋から去っていった。

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