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第64話 ここは、どこだ?
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目も眩む光が消えて、視界が戻って来る。少し不快感があるが、なんだろう?
「冷たッ!」
篠宮が手にしていたシリンダーが異様に冷たい。真っ白な霜を付けている。
彼はそれを落とさぬよう、机の上に置いた。
「さ、寒い?」
クーラー効きすぎなんじゃないか。
「それに暗いな」
さっきまで明るい部屋にいたのに、今はブラインドが降りているし、さっきまで無かったたくさんのコンピュータ機器が緑の小さな光を明滅させている。
「?」
シリンダーを置いた机も、サクラのデスクではなく、木製の机だ。
移動しようとした篠宮の足に、何かが触れる。
「あっ! サクラさん!?」
そこには長い髪を散らしたサクラが、トレードマークの白衣を乱して倒れていた。
「サクラさん、サクラさんッ!」
返事がない。
意識を失っているようだ。
倒れているサクラを起こそうと触れると、やはり冷たい。
「冷たいのは態度だけで十分ですよぅ」
心配げに篠宮はサクラを抱き抱える。
このまま鴫原校長のところに運ぼうとして、ふとサクラの寝顔を見た。相変わらず美しい。長い睫毛が白い肌に影を落としていた。
「……」
これは、機会なのではないか。
こういう事でも無ければ、無防備なサクラの寝顔を間近で見ることは皆無と言っていい。
「じ、人工呼吸ですッ!」
血迷った篠宮はドサクサに紛れて、サクラの唇に自分のを近づけた——。
「何をする馬鹿ものッ!」
バチンッ!!
炸裂平手打ち。
野生の勘で自らの危機を感じ取ったサクラの平手打ちが篠宮の頬に決まった。
「……まだ、何も、してま、せん……」
ドサッ。
サクラさんの馬鹿力を忘れていた、と消えゆく意識の片隅で篠宮は反省した。
つづく
「冷たッ!」
篠宮が手にしていたシリンダーが異様に冷たい。真っ白な霜を付けている。
彼はそれを落とさぬよう、机の上に置いた。
「さ、寒い?」
クーラー効きすぎなんじゃないか。
「それに暗いな」
さっきまで明るい部屋にいたのに、今はブラインドが降りているし、さっきまで無かったたくさんのコンピュータ機器が緑の小さな光を明滅させている。
「?」
シリンダーを置いた机も、サクラのデスクではなく、木製の机だ。
移動しようとした篠宮の足に、何かが触れる。
「あっ! サクラさん!?」
そこには長い髪を散らしたサクラが、トレードマークの白衣を乱して倒れていた。
「サクラさん、サクラさんッ!」
返事がない。
意識を失っているようだ。
倒れているサクラを起こそうと触れると、やはり冷たい。
「冷たいのは態度だけで十分ですよぅ」
心配げに篠宮はサクラを抱き抱える。
このまま鴫原校長のところに運ぼうとして、ふとサクラの寝顔を見た。相変わらず美しい。長い睫毛が白い肌に影を落としていた。
「……」
これは、機会なのではないか。
こういう事でも無ければ、無防備なサクラの寝顔を間近で見ることは皆無と言っていい。
「じ、人工呼吸ですッ!」
血迷った篠宮はドサクサに紛れて、サクラの唇に自分のを近づけた——。
「何をする馬鹿ものッ!」
バチンッ!!
炸裂平手打ち。
野生の勘で自らの危機を感じ取ったサクラの平手打ちが篠宮の頬に決まった。
「……まだ、何も、してま、せん……」
ドサッ。
サクラさんの馬鹿力を忘れていた、と消えゆく意識の片隅で篠宮は反省した。
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