&・MEN ~ARM & LEG〜

石ころマン

文字の大きさ
9 / 10

エアー & ガム ①

しおりを挟む
   朝日と浜西の試合が終わり、数分もしないうちに日暮と阿治の試合が始まった。今頃浜西らは病室で笑いあって、腕の整備をしてる頃である。

 日暮と阿治は両者バトルゾーンへと足を踏み入れた。お互いまだ能力を明かしていない。

 先程とは違う、冷たい何かを感じる雰囲気だった。

 両者屈伸などの準備運動をした後、すぐにゴングはなった。

 両者見合ったままだ。まだどちらも手を出さない。構えもしない。睨み合ったまま、動かない。

 睨み合いは、数十分と続いた。最初にしびれを切らし手を出したのは、意外にも日暮だった。

 日暮は素早く阿治の目の前に迫る。そして阿治の顔目掛けて強いハイキックを放つ。しかし、当たらなかった。阿治は見切り避けた。

 日暮は次々と蹴り技を繰り出すが、まるで次にくる蹴りがわかるかのように阿治は避けて行った。

 「空気圧噴射で加速してるのに当たらないだと…!何者だこの阿治っていう男は…!」

 阿治は次々と、たんたんと避けていく。日暮は無言で避けていく阿治にいらだちを覚えていった。

 そして日暮は蹴るうちに、あることに気づく。阿治はいくらたっても攻撃をしてこないということに気づいた。避けてばかりで、攻撃を仕掛けてこない。

 その事を疑問に思い、日暮は問いかけてみることにする。

 「なぜ攻撃をしてこないんだ!避けてばかりで何もしないなんて!」

 そういう日暮に対し、阿治はすぐに答えを返した。

 「攻撃?してないって?してるよ。もう既に。試しに大きくジャンプしてみればいい。」

 日暮は言われるがままに、いつも通りの空気圧噴射でのジャンプを試みる。しかし、ジャンプした直後、日暮は背中から地面に落下した。

 日暮は地面から起き上がろうとするが、起き上がることが出来ない。背中を触ってみると、スライムのようなものが付着しているるのがわかった。
 
「飛べない。起き上がれない。なぜなら君の背中に「#強粘着スライム____ガム・ガム・ガム#」が着いているから。このスライムは、引っ張ったり、叩いたりの衝撃を与えると急激に縮小する。それに僕の機械の目は高性能なカメラとコンピューターを合わせ持つ。君の攻撃を避けるのも、瞬時にガムをつけることも容易だよ。」

 そういうと阿治はマジックのように手からガムボールのような玉を出現させた。

 それを聞いた日暮は突然バタ足をし始めた。そしてしたかと思うと今度は膝をまげ、地面にガシンと足をつける。

 「高圧縮空気圧ストロング・エアー…」

 「大地震クエイク!」
 
 すると強烈な空気圧が放出され、日暮の背中のガムが消滅した。

 それと同時に、地面は大きく揺れ始めた。

 「とてつもない空気圧を放出し、地面を揺るがす技…特大のお祭り技だよ!」

 日暮は阿治に近ずいてゆく。次第に阿治の足はすくみ、最後は地面に倒れてしまった。

 「言い残すことはあるかい、阿治くん。」

 その言葉に対し、阿治はニヤリと答えた。

 「まだ始まったばかりだよ…日暮くん!」

 そしてガムボールを投げつけた。

 「強粘着爆弾ガム・ガム・ボム!!」

 すると投げたガムボールは空中で中身が弾け、日暮の体にまとわりついた。日暮は身動きが取れなくなってしまった。

 「まだ終わってないよ!強粘着伸縮縄ガム・ガム・グラップルガン!!」

 阿治の手には、日暮の胸部と繋がったガムのロープが握られていた。そしてそのロープを引っ張ると、日暮は阿治の後ろへと飛んで行った。

 日暮は身動きが取れず、力を貯める暇もなかった。阿治は容赦なくさらにガムボールを投げつける。

 「強粘着ハンマーガム・ガム・ハンマー!!」

 投げたガムボールはまたしても弾けたが、今度は中にトンカチが入っていた。そのトンカチはガムのロープに引っ張られ、思い切り日暮の右太ももに激突した。
 
  ハンマーの攻撃により日暮の片足は使い物にならなくなった。

 日暮はその場に倒れ込み、使えなくなった片足をかばいながら防御耐性に入るのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...